見出し画像

川咲さくらは覚醒に殺される 〜少女はなぜ心から笑えないのか〜

初めに注意点


・本記事は星空編1章6~10話のネタバレをに含みます。該当ストーリーを未読の方は先にそっちを読んできてください

・タイトルにもあるとおり、本記事では「殺される」などの過激な表現や、キャラの心情等を適切に表現するために悪口とも取れるような文言が登場する場合があります

上記を了承した上、この先を読み進めていただけたら幸いです


川咲さくらは責任を知った

まずはこちらを見ていただきたい

星空編1章10話 持つ者と持たざる者

川咲さくらは、勝利をしたのにも関わらず心から笑えなくなってしまったそれは彼女がBIG4になった以降見られる現象だというその要因となっているのは

「でなきゃいけない」とか、さくらに似合わない言葉
同様に星空編1章10話

さくらのこの発言から分かる通り彼女が勝利することに義務感を感じ始めているからだ

莉央ねき

これは東京編2章32話
I-UNITY準決勝でスリクスに月ストが敗北した直後の、琴乃と莉央の会話である

自分が負かした相手に対して謝るのは最大の侮辱
相手を任したからこそ、勝者は勝者として前を向いて輝き続けることが、真に敗者を思った行動である
そんなメッセージが込められている


少し話は逸れるが、私は少し前まで川咲さくらのことを
残虐性のあるアイドル、残虐性を持つ輝きをするアイドルであると考えていた
その理由は2つあげられる

① 対戦相手に対して
川咲さくらは、ライブバトルで自分達が負かした相手のことを心から讃え、握手をしようと手を差し伸べるアイドルである
これは彼女にとってはやって当然の行為であり、サニピのファンからみればとても気持ちの良い行為だ
しかし、負かされた側。負かされたアイドルとそのファンから見て、それは気持ちの良い行為だろうか?

きっとよく思わない人もいるだろう
ライブバトルに勝利するということは、対戦相手の可能性の芽、未来を一つ潰すと同様のことだから
そして、未来を潰しておきながら、対戦相手に悪気もなく手を差し伸べてしまうのが川咲さくらである
この悪気がない、というのが川咲さくらの残虐ポイントである

② ファンに対して
川咲さくら、及びサニーピースの人はたくさんの人を笑顔にし、背中を押す
しかし、それほど残酷なことがあるだろうか?
勇気を持つこと、前に進もうと思うことは、傷つく可能性を孕んだ危険な行為である
けれど川咲さくらは人の背中を押してしまう

川咲さくらに背中を押され、夢を追いかけてそして傷ついてしまった人がこの世にどれほどいるだろうか?
応援というのは残酷な行為である
これは兵藤雫の背中を押した秋宮もねにも同様のことが言えるが、今回は割愛する

さらに川咲さくらのタチが悪いのは
こうして傷ついてしまった人の背中を、またも押してしまうところだ

相変わらず悪気もなく、彼女はファンや対戦相手に笑顔を振り撒き背中を押す
それこそが、川咲さくらを残虐な者たらしめているのである


と、私は以前まで上記のような印象を川咲さくらに抱いていた
しかし、今回更新された星空編1章10話を読んでそうではないのだと知った
先にも貼った箇所をもう一度ご覧いただこう

さらにこちらも

星空編1章5話 隠し事

これらの言葉から、川咲さくらが対戦相手やファンのみんなに手を差し伸べ、笑顔にし、背中を押し、照らすことの責任の重さを理解していることが読み取れる

川咲さくらはもう、無責任にみんなを照らす残虐性のあるアイドルではなく
人を照らす責任を持つ、プライドを持ったアイドルなのだ

川咲さくらにおける”正解”と、現状との乖離

「対戦相手やファンのみんなに手を差し伸べ、笑顔にし、背中を押し、照らすこと」
この文章では長いので、以降では「みんなを照らす」と表現する

川咲さくらはみんなを照らす責任を知ってしまったために、勝利することに固執し始める
自分は負かした相手とファンのみんなの思いを背負っている

自分たちがみんなを照らしたことで、みんなを傷つけてしまったから、その贖罪として強くなければいけない
そう考えているのが川咲さくらの現状と言える

では、そうあることが、川咲さくらにとっての正解なのだろうか?
何を持って正解とするのか、というのが明確ではないため難しい話だが
少なくとも正解ではないという所感は、ここまでアイプラストーリーを読んできたオタクみんなに共通しているのではないだろうか?

下記は東京編2章14話
いわゆる「完全復活回」の完全復活直前の会話である

まだ覚醒前の琴乃が「勝たなくてもいい」とか言ってる
導いたのは麻奈の心臓だけど、続けるのはもう違う理由なのね
東京編2章14話 ライブを楽しむ

ここで琴乃が言っていることは、私はほぼ回答に近いと考えている
川咲さくらが輝ける根源とは、かつて手を伸ばしても掴むことができなかった「生きる」であり「輝く」である
彼女は勝ち負けに固執せず、ただ元気に体を動かして歌って踊って仲間と一緒に歩んでいける今こそが尊いものであると思っていたことは、EVERYDAY! SUNNYDA!の歌詞や東京編1章11~15話 Shiny Melodyで語られている通りだ

けれど彼女は自分がみんなを照らす責任を知ってしまった
照らしたみんなを守るために、強くあり続けようとしてしまった

さて、以前も勝ちにこだわったことのあるさくらだが、今回は状況が違う
それは、今回のさくらは「勝てる」と思っていることだ

前回、完全復活回付近のさくらは「勝てないかも」という悩みを持っていたところ、先の言葉を琴乃に言われ吹っ切れた。
であるが、今回のさくらは「勝てる」と思っている。さらに、さくら/サニーピースには勝ててしまう実力がある
これはかなり悲惨だ

間違った方向に進んでいる自分を正当化する材料が揃ってしまっている
勝っているならいいではないか、と思うかもしれないが、これでは負けてしまったときのダメージが底知れない
今後サニーピースが負けたとき、川咲さくらは思う
「みんなの期待を裏切ってしまった」「絶対勝たなければならない勝負なのに負けてしまった」と。

このまま先に進んでしまえば、さくらはいずれ深い傷を負うことになるだろう

旧長瀬琴乃との類似点とWHAT IS "IDOL"?

責任を負ってしまったがために勝利に固執する川咲さくらは、誰かに似ている気がしないだろうか?
それは、長瀬琴乃。正確には
BIG4になるまでの長瀬琴乃である

長瀬琴乃は最初、長瀬麻奈の代わりにSong for youをNVGPで歌うためにアイドルを志した
そして途中から、長瀬麻奈のためという目的は月ストのみんなのために変えられた
以降、長瀬琴乃は伊吹渚の献身白石沙季の誠忠成宮すずの一念早坂芽衣の憧憬を守らなければならないという"呪縛"に囚われて戦い続けることになる
NVGPで優勝したあとも、I-UNITYでは汚されたトリエルのために戦い、しかし負け
低迷ののち、長瀬琴乃はついに月のテンペストからの脱退を選択する

それは彼女が、月ストを強くいさせるという責任を果たせなかったからに他ならない
結果、琴乃以外の4人が琴乃と肩を並べ、琴乃と同等の輝きを放てるようになったことで上記のような問題はなくなり、月のテンペストはBIG4になれたわけだが

まさに今、川咲さくらは旧長瀬琴乃のような"呪縛"に囚われていると言ってもいいだろう

IDOLY PRIDEのゲーム内で入手できる、いわゆる漢字称号
私は下記画像の後ろに小さくWHAT IS "IDOL"?と書かれていることからWHAT IS "IDOL"?への回答と呼称している

左下ね(引用①)


長瀬琴乃のこれに該当するのは”呪縛”
一見してマイナスな印象を与える言葉で、実際に琴乃は呪縛に苦しめられていたが
同時に琴乃は、麻奈や月ストの仲間から呪縛を与えてもらっていたからこそ、気丈に戦い続けることができたとも言える
長瀬琴乃というアイドルは呪縛に生かされていたのだ

さて、では川咲さくらのWHAT IS "IDOL"?への回答は何かというと、それは”覚醒”である
川咲さくらには今まで、幾度とない覚醒が訪れてきた

心臓をもらった覚醒、アイドル/サニーピースと出会えた覚醒、自分自身の声で歌えるようになった覚醒、サニーピースの着地点を見つけみんなと繋がることができた覚醒

そのどれもが川咲さくらを支え、川咲さくらを強くしてきた
しかし、覚醒を繰り返しトップアイドルへと上り詰めた少女は今、自らが振り向いてきた笑顔が他人にもたらしてしまった影響を理解し、自分の輝きに責任を持ってしまった

その結果、「今このとき楽しむ」からこそ光り輝いていた川咲さくらは傾き始め、気がつけば彼女は勝利に固執してしまった
自由を手にし、体を動かせるだけで楽しかったはずの彼女は、幾度となく成長を繰り返すうちに、自分自身の自覚していない意思により、自由を縛られてしまった

川咲さくらというアイドルは”覚醒”に殺されたのだ

今後の展望

さて、今後の展望だが
長瀬琴乃が勝ちへの固執から救われたのが仲間によるものだったとおり
やはり川咲さくらを救うのも仲間の存在なのではないかと考える

メインストーリーではトリエルと馴染みが深い千紗や雫がとりあげられている(VENUS PARTY The Secondのキービジュが千紗だったこともあり、千紗の覚醒が来そうだ)が、個人的には一ノ瀬怜がいい働きをしてくれるのではないかと思っている

かつて勝利に固執していた怜は、さくらによって楽しんで踊ることを教えられ
漕ぎ出せ!アイドル★サバイバーズでは、合理性以上に仲間(千紗)の気持ちを重視する描写が見られた
他人にブレーキを踏んでもらわないと止まれなかった一ノ瀬怜が、今度はさくらのブレーキを踏んでくれることを期待する

また、遙子とさくらだけが番外編(過去編)を残しているのが現状であるため

サニーピースの仲間たちそれぞれの、アイドルや勝利やさくらに対する思いが、川咲さくらにどのように作用し
サニーピースはどのような変化を遂げていくのか

これからも、彼女たちのマネージャーとして過保護になりすぎないように見守っていきたいと思う

それでは、本日はこの辺でおしまい
急遽川咲さくらへの感情が爆発してしまい筆を取りましたが、三日後までに白石誕を完成させなきゃならないので、月ストオタクの顔面に戻ります汗

それでは

時に、もういいよ最過激派、瑠璃(♂)

(著作物利用について
本記事では法令規定の範疇で、他者様が著作権を有する著作物の一部を引用利用しています

ゲーム画像は記載の通りのストーリーより

引用①
出典:IDOLY PRIDE公式X(旧Twitter).2021-06-23.https://x.com/idolypride/status/1407533874456850437.(閲覧日 2024-09-23)

上記の引用物全ての著作権はProject IDOLY PRIDEに帰属します)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?