大晦日、守衛さんをナンパした話。からの、私の「共感」について。
2024年の最終日は、図書空間2.0に本の整理に叡啓大学へ。
簡単な整理整頓をして、
「今年もお世話になりました。」と
誰もいない空間に挨拶。
帰路に着くため
大学のエントランスを横切ろうとする、
その時
「長谷川さん。」
“私?”と、守衛さんに名前を呼ばれドキリとする。
ちょっと強面のガッチリした体格。
たぶん60歳くらいかな。
倉庫の鍵を借りるときはいつも
申請書に「長谷川」と名前を書いて
守衛さんに手渡してもらう。
あぁ、だから私の名前を知っているのか、と
驚いた0.5秒後くらいに合点がいったが、
守衛さんに名指しされることなんて
今まで一度もなかったので正直戸惑った。
が、
もっと私を驚かせたのは、その後
守衛さんが続けた言葉。
「私の見た目、怖いですか?」
「…、、、」
「???????」が頭をグルグル
「んー、まぁ、怖いですかねぇ」
と、きちっとした制服を来て
いつも黙って座っている守衛さんに、
正直な思いを伝えた。
「いや、実はね…、」
と守衛さんが話を続ける。
話を聞くと、
午前中に来た配達員の方に、
理不尽な因縁を付けられたそう。
『何、睨んどるんや!』
『お前、なめとんか!』
守衛さんが、配達員さんの怒りの所在を追求しようとすればするほど
ヒートアップしていったそう。
しまいには「本社に電話に電話してやる!」と。
私は
「えー、それは、その配達員さんがおかしいでしょう⁉︎」
と意見を伝え、守衛さんの正当性を伝え、庇おうとしたんだけど、
「いやぁ、お叱りを受けたのは、きっと私に何か問題があったと思うんです。でも、その理由が見当たらなくって。だから、見た目が問題なのかなぁ、と思い切って長谷川さんに聞いてみました。」
…、
うっ。
守衛さんの誠実さ、そのものに感服するのと同時に、
きっとその誠実さ、がご自身を苦しめているような気もして。
何となく「生きづらさ」っていう言葉が
私の脳みその深部から、浮かび上がってくる。
守衛さんの生き方に、自分のセンサーが反応する。
昔なら自分も胸を痛めて終わっていただろう。
でも、ここ最近、自分は少し変わった。
「んー、守衛さんは、以前のお仕事って何されてたんですか?」
「フランス料理のシェフしてました。」
「えー⁉︎すご!そりゃ、そういう貫禄があるのも無理ないですねー」
「実は、57歳まで料理長やってきてたんですが…、」
独身で、ずっと仕事してきた人生。仕事一筋。
ただ仕事は楽しくて続けていたそう。
ただ、57歳のある日「私の人生、これでいいのか…」となり
早期リタイヤ。
その後、キャンプ道具をこさえて、
大型バイクで旅して、身ひとつで各地を転々と。
そして、
そろそろ、お金が尽きたということで職探しをして
ここの守衛さんという職に辿り着いた。
と、これまでの人生を手短に語っていただいた。
だんだん、守衛さんの言葉が関西弁になってくる。
「ご出身は?」
「京都です。」
「ですよね⁉︎私は大阪出身ですよー!」
なんて、いろいろ共通点を見つけながらゆっくりと打ち解けていく。
「お名前は?」
「Aと申します。」
やっと笑顔がのぞくようになってきた。
なんとなく、Aさんの人柄が見えてきた。
守衛さん、やっぱり、
よくわからない因縁をつけられて傷ついたんだろうな。
見た目は確かに強面だけど、心のひだの多さを言葉の端々に感じる。
で、私がとった行動は
「今度、ご飯でもご一緒しませんか?」
と、還暦こえたおじさんをナンパ。
その後、おじさん同士でline交換しました。
実は、Aさん、Instagramもyoutubeもされてて
バイクツーリング動画をたくさんアップされてました。
即フォロー。
人は見た目が9割、と言われ、それはそうだな、と思ってたけど
うーん、おじさんにもなると、そうでもないみたい。
と、こんなやりとりが大晦日にあったんです。
おじさんと友達になりました。
Aさんの人生の片鱗を見ながら、
自分の人生も顧みる。
私は誰かの気持ちに共感する。
詳しく言うと、エンパシーを感じる。
でも、シンパシーではない。ここが私の変わったところだと自覚。
自分と自分の周りの世界に
良い意味できちんと線を引けるようになった。
だからこそ、すぐに誘って
『ま、とりま、飯でもいこや』ってな感じで
気軽に人を誘えるようになった、という私の変化。
おー、ようやく大人になったなぁ、俺。とそんな気がする。
兎にも角にも、
2024年の最後に友人が1人増え、
素晴らしい2025年のスタートが切れました、というお話でした。