バーに呼ばれた 前は鳥貴族だったのに
去年の春の話です。大学4年の春です。
丸一年東京で夢に向かって勉強をしていた奴が、それを終えて京都に帰ってきた。そいつと、こないだご飯に行ってきた。呼ばれたのはバーだった。
去年、彼が東京に行く少し前にも、ご飯に行った。僕と彼は、何というか遠からず、な感じの夢を持っていたので、お互いそういう話をしたことを覚えている。その時の場所は鳥貴族だっだ。
彼が東京で1年間武者修行をすると聞いた時、物腰の柔らかい、人に気を遣ってばかりの、声の軽いこの男がどう変化するか楽しみだった。
しかし、バーに行こうとは、あまりにわかりやすいというか…。
…でもバーなんて普通は飯を食ったあとにもう一軒、として行くところだろうに、いきなり行くのか?じゃあちょっと家で食って行った方がいいのか?俺だって慣れてねえんだぞ。
腹にカツサンドを入れた僕は、彼と合流し、バーまで向かった。
意外にも、見た目は1年前と一切変わっていなかった。
バーは閉まっていた。
あ、行きつけとかじゃないんすね。
しかしじゃあ解散、と言うわけにもいかないので、周りで店を探した。
結局、ハンバーガーメインのアメリカ料理店に入ることになった。腹の中のカツサンドが何か言ってるので僕はロコモコを頼んだ。彼はBBQプレートだった。BBQプレート?
アメリカサイズの肉を前に、彼の1年間の話を聞いたのだが、彼は変わっていなかった。
というか、もっと物腰が柔らかくなっていたし、何故か声も小さくなっていた。
妙な安心を覚えた帰り道、2人で少し歩いた。そこで彼は、一緒に何かしないかと言った。
卒業後、2人で夢を追おうという話ではなく、ここから卒業するまでの間、というニュアンスであった。
僕は、
必要であれば呼んでよ、そしたらそれに参加する。と答えた。
「お前、その受け身のスタンスやめろよ笑」
帰ってきた言葉はそれだった。
こいつ、やっぱり変わっていた。
お前、なんて呼ばれたことなかったぞ。
東京ってこえー。
追記
そんな彼と演劇をします。新宿で8/19.20です。
https://twitter.com/tb_gulliver?s=21
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?