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【はるかぜ 第6話】3分で読める恋愛小説|青春物語|毎日21時更新

6. 卒業式

春が近づき、卒業式の日が迫っていた。

ちなつは高校を卒業し、大学に進学することが決まっていた。

俊は彼女との別れが近づいていることを感じ、心の中が複雑に揺れていた。

「もう卒業ですね。なんか…寂しいです。」

ある日の放課後、俊はちなつに声をかけた。

「そうだね、時間が過ぎるのってあっという間だよね。」

ちなつは少し寂しそうに笑った。

「先輩がいなくなるなんて、まだ実感が湧かないです。でも、先輩ならどこに行ってもきっと大丈夫です。」

俊は真剣な顔でちなつを見つめた。

「ありがとう、俊くん。君もこれからもっと大きく成長していくんだよ。」

ちなつは優しく彼の肩に手を置いた。

そして、卒業式当日。

ちなつは笑顔で卒業証書を受け取り、友達と楽しそうに写真を撮っていた。

俊は遠くからその様子を見守りつつも、彼女に声をかけることができなかった。

「先輩…これで本当に最後なのかな…」

そう思いながら帰ろうとした時、校舎裏でちなつと偶然出会った。

「俊くん、ここにいたんだ。話せて良かった。」

ちなつは少し涙を浮かべながら笑顔で話しかけた。

「先輩、卒業おめでとうございます。今まで本当にお世話になりました。」

俊は深々と頭を下げた。

「ありがとう、俊くん。君と過ごした時間、本当に楽しかったよ。」

ちなつは優しく彼に微笑んだ。

俊は言いたいことがたくさんあったが、何も言えなかった。

ただ、彼女の微笑みが全てを語っているように感じた。

二人は静かに別れを告げ、ちなつは俊と初めて話した校門から、新たな道へと歩み出した。

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3分小説家|橘藍 たちばなあい
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