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【第2話】自己実現している人にとって仕事とは何なのか?

このマガジンは、下記の【第1話】から順にお読みいただければと思います。


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前回の記事でも触れたように、マズローの提唱する概念の中でも特に有名なのが「自己実現」という考え方です。

この自己実現について、「仕事」という観点から深掘りをしてみたいと思います。


◆自己実現者にとっての仕事

まず結論から言うと、マズローは自己実現を果たすことこそが仕事をする意義であり仕事を通して自己実現することが心理的にも本当の健康をもたらすと考えていました。

事実、マズローが調査した素晴らしい仕事をし、なおかつ人間関係にも恵まれ、他者に対して愛情深い人々は、みな同様に心が健康そのもので心理学的には理想像と言えるような人物でした。

そのような、自分の仕事を愛し、優れた人間性をもち、豊かな人生を歩む人々をマズローは「自己実現者」と呼んでいます。


マズローが自己実現者に話を聞いてみると、彼らは自分がしている仕事のことを、「楽しくてならない仕事」や、「自分にとってごく自然でふさわしいと思える仕事」や、「そのためにこそ自分が生まれてきた仕事」などといった表現しています。

つまり、彼らにとっては、仕事とは人生においてなくてはならない存在であり、自分の自己実現において必要不可欠なものなのです。

そして、働くことを通して本質的な意味で自由な人生を歩んでおり、心も充実した状態でいられるのですね。


◆自己実現者と彼の従事する仕事との関係性

自己実現的な意味で真に満たされた人は、自分自身になりきっており真の自己を実現していると、マズローは表現しています。

これを言い換えると、その仕事にとっては彼こそが世界中で最もふさわしい存在であり、またその仕事は彼にとっても最も好ましく最も真価を発揮できる仕事であるということです。

つまり、彼はその仕事をするために生まれまたその仕事は彼のために作られたとすら言えるとマズローは語ります。


◆自己実現における金銭的な報酬

自己実現者にとっては、金銭的な報酬は仕事をすることの副産物にしか過ぎません

これは、生活費を得るためにやりたくもない仕事をし、その仕事をすることで手に入れたお金を使ってしたいことをするという大多数の人々とは非常に異なっていると言えるとマズローは語ります。

自己実現者はお金を粗末に扱ったりはしませんが、彼らはお金に支配されたり束縛されたりすることはなく、お金とはあくまで自分の自己実現のサポート役や自己実現の過程で自然と舞い込んでくる存在に過ぎないのです。


◆本当の意味での天職とは?

自己実現者は全員一人の例外もなく、いわゆる「天職」と一般的に呼ばれているような仕事に従事しているとマズローは述べています。

ここで言う天職とは、彼らにとって最も価値がある仕事であると同時に、自分自身の能力や可能性を最も発揮できる仕事のことです。

そしてそれは、「運命が呼びかけるところに従ってはたらいているもの」であると、マズローは表現しています。

彼らにとって働くことは喜びであり、生きがいとなっているのです。

人によっては、正義を追求することに生涯を捧げている人もいれば、美や真理や善の探究に命を燃やしていることもありますが、職種や職業名がなんであろうと、自分の存在を本質的な目標を達成することに捧げ、そのことに全力で取り組んでいるということは共通しています。


◆仕事との一体化

仕事を通して自己実現している人は、「その仕事と一体化している」とマズローは表現しています。

これは、仕事と自分を同一視していると言ってもよいでしょう。

したがって、例えばとある自己実現している科学者に「あなたは科学者でないとしたら、何でしょうか?」と質問したとすると、彼は戸惑ってしまい、答えに困ってしまうのです。

あるいは、彼はこのように答えます。「私が科学者でなければ、それはもう私ではない」と。


この質問は、男性に対して「あなたが男でなく女だったらどうだろうか?」という質問をされたことを想像すると分かりやすいとマズローは言っています。

男性として生まれた人にとっては、女性として生まれ今日まで生きてきた人生など想像しきれないことであり、それはもはや自分とは言いがたい存在であるはずです。

つまり、自己実現者は仕事と一体化しきっているので、それと切り離された自分など想像すらできず、またそのような想像は意味すらもたないことであり、つまるところその仕事をしていない自分など自分ではないのです


◆未熟者が仕事をする理由

マズローは、仕事を通して自己実現している人と対称的な人を様々な言い回しで表現していますが、その中に「未熟者」というものがあります。

マズローいわく未熟者というのは、仕事を次のようなものにおとしめている人です。

「強制されることや義務を遂行するために仕方なく行うもの」
「社会からの一方的な期待に応えるためのもの」
「惰性によって継続されているもの」
「自己防衛の手段となるもの」
「自分を偽るもの」
「自分の低次の基本的欲求を満たすもの」
など


ちなみに、ここで言う低次の基本的欲求とは、マズローの提唱する欲求階層における「自己実現の欲求」より下位に位置する「生理的欲求」や「安全の欲求」などを指しています。

つまり、自己実現の欲求で生きる人とは真逆の性質をもつ人が未熟者であり、彼らのもつ性質の特徴は、依存、臆病、恐怖心、不安、逃避、我慢、自己否定、利己的、盲目的、虚偽などがあてはまります。


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