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「にてますね。」
私ははぁと腑抜けた声を出す事しかできなかった。彼らからすれば私は十日前に上がった死体と同じ顔であるらしかった。
彼らの死生に対する反応は希薄である。
数年前までは言葉も持たなかったというから、魚のような鱗をもって、心持ちも魚のようだったのかもしれない。
「あなたもいつか会った魚人と似ていますよ。」
亡骸と同じ面の私は、にべもなく言った。加えて言えば、私には彼らは全て同じ顔に見える。彼は大きな目をさらに大きくした。
「本当ですか?僕も会ってみたいです。どこで会った方ですか?」
私も、目を張った。言葉が上手いのである。今まであった魚人は単語をおそるおそる繋ぎ合わせ、ボコボコとした不恰好な意味を、千切って投げるような声で発した。
彼の投げるものは、言葉であった。

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