夏の思い出
今年は、書くことを辞めようかと思っていた。
忘れていたわけではないし、触れないようにしようと思っていたわけではないんだけど、
5年経ってまだ感傷に浸っているのもな、と周りの目を気にしてしまっていた自分が一番大きかったからかもしれない。
それでも、小さいころに一緒に遊んでいた幼馴染からはラインが来て、今でも覚えてくれていることに心から感謝した。
家族には、「鶏つくねをつくるよ~」とLINEだけした。
命日だね。とわざわざ言わなかったけど、離れた場所でお互い父を偲んだ。
鶏つくねは、料理にハマっていたお父さんがたまに作ってくれた。
玉ねぎをすりおろさなきゃいけない手間がかかったレシピだったけど、
ふわふわしていておいしい。時間がかかるけど作ってくれる。私のアルバイト終わりまで起きて待っていてくれて、食べるのをお酒を飲みながら見てくれていた。
「子煩悩」告別式の時に初めて知った言葉。
ママがお父さんについてそう言っていた。
言い換えれば、「親バカ」という意味なんだけど、ほんとうにそうだったと思う。ママもそうだけど、
単身赴任なのに、毎月絶対に帰ってきてくれていた。
ティンバーランドの靴が玄関にあると嬉しくなって、いつもよりちょっと大きい声で「ただいまー」って言っていた。
父は、たまにハーゲンダッツを買ってきてくれるのだけど、4人家族なのに一個だけで、じゃんけん大会をして争奪戦をする。
亡くなる一週間前、妹と父が本気で争っている光景をみながら、こんな小さなことだけど笑いあえることが幸せだなぁ、とふと思った記憶がある。
夏らしい大きい入道雲を見ると、「夏がきたーーーー!」といううれしい気持ちとどこか少し、お葬式の帰りにバスからみたあの雲を思い出している自分がいる気がする。
ちょっとずついろんなものや景色に思い出がある。
忘れたくないし、大事にしたい。
愛を持って人に接して、
親にも自分にも誇れるように毎日を一生懸命にがんばろっと