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わたしが笑ってなかっただけかも。4歳の壁をのりこえる
あれだけ怒る子どもに手を焼いていたのに、ここ2週間ほど、お互いずいぶん落ち着いている。
今日、幼稚園バスから子どもを車に乗せ迎え、一緒に歌いながら家にかえりついたとき、娘は「おこらずできた!やったー!!」と、大喜びしてみせた。「イエーイ!イエーイ!」と、かん高い声を夕焼け空に響かせながら、ふたりハイタッチを繰り返した。
娘はこのところ、自分のかんしゃくを気にかけていた。毎晩ふとんのなかで、「きょうおこっちゃってごめんね」「きょうはあまりおこらなかった!」と、その日のできごとを「怒り軸」でわたしに報告してくれていた。
こんなに怒りに敏感だったのは、自分が怒ることにより、母が悲しい顔を見せ、ときに狼狽し、怒り、場合によっては泣くことすらあり、自分の怒りが大人におよぼす影響に不安を覚えていたせいだとおもう。
4月から約8か月間、子どものかんしゃくと向き合い、すり減る毎日をすごしてきた。対策を人にきくと、「ぎゅっとしてあげるといい」と、善き母の愛で怒りを溶かしてあげるようなことを言われた。暴れる子どもを抱きしめようと何度も試みたが、顔や体を蹴られ殴られ、とてもじゃないけど無理だと途方にくれた。
子どもに殴られ罵倒される日々が半年も続くと、子どもを可愛く思えなくなってしまいそうで、わたしのなかで自分を守ることが最重要課題になった。「あっちいって!」と怒る子どもと、できるだけ距離をとった。すると子どものポテンシャルはすごいもので、一人になれば、時間はかかっても、いずれ気を取り直してわたしのいる部屋に戻ってきた。わたしは子どもの怒りを受け止めきれず、彼女の問題を解決してあげることはできずじまいだったが、彼女は自分でなんとかしてくれた。
ほかのお母さんが、子どもの怒りを受け止めていた代わりに、わたしは彼女が怒っていないときに、たくさんハグするようにした。夕食の準備で忙しくても、声をかけられたら手を止めて、彼女の話をきくようにした。そんな約2週間をへて、娘のかんしゃくはいま、落ち着きを見せている。
わたしが、笑っていなかっただけなのかもしれない。娘が怒っている以外の時間を増やしてあげられるよう、なんでもないときに、もっと笑顔で抱きしめるだけでよかったのか。
娘の成長と、わたしの態度の変化のタイミングが、ちょうど重なっただけかもしれない。でも、わたしの態度が変わったことに娘は気づいてか気づかずにか、夜、ふとんの中で怒りのふりかえりではなく、前のように「ママだいすき」と言ってくれるようになった。
試練の8か月間だったなぁ。もちろん娘はまだまだ怒る日もあるけど、こうやって少しずつ、回数が減るといい。