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「何か困ったり悩んだりしていることはない?」はNG!?

新入社員の指導を担当するトレーナー研修の講師を何社かお手伝いさせていただいている。参加される方は「昨年自分は指導される側でした」という新卒2年目社員から、「新入社員は自分の子供よりも若い」という60前後の方まで多種多様。他の研修のように属性が同じ人が参加する訳ではないので、反応や気づきが多様でやっていても楽しい。そしてみなさん熱心に耳を傾け、ペンを走らせている。新入社員もこういったトレーナーについてもらえて、つくづく幸せだなと思う。こんな熱心に指導、誠実に寄り添ってしまうからこそ、やってしまいがちな働きかけがある。それが「何か困ったり悩んだりしていることはない?」という質問だ。

トレーナーは善意で聞くのだが、聞かれた方からするとその質問が定期的に繰り返されることで、回答するために「困りごと」「悩みごと」を無意識に探すようになる。そして答えにたどり着く・・・「○○が困っています」「××について少し悩んでいます」と。それをトレーナーが善意で解決に向けて支援する。そしてトレーナーは「役に立てた」と実感。これはこれで良い話なのだが、それってトレーナーと新卒社員の依存関係を生んでいることになる。

新卒社員が早期に自立して戦力化するというトレーナーの役割に立ち返るとしたならば、上記の質問は役割から外れている。ではどういう問いかけがいいのか。それは「私に何か手伝えることはありますか?」である。目標達成や課題解決について自分で考え、自分で乗り越えられない障壁をいかにトレーナーを使って乗り越えるのか、この思考回路、行動習慣を身に着けるのが本来のトレーナーの仕事だと思う。

「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」本当の愛情とはなんなのか、トレーナーの方々には向き合っていただきたいと思う。

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