GROUP RUNNING サウナ×ランニング @HUBHUB 下北沢に参加してみた withさとゆみさん
突然のお誘い
ライター師匠のさとゆみさんから、土曜夜に突然のお誘い。明日、ランニングとサウナを掛け合わせたイベントが下北沢であるが、一緒に出ないか、というもの。さとゆみさんが普段通う、パーソナルジムが企画したものらしい。
ランニングとサウナだったら、どうせ明日も個人的にルーティンとして実施するつもりだったし、それをそのままこのイベントに切り替えればいいか、そんな軽いノリでOKした。
集合は、サウナ施設のHUBHUB下北沢に13時。
GROUP RUNNINGとは
下北沢駅南西口から徒歩5分程度。日曜の昼、飲食店では早くもビールを飲む人たちも目立つ。そんな素敵なオトナの休日を横目に、ランニングウェアとシューズに身を包んだ僕は、颯爽と目的地を目指した。6月最後の日曜日、雲は低く垂れ込め、湿度は、高い。気温は30℃程度。不快度MAX日本の夏、お手本の様な気候だ。
現地に着くと、セミオープンなスペースにマットが敷かれ、ランニングウェアを着た男女がすでに何名も集まっていた。さとゆみさんも、元気に登場。全部で、12名の参加者。プラス、スタッフ(トレーナー)が4名。
サウナとランニングを掛け合わせた新しい健康文化を創造しようと企画した、とのこと。しかし、そもそも掛け合わせとして、ランニングとサウナの親和性は、容易に想像できる。だから、きっと予想通りの、とても心地よいイベントになるはずだ。そんな安心感だけは、あった。
メインのランニングは、下北沢周辺のコースに設定。目黒川を折り返し地点とし、閑静な街の中を参加者みんなでゆっくりとランニングする企画。距離は5キロ。
ランニング前には、プロのトレーナーによるトレーニングプログラムを実施、とある。
今回参加してみて、これが1番キツかった。キツかったけど、新しい発見に繋がった。
ウォーミングアップ代わりに、マットの上でヨガに似たポーズや、スクワット、ストレッチをおこなう。この、ランニングする際に必要となる筋肉への刺激が、キツい。理由は、全く意識したことのない筋肉だからだと思う。動かしたことのない部位を動かす行為は、例えそれが小さな運動であっても、重労働であることを思い知らされる。僕は3番目くらいのトレーニングで、早くも足の指先が攣りそうになった。特に、お尻周りの筋肉が悲鳴を挙げた。そこから背中へつながる筋肉は、普段腰痛のために根気良くストレッチしている場所だ。でも、意識して動かしたのは、初かも知れない。
全開に開け放たれたデッキ側からは、湿度のある風が通る。こんな風でも、早くもほてった体に、心地いい。隣のさとゆみさんが、走りに行かずに、このままサウナに入りたい、と言うと、女性陣から同意を示す歓声が挙がる。どうやら、サウナ目当てで参加した人も多そうだ。
ランニングスタート!
サウナ施設から、徒歩数分の公園まで歩き、ここから、ランニングをスタート。
街の遊歩道として整備されたのであろう道(世田谷区立北沢川緑道)は、脇に小さな小川が流れ、この辺りの都民の憩いの場となっているのがわかる。途中、その小川でザリガニ釣りをしている親子を見かけた。糸にスルメイカの様なものを垂らすその術は、僕の幼少期より全く変わらぬ手法だ。思わず笑ってしまった。2024年、下北沢で見る光景か!
ペースは、キロ8分。走ったことがある人なら分かる通り、かなり遅い。参加者の多くは、普段走り慣れていないと言うが、トレーナーさんの笑顔によるおしゃべりのせいもあって、皆、楽しそうに笑顔だ。初対面同士の方々も、みなすぐに打ち解けて、楽しく談笑しながら走った。
さとゆみさんも、このくらいのペースなら平気、と、普通におしゃべりしている。聞くと、現在、週に3日程度ランニングしているらしく、12月のホノルルマラソンに申し込んだと言う。しかも、フルマラソン。なんという行動力。そういえば、このお方、ティーンの頃はスーパーアスリートだったんだよな、と思い出した。
僕も高校時代は陸上部で、1500mを主戦とした、3流選手だった。今は週末に、4〜5キロ程度、体型維持のため走るだけ。でも、走ることは、ずっと嫌いじゃない。このペースで移動する際にしか見えない景色があるからだ。先ほどの、ザリガニ釣りもそのひとつ。自転車だったら目に入るかも知れないが、竿の先のスルメイカまでは見えない。徒歩だったら逆にもっと観察してしまい(話しかけてしまったかも)違った逡巡になったと思う。
折り返し点の目黒川に着く頃には、夏の柔らかい雨がそっと降り始め、心地よく汗を洗い流してくれた。川沿いの桜並木を見ながら、4月の満開を想像する。きっと多くの人が歩き、ランニングどころではないだろう。いや、始発でやってきて、早朝なら可能かも知れないな、そんなことを思った。
筋肉の刺激効果を体感
帰り道も、同じペースで楽しく走る。
ここで、ひとつ、発見が。
楽、なのだ。最初は、キロ8分のゆっくりペース(普段の僕はキロ6分以内)や、さとゆみさんやトレーナーの方と楽しく話しながら走っているせいだと、思っていた。しかし、足の上げ下げが、明らかにいつもと違う。楽、なのだ。ああ、そうか、これが走る前にやった「筋肉に刺激を入れる」効果か。あの少しだけツラい時間が、次の一歩を軽くさせる。普段動かさない筋肉が動き、体全体が連結して、走る行為を効率化させるイメージ。ゴールに着いても、僕は正直もっと走っていたい、そう思うほどだった。もっと走りたい。30年前の陸上部時代以来の感覚。そういえば、今回のランニング、部活動の練習前、全員でおこなうウォーミングアップのためのジョギングに似ているなと思った。ペースとか距離とかではなく、その場に生まれるゆるい雰囲気や、こぼれる笑顔。
雨は、降ったりやんだり。
HUBHUB下北沢店に戻り、ダウンを兼ねたストレッチ。思いの外発汗し、シャツはぴたりと体に張りついている。
車座になって座り、ここで自己紹介をおこなった。驚いたことに、みな、若い。ほとんど、20代。10代までいる。トレーナーを目指す専門学生や、今回の企画を運営している「THE PERSON」の利用者、といった面々。スポーツによって繋がったこの時間を、青臭くも、素敵だ、と照れずに思ってしまった。これがスポーツのチカラ、のひとつだろうと思う。
さて、サウナ
トレーナーの方がサウナとスポーツの関係や、入り方、効果まで、詳細に説明をしてくれる。きっと本人もサウナ好きなのだろう、そうすぐにわかるほど、正確で熱のある説明だった。これなら、初サウナや、サウナ苦手な方でも、今回のランニングと同様、一段敷居が下がり体験しやすいだろう、そう思った。
先ほどストレッチをしたエリアから中庭を挟み、3室のサウナがある。通常営業だとA室B室が男女入れ替え制、C室が貸切サウナとなっている。今回は全室を貸切で、AB室が女性、C室を男性で利用することになった。
それなら、なぜ水着着用なのだろう、と疑問に思ったが、入って外気浴スペースを見て、すぐに理解した。周りの家々から、丸見えなのだ。
C室のサウナ室は2つ。まずは手前側。キャパは7人くらいか。
サウナストーンが積まれたストーブを、取り囲む様に座る様になっている。温度計はないが、体感として90℃程度。珍しいのは、ストーブの頂点が座板と同じ高さレベルになっていること。セルフロウリュで、瞬時に蒸気を浴びる構造になっている。天井も狭く、蒸気は逃げず、熱い(嬉しい)。
続いて奥側。
手前側と比較して狭い。キャパ5人程度か。ストーブが1番下。螺旋階段状に配した座板となっていて、こちらもユニークな作りだ。
そのユニークさと相反して、ロウリュの熱さは凶暴そのものだ。一杯の柄杓で、上段に座る者を一気に退散させることができるほど。
2つとも、無音サウナ。都会の喧騒を忘れ、水が天に昇る音だけを聞く。日曜午後、なんという至福。
そして、水風呂。
正直、全く期待していなかったが、予想以上のキンキンだった。チラー循環だと思うが、15℃といったところか。帰り際、さとゆみさんも水風呂の冷たさに感心していた。
チェアに横たわり、細い雨を浴びる。
ランニングとサウナ。合わないわけがない。
普段僕は、ランニングはランニング、その後、温浴施設に行ってサウナ、の流れだが、今回、それを連続しておこなうことで、さらなる流離(さすらい)境地を連れてくることを知ってしまった。ランニング後の爽快感が、サウナの効果と掛け合わさり、味わったことのない深いリラックスが訪れる。トレーナーさんとも話したことだが、ランニングステーションとして、サウナや温浴施設など、もっと提案できるプランがあるのではないか。また、マラソンのゴール地点に、テントサウナやサウナカーがあっても面白い、など、スポーツとサウナの掛け合わせの可能性を深く考えることができた。
予想以上に、気持ちのいいイベントだった。今後、ランニング前に、今日教わった筋肉への刺激を取り入れようと思った。それだけでも収穫だ。
この「THE PERSON」、新宿御苑でも様々なスポーツを通したイベントを実施しているという。
スポーツを通して、人はもっと幸せになれる。そう感じた日曜午後。
今回の参加費は、4000円。充実した4時間でした。
最後に、THE PERSONの創業者の方ともお話しできました。えっ、となるくらい若い!しかも、なんとあのプロサウナー集団「TTNE」のメンバーでもあるのだとか!恐れ入りました。
さとゆみさん、素晴らしいイベントへのお誘い、ありがとうございました。
THE PERSONのトレーナーの方々、安全で楽しく、発見のあるイベント、お疲れ様でした。また機会がありましたら、よろしくお願いします。