すみっコぐらし2021感想
※ネタバレを含みまくります。
「映画すみっコぐらし青い月夜のまほうのコ」を見てきました。
1作目のソウルを受け継ぎつつ、やさしい世界成分がつよめになっていたような気がします。前作と同じくすみっコたちのこまかい動きに気がくばられていて、ほんとに丁寧で真摯な作品だな〜と思います。
あらすじ(公式サイトより引用)
とある秋の日、キャンプに出かけて行ったすみっコたち。空を見上げると、いつもより大きく青く輝く月が。
「5年に1度おとずれる、青い大満月の夜。魔法使いたちが町にやってきて、夢を叶えてくれる」魔法使いたちが町にやってきて、夢を叶えてくれる」
伝説のとおり、すみっコたちの町に魔法使いの5人きょうだいが舞い下りてきた!
ファイブの容赦ない夢観
「夢が叶わないことって、そんなに悲しいことなの?」
この一言が、この映画のすべてを物語っているんじゃないでしょうか。夢が叶うことはもちろん素晴らしい。でも、叶うまでのあいだずっと苦しくて、もし叶うことがないとしたら、いっそ夢をみない方がいいんじゃない?というね。ファイブの幼さからくる、一周回って大人びた疑問が全ロマンティストの体温を下げる!!
そのあと「消失の魔法」っていうえらく直接的な魔法に手を出すのがウケた。ファイブがすみっコ達を消したがってる体でナレーションが入るのもカオス。ここでの消失魔法があっさり解けるのは、ファイブの魔法がまだ未熟だったからだよな⋯とひとりでヒヤヒヤしていました。
夢、消失!
とんかつが生きる希望を失った時に、エビフライのしっぽが泣いちゃうのがかわいい。かわいい!!!!普段ポーカーフェイスめな人が感情抑えられないシーンは全人類に効く。
ぺんぎんの夢消失からの復帰方法、ちょっとよく分からなかったんだけどあれは皿(河童の象徴)が割れることで、今の自分(夢消失状態)は本当の自分(河童)じゃない事に気づいた、ってことかぁ。ぺんぎんだけ隠喩と余白で語るの何なの。
前作をふまえての感想
1作目も2作目も、作中ではメインのすみっコ達の夢は叶わないまま終わるのが好きなところです。結果よりも、それに至る道を尊重している。今回の映画も面白かったんですが個人的には1の方が好みでした。
1は「どうしようもないことに対してどう折り合いをつけていくか」という話で、2は「苦しめられることもあるけど、夢があることで前進できる」という話⋯というイメージです。
2は夢がいつか叶うかもという温情がありますが、1は絶対にどうしようもないもの(絵本の世界と現実の世界の隔たり)をどうするか、という話だったので⋯。それに対するすみっコ達のアンサーがめっちゃ刺さった。
大きな壁を目の前にした時に、諦めるか諦めないか以外の、第三の選択肢を見つける話が好きなんだろうなと思います。
現実と重ねて・・・
ファイブの「すてきな魔法使いになる」という夢が、もし叶わなかった時。何年も何年も何年も、同じ失敗を繰り返して、年をとって、自分には魔法を使う才能がなかった、と諦めてしまった時。
その時にファイブは、自分に消失の魔法を使うんでしょうか?
いや、使わない。ファイブには支えてくれる兄弟や、悩みを共有する友だちがいるし。(映画特典の絵本でも語られてました。)
でも、現実には確実にいるんですよね。自分で自分の夢に、消失の魔法をかけてしまう人が。
そんな1人に⋯自分がなってしまう日もくるのかな。怖いな〜。でもそんな時こそ、選択肢は二つだけじゃない、という事を思い出さないといけない。そう考えると、映画2作のテーマは地続きのようになってる感じがします。
夢を追い続ける決意をするのが2。
叶わない夢に中指をたてるのが1。
3作目も楽しみにしつつ、自分の夢を追いかけていきたいな~。