【アイデアノート改】第10話 一通のメッセージ
仕事が忙しいのもあって、ソーシャル結婚相談所のSNSは、1か月くらい放置されていた。もちろん投稿する人もいなければ、なんの音沙汰もなかった。そんなある日、一通のメッセージが、管理人(晴男)のもとに届いた。
「こんにちは。咲子と言います。実は、あの飲み会から、ある男性に付きまとわれています。 困ってます」
晴男は返信した。
「その男性に注意します。詳しい内容をお聞かせ願えますか?」
それから、その咲子とのやりとりして、詳しいことを聞いた。
実は、あの飲み会である男と咲子が携帯のメールアドレス交換をした。初めはメールのやり取りをしていたが、咲子はその男に興味がなかった。それでも毎日メールを送ってくるので着信拒否にした。
すると、登録したSNS経由でメールが届くようになった。しかし、それも拒否するように設定した。それからメールは届かなくなったが、会社の帰りとか家の前で待ち伏せされるようになった。これは個人の問題かと思うが、そのSNSのプロフィールに問題があった。
咲子は真面目で、SNSなんてやったことないから、名前から住所から勤務先まで、しっかりとそのSNSに書き込んでいたのだ。
それから友人に相談して、そんな情報消した方が良いと言われ、今では消去してあるが、その男には既に情報が流れているという状態だった。いわゆるストーカー行為だった。
警察も事件にならないと動かないし、実際、咲子はその男がどこに住んでいて、どういう人なのかなんて全く知らなかった。
ただただ、気持ち悪いのと、恐怖を感じていた。友人に相談すると、飲み会とSNSの経営者(晴男)なら、その男の素性を知っているのではないか、その男の友人でもいいから分かったら、その人から注意してもらえないかという助言をもらい、メッセージを送ったという。
とりあえず晴男は、その男の素性を調べるべくSNSを見た。しかし、SNSにはニックネーム「よっちゃん」とメールアドレス(フリーメール)しか書かれていなかった。
まずは、フリーメールに感情を逆なでないように、そして情報を聞き出そうと、「飲み会をまた開こうと思うんですが、名前と誰の紹介か返信して下さい」と書いて送った。
そして、自分の誘ったメンバーにも確認し、居酒屋の店主にも確認してもらうようにした。
しかし、いくら待ってもフリーメールからは返信が来ないし、店主も自分のメンバーからも分からないという事だった。
結局、晴男はその咲子と会って、話をすることにした。
自分のまいた種、なにかあってはいけないと、咲子のボディーガードをするつもりでいた。
咲子は、会うことを承諾してくれた。