マニュアルのスポーツカーに乗りたい
学生時代トヨタのカローラレビンAE111のXZという廉価グレードを20万円程度で手に入れた。左リアのコンロッドは折れた状態でタイヤのワイヤも飛び出ており、エンジンもオイルを燃やして白煙を上げるようなボロボロの車だった。
それでも初めての愛車を運転することは非常に刺激的で、決して早いわけではないが、ギアを自分で変速してドライブすることが楽しくて仕方がなかったことを覚えている。
都内で就職することになり、初めての愛車であるレビンは後輩に1万円で譲った。(1年後に壊れてしまったようだが・・・)
また、いつか自分が好きな車、マニュアルで運転が楽しい車を持てるようになることが自分の人生における一つの目標になった。
ずっと車が欲しいと思い続けたものの、都内で車を持つハードルは高く、結婚して子供ができてからはカーシェアを活用している状態だった。しかしながら、子供が小学生になり、ようやく会社でも少しは出世できたことからマイカーを購入した。
家族も増え、自分ひとりで楽しむだけの車を選べるはずもない。安全性が高く、家族が乗れることが最低条件。それでもかっこよくて運転が楽しい車を探した結果、BMWのG20 320iを1年落ちの認定中古で手に入れた。コロナ禍前の2020年12月のことである。
学生時代に車を弄る余裕がなかった自分は、今まで我慢していた欲が爆発し、車両本体の金額と近しい金額をカスタマイズに費やした。ホイールはBBS LMの限定モデル、車高調はKW Ver.3、REMUSの4本出しマフラー、ECUで320ps/400Nm、と他にも電装系や、オーディオまで諸々手を入れた結果、乗り心地もよく、速くてかっこいい車になってくれた。
しかし、どこまでいってもこれは家族を乗せることを前提としたオートマの車である。運転はめちゃくちゃ楽で、先進的なADAS機能のおかげで自動運転の恩恵にもあずかれる。普通に良い車だ。ただ、良い車なのである。
運転を楽しみたい。運転がうまくなりたい。
その自分の欲求を満たすにはやはり3ペダルのマニュアル車がどうしても欲しい。しかしながら、普通の会社員には都内で家族車を1台所有するだけで大変である。さらに、10年ぶりに子供を授かることになり半年前に生まれたばかり。ますます、自分のやりたいことを好き勝手に楽しむことはできない状況だ。
でも、買った。買ってしまった。
いわゆる衝動買いというやつだ。
毎日毎日頭の中は趣味車のことでいっぱいで、カーセンサーを徘徊し、夜な夜なYoutubeを探し回っていた中、たまたま見つけたRX7 FD3Sを紹介している動画から販売会社のHPを辿ってみると、入庫したばかりのS2000が紹介されていた。
翌日には電話をかけ、年末ということもあり23年内での見学は叶わなかったが、年明けの約束を取り付け、即日購入の意思を伝えた。
資金は家族車のBMWのローンがまだ2年残っているのに、さらにローンで賄った。2000年式17万キロ弱のまぁまぁな過走行車であるにも関わらず、現車渡しとなるのでメンテナンス費用は会社で毎月天引きされていた自社株を売却することで確保した。
そんな感じで勢いだけで手に入れることになったS2000で、以前よりやってみたかったジムカーナやサーキット走行ができるようになるまでの記録を綴っていきたい。