風が吹くだけで痛い? これが噂の…。③
痛風。月曜、朝。何履いて行こう?
週末苦しんだ、痛風。
月曜朝、起き上がり、まあ、痛いけど何とかなるんじゃないかなレベルの痛み。
ファ⚪︎キン月報も作ってないし、期末の個人課題の達成書も書いてない。両方とも、今日が締め日。
仕方ない、行くか。
でも、何履いて行こう。
ビルケンシュトックのアリゾナ。左足だけベルトを最大に開放しても、足の腫れが最大化して入らない。さらに、僕の勤務する研究所は、同じ敷地内にいつくもの製造部を併設している。そのため、安全にはとても厳しく、通勤時のサンダル履きを禁止されている。
リーボックのテニスシューズ。左側の紐をゆるめ、足を入れようとしても入らない。
今回選んだのがこのスニーカー。
ナイキ エアマックス95
もともと僕の足は26cmだが、このスニーカー、購入時に在庫がラスト一足で、27.5cmのものしかなく、オーバーサイズを承知で購入したもの。しかし痛風で腫れ上がった今、これくらいのオーバーサイズでなければ、たぶん履けない。というか、左足、ジャストフィット。履く際も、普段は全く使わぬ靴ベラが必須アイテム。
痛風は恥ずかしい?
出社してから履く指定の安全靴も、オーバーサイズのため、難なく履くことができた。もちろん、靴ベラ必須で。
やはり、業務中は気が張っているせいか、はたまた痛み止めが効いているせいか、のたうち回ることはない。今日はデスクワーク中心であることも、この症状で仕事ができる理由のひとつだろう。
歩行時は、完全に足をひきずる様になってしまった。さすがにこの状態での立ち仕事や、重量物運搬などは無理だ。
すれ違う同僚たちに「どうしたの?」と声を掛けられる。その度、僕は何ともむず痒い恥ずかしさを感じている自分に気がついた。
「たぶん、痛風で…。」
たぶん、を枕詞にして照れ隠しをしていることでも、それは証明されている。
なぜ恥ずかしいと思ったのか、その理由を考えてみる。
①世間の「痛風」に対するイメージが、カッコ悪い(と僕は思っている)。
②痛風になった自分が、カッコ悪い(と僕は思っている)。
①も②も、自分が相手にどう思われるかを想像した結果、明らかにマイナスイメージになるだろう、と安易に予想できることが原因だと思う。
痛風のイメージだけで言えば、味噌汁代わりのチャーシュー麺、焼肉をおかずにカツ丼大盛りを頬張りそれをビールで流し込み、デザートに蜂蜜たっぷりの何段も重ねられたパンケーキにバニラアイスが乗ったものをペロリとたいらげる、そんな大食漢を思い浮かべてしまう。
さらに、検診で尿酸値の値が見える化しているにも関わらず、それに対して全く改善策やアプローチを自らに課すことのできない課題解決能力のない男、そんなイメージを漠然と抱いていたのではないか。
自分が当事者となり、能動的に痛風について調査したことで、それらがおおかた間違いであることを知ったが、僕の尿酸値が高いのは今に始まった話ではないし、全く対策をしてこなかったのも事実。結果、見事に痛風となり、顔を歪めて歩く自分を、やはりかっこいい対象として見ることができないのだろう。
これから、たぶん長らく付き合わなければならないであろう「痛風」に対するイメージも、今後当事者として変化していくかも知れない。
痛風の別名を考えてみる。
考えた結果、「痛風」という名前がカッコよくない。イメージの悪さに拍車をかける。
そこで、自分なりに、ひとつ別名を考えてみた。
風、は悪くない。むしろカッコいい方だろう。問題はやはり、「痛」だ。
『Blowin' in the Wind』
今後、僕は痛風をこう呼ぶことにする。
同僚「どうしたの?」
僕「いやー、ブローウィンしちゃったみたいで」
同僚「あー、そりゃ大変。でもきっと平気。(手を胸に当てて)答えはきっと風の中さ」
僕「ありがとう」
ほら。少しだけ、カッコいい。か?