【第7話】自尊心と仕事の関係性と失われた自尊心の回復方法とは?
この記事は、下記リンクのマガジン【第1話】から順番にお読みいただくと、より深く理解でき、また楽しみながらご覧いただけると思います。
前回の記事では、B価値という側面からみた「よい仕事」と「よい職場」を紐解いてみました。
また、その上で自尊心をもつことがB価値を追求するための土台となる一方で、現代人は健全な自尊心を育めていないことについて触れました。
そこで、今回の記事では、失われた自尊心の回復の仕方を深ぼっていきましょう
◆自尊心の回復の仕方
結論から言うと、マズローは、自分が何か重要なものの一員となることが、失われたり傷つけられた自尊心を回復する特効薬であると述べています。
大きな影響力をもつ組織や、社会的に価値があったり、高く評価されているような団体やコミュニティに所属することもその一例です。
あるいは、自分にとって価値があると思える仕事と一体化することも自尊心の回復には非常に効果的な手段です。
そのような仕事を自分の内部に取り込むことで、自己を増大させ自分の価値を高めることができます。
このような状態になれば、仮に現時点で能力や技能や経験が不足していても、そのことに引け目を感じることなく、足りない部分が気にならなくもなるとマズローは語ります。
なお、より良い組織に所属していることで、この傾向は更に高まります。
ちなみにマズローは、この世に生きる人はみな、程度の差はあれど全員ちっぽけな人間であるとの考えをもっていました。
もちろん、これは人間とはどうしようもないくだらない存在だという意味ではありません。
これは、私たちが自己卑下を伴わない健全な謙遜をもつために必要な視点ということです。
自分のなかにある傲慢さを暴走させることなく、自分も周りの人も最大限に活かすためには、自分のちっぽけさを正しく認識することが大切であるとマズローは考えていました。
そして、このような前提のもと、偉大な取り組みや誇りを感じる事業に何かしらの形で参加することが、健全で強固な自尊心を回復する上では必要不可欠なのです。
なお、これとは逆に、誇りを感じない仕事、自分に向いていないと分かっている仕事、何の努力も必要ない仕事、自動化されたり同じルーティーンのくり返しになっている仕事をしていては、自尊心は育まれないともマズローは注意喚起をしてくれています。
それどころか、そのような仕事を続けることでどんどん自尊心は損なわれます。
言い換えれば、自分にとって本当に望ましくない仕事をすることで自尊心が損なわれ、そのことはその仕事への更なる依存に繋がるという負のスパイラルになだれ込むことになるのです。
このように、自分が取り組む仕事と自尊心は想像以上に密接に関わっているのです。
◆自尊心をもつことで天職と出会える
なおこのことは、一般的に天職と呼ばれるような、この世に生まれた自分の使命とも言える仕事に従事できるかどうかとも深い関係性にあります。
なぜなら、健全な自尊心をもてるか否か、すなわち自分自身をどのように認識しているかと、自分が従事する仕事には一定の対応関係があるからです。
どういうことか言うと、社会的な意義があり自己実現をもたらすような仕事と、その仕事に最も適した人間というのは相互に呼応するものだからです。
マズローはこのことを、それはあたかも鍵と鍵穴のような関係性であり、仕事はそれに適した人間に呼びかけるし、その仕事に適した人間はその呼びかけを誰よりもはっきりと聞き分けて呼び返すことができると表現しています。
これは、互いの波長がピッタリとあっているからこそ成し得ることです。
健全な自尊心を育むという意味でも、天職と言えるような仕事に従事することは大切なのですね。
では、自分にとって本当に最適な仕事をしない人、あるいは、仕事からの呼びかけに応えない人、または呼びかけの声がもはや聞こえなくなってしまった人はどうなるのでしょうか。
マズローは比喩表現としてこのような人を、後ろ足で立って二足歩行をしようとしている犬と同じであると述べており、本質的な生き方ができず、いつも常に心のどこかでひっそりと生きづらさを感じる人生を歩むことになると指摘しています。
言い換えれば、自分が本当に行うべき仕事に取り組まない人は、永遠に幸福にはなれないし、偽りの人生を生きることになるのです。
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