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【はるかぜ 第3話】3分で読める恋愛小説|青春物語|毎日21時更新

3. 文化祭の奇跡

文化祭の準備が佳境に入り、俊のクラスでは模擬店の準備に追われていた。

一方で、ちなつは3年生の劇の練習で忙しそうだった。

「先輩、劇の準備、順調ですか?」

俊は廊下で彼女に会った時、勇気を出して声をかけた。

「うん、なんとかね。でも結構大変。台詞覚えるのが苦手でさ…」

ちなつは苦笑いを浮かべた。

「え、先輩でも台詞覚えるの大変なんですね。いつも完璧に見えるから、そういうこと想像できなかったです。」

俊は驚いて言った。

「そんなに完璧に見えるかな?実際はけっこうドジだよ、私。」

ちなつは笑いながら答えた。

文化祭当日、俊は自分のクラスの模擬店を早めに切り上げて、ちなつのクラスの舞台劇を見に行くことにした。

彼女の演技は舞台上で輝いており、クライマックスではちなつが感情を込めて台詞を話す姿に、俊は胸を打たれた。

「すごかった…」劇が終わり、俊は劇場を出た後もその感動が消えなかった。

その夜、打ち上げの場で偶然ちなつに再び会った。

「先輩、今日の劇、すごく良かったです!」

俊は思わずそう言った。

「本当?見に来てくれたんだ、嬉しいな。」

ちなつは驚いた表情を見せつつ、微笑んだ。

「はい、台詞もすごく感情がこもってて、感動しました。」

俊は素直な気持ちを伝えた。

「ありがとう、頑張ってよかった。でも、君のクラスの模擬店もすごく人気だったよね。」

「え、あ、ありがとうございます。頑張りましたけど、先輩の演技には全然かなわないです。」

俊は少し照れくさそうに笑った。

二人は文化祭の思い出を話し合いながら、夏の暑さが和らいでいくのを感じていた。

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3分小説家|橘藍 たちばなあい
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