「ドリー・ベルを覚えているかい?」
ひさびさのクストリッツァ作品に胸躍らせ映画館へ。
初めて観る、監督の長編デビュー作「ドリー・ベルを覚えているかい?」
ジプシー音楽にシュールなショットの連続。
これこれ!のっけからクストリッツァ感満載でうれしい。
終始テンポよく、ユーモアが漂っていて、つらくても淡々と生きる人間の強さにグッときた。
人には信じるものとユーモアが必要、むしろそれだけでいい。生きる知恵としてのユーモアを見せつけられて、ああ、わたしもこうありたいのだ、と目が覚めた。
映画館を出ると、世界がすこし違って見えた。こういう感覚にさせるのが芸術のありようなのだななどと考えながら歩く。
クストリッツァ作品は別のひとの人生を体験させてくれるようなリッチさなのだ。
そしてタイトルがすごいなぁ。「ドリー・ベル」が思い出になってる。
美しい人間讃歌。
「日々あらゆる面で少しずつ向上を」って唱えながら、この映画を胸に生活をおくりたいわ。