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泡13 ブックパーククラブ編①〜私たちの選書〜

ブックパーククラブの魅力と選書の楽しみ

広島の本好きたちにはおなじみのイベント、「ブックパーククラブ」が今年も広島パルコで開催されました。2022年にスタートしたこのイベントは、書店が減少する市中心部で、「本の面白さ」を再発見し、共有する場を提供しています。全国から34の出版社と9つの独立書店が集まり、期間限定の本の空間を作り出しました。今年も韓国の独立系出版社のゲストを迎え、トークショーやコーヒーの提供など、多彩なイベントが展開されました。

イベントの会場は、普段は本が並んでいないパルコのスペース。そこに集められた3000冊以上の本たちは、大手書店では見かけないような独特なラインナップです。出版社の個性が強く反映されたセレクションに、訪れる人々は「こんな本があったんだ!」という驚きと喜びを感じることでしょう。

選書の深み―「手の倫理」と「100年の旅」

そんなブックパーククラブで、ハセが選んだのは「手の倫理」という本。この本は、「触る」と「触れる」の違いに着目し、言葉の持つ意味の奥深さを探究しています。動物のふれあい広場や、気に障る、逆鱗に触れるといった慣用句の使い方に至るまで、「触れる」という行為が私たちの感情や内面にどれほど深く関わっているのかを探る一冊です。著者の伊藤沙さんは、吃音というハンディキャップを持ちながらも、繊細な視点で物事を観察し、言葉を丁寧に紡いでいます。「手の倫理」は、その深い洞察と優しさが感じられる一冊で、読むたびに新たな発見があります。

一方、あやが選んだのは「100年の旅」という本。0歳から99歳までの人生を描いたイラストブックで、各年齢の瞬間を切り取った短い文章と鮮やかなイラストが特徴です。人生の各段階での気づきや感情の変化が描かれており、たとえば0歳では「初めての微笑み」、10歳では「世界の見え方が変わる瞬間」が切り取られています。まるで写真アルバムのように、一つ一つのページが心をほぐしてくれるような作品です。娘の成長を見守りながらこの本を再び手に取ったとき、過去の自分の視点と今の視点が交錯し、新たな感動が湧き上がるかもしれません。

本と向き合う時間

イベントの会場で一冊一冊の本を手に取る行為は、まるで自分自身と向き合うようなもの。日常の中で「これが今の自分に必要な本だ」と感じる瞬間、本棚との対話が始まります。その対話を通じて、本を選ぶ行為そのものが心の奥底を揺さぶる体験になるのです。

また、選書された本には、それを選んだ人の思いが詰まっています。そのため、誰かから勧められた本を読むときには、まるでその人とつながっているような感覚が生まれます。「この本が面白いと思ってくれた人がいる」と思えば、安心感とともに読書の楽しみが増すのです。

「ブックパーククラブ」で出会う本の面白さ

広島の中心部に、そんな多彩で個性的な本たちが集まる「ブックパーククラブ」。本好きの人たちはもちろん、普段あまり本を読まない人にとっても、新たな発見や出会いの場となるでしょう。ふと立ち寄ってみれば、心に刺さる一冊が見つかるかもしれません。

大手書店にはない独自の世界観を持つ「ブックパーククラブ」は、年を重ねるごとにますます充実したイベントとなっています。本と心の対話を楽しみながら、自分にぴったりの一冊を見つける旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

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