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他人のエッセイを読んで影響を受けすぎる前に書いておく文章

 瀧口です。俳優です。

 品田遊『納税、のち、ヘラクレスメス のべつ考える日々』を買いました。
読んだ後だと文章に品田遊、もといダ・ヴィンチ・恐山さんの影響がみられること間違いなしなので、そうなる前に、プレーンな状態であるうちに久々に、そろそろ、書いておかねばと思い文章を残しておこうと思います。

 恐山さんの本はおろか、noteで連載しているエッセイすら読んだことはなかったのですが買ってみました。というのも、ここ3か月くらいずーっとオモコロチャンネルを見ているからです。
 元々常に何か聞いていたいタイプの人間なので、音楽か、芸人さんのラジオ番組を、2つのワイヤレスイヤホンを一方使用中にもう一方を充電し「無限」に耳に流し込んでいた人間なのですが(これ本当に良くないみたいですね。爆音で音楽聞いてるわけじゃないから大丈夫なのかな。)、最近はそれがもっぱらオモコロチャンネルになっています。
 元々オモコロチャンネルはかなり前から登録していて、その豊富な動画の中からおすすめに出てきた動画をたまに再生する、という風に視聴していたわけですが、その頻度がだんだんと増えてきて、毎日見るようになり、いよいよ最も古い動画から見ていないものを順に見ていっている、という現在です。オモコロのコンテンツは中学高校あたりからなんとなーく触れ始めていたし、『匿名ラジオ』は高校一年の頃から毎週欠かさず聞いていましたが、ここにきてそんなことになっています。恐山さんの個人チャンネルでやられている雑談配信もほとんど見ちまったしそりゃエッセイも買いますわ。
 僕の最近の時間の使い方を考えると、厚切りフレンチトーストくらいのエッセイ本を読み終わるのはかなり先になりそうですが、じっくり読んでいこうと思います。


 最初の話に戻ると、ぼくはそもそもかなり影響を受けやすい人間なんです。ファッションや考え方というよりは僕の場合「話し方」に強くそれが現れます。”他人の話し方になっちゃってる”時間がかなりあるんじゃないかと思います。


 かいくんは隣の席の男の子でした。小4で既に声変りをしていて、とにかく声が低い子でした。大人の男性と比べても低い方なんじゃないかという彼の声に憧れたのか、彼と話すときは僕も無意識に声を低くして話していました。何となく仲良くはならないだろうと思っていた子と、隣の席になったことをきっかけに仲良くなると、ほかの友達よりもなぜかうれしいものでした。

 しょうくんはヤンキーっぽい子でした。兵庫なので全員関西弁なのですが、しょうくんは親の影響で、なかでも関西弁がきつい子でした。兵庫とは少し違う大阪のコテコテの関西弁は、6年でようやく仲良くなれた僕にも当然移りました。きっとまた、憧れてたんだと思います。ヤンキーっぽかったけど、いいやつでした。いわゆる「良いヤンキー」みたいなものを想像してもらえれば、それがしょうくんです。

 森澤先生は中学の塾の数学教師でした。上記2人みたいな分かりやすい特徴はないんですけど、何となく癖のある人でした。そしてとにかくその面白さに中1の僕は衝撃を受けました。

 ここから僕は気に入った人の、方言や声といった単純な「話し方」だけではなく、その人の言いそうなことまで言うようになります。私が話すとき、頭の中ではその人が話してるんです。頭の中のその人が発する言葉を、僕がスピーカーとなって発しているようなイメージで話すようになるんです。そこまで含めた「話し方」になります。”他人の話し方になっちゃってる”んです。

 先生のユーモアセンスは私に大きな影響を与え、先生が言うような冗談を、僕も言うようになりました。その影響は今も残っていると思います。具体的でなくて申し訳ありません。なんかこう、ニヒルでペーソスでアイロニーでユーモラスな感じです。たぶん深夜ラジオ聞いてたんだと思います。そんな大人、それまで僕の周りにいなかったんでしょう。語彙やユーモア、話し方の癖やらなんやら言葉の端々まで影響を受けちゃってた気がします。

 高校になると映像授業の予備校に入り、各教科、各単元ごとに先生が変わります。その中にもぼくはもちろんいくつかのお気に入りを見つけ、細やかに影響を受けていきます。一か月単位で先生が変わる為、僕の頭の中の人は目まぐるしく変わっていきました。大丈夫です。心配しないでください。

 その頃、SCHOOL OF LOCK!を聞いていた為、僕から関西弁は消滅し、高校でも標準語で話すようになりました。当時のパーソナリティの一人であった「あしざわ教頭」(芦沢ムネトさん)の笑い方は番組内でもいじられるくらい癖のある笑い方でした。当初は僕も変な笑い方だなと思っていましたが、あしざわ教頭を気に入った僕は、すっかりその笑い方になりました。心配しないでください。


 大学に入ると、これを上手に利用するようになります。

 浪人中にすっかりお笑い好きになった僕は、AMからネット番組までラジオ番組を聞き漁り、結果、ママタルトの檜原さんと、ダウ90000の蓮見さんの話し方を”得る”ことになりました。勿論お二人のセンスと同レベルになれるとは思っていませんが、快活で面白いお二人を意識していれば、いろいろ利があるんです。

 YouTubeでラジオを何周もしていたためか、特に蓮見さんの影響は大きくありました。またしても笑い方や言葉のチョイスが移った僕だったのですが、今回は、コミュニケーション力が高く、よく笑い、好青年的である彼の話し方はきっと好印象を与えられるはずだ、と考え、初対面のコミュニティやバイトの面接などの場では、意識的に「今日は蓮見さんでいこう」と思うようになりました。
 実際、意識するだけで気持ち楽に乗り切れていましたし、某稽古場では「今までマスクで分からなかったけど、あの人はいい笑顔で笑うんだね。」なんて噂が聞こえてきた事だってありました。ありがとう蓮見さん!!かなり役立ちました!!!!!僕普段は緊張しがちで不愛想に見えちゃうしこれめっちゃ便利でした!!!!!


 今の僕はと言えば、特に誰の影響を強く受けすぎる事もなく、なんとなーく普通に話しています。
 今まで僕の頭にいた人たちはそれぞれどこかへ消えてしまうまでもなく、それぞれが少しずつ僕に影響を与え、今の僕が形成されているのでしょう。だとしたらそれは誰にでもあるような「他人から影響を受ける」程度の事だろうし、心配するような事でもされるような事でもないのかもしれません。みーんなそうやって生きてんでしょ?
 俳優に役立ってるのか、役立つのかはわかりません。なんかうまいこと役に立たねえかな。


 本当にだらだら書いていたのでこれを書き始めたころから(つまりエッセイを買った頃から)ひと月以上は余裕で経ってしまったのですが、ようやく読み始めようと思います。また時間をかけて。
 ありがとうございました。

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