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南北キプロス旅行記 day4 南キプロスの二大古代遺跡を巡る

9時起床。昨夜の夕飯として買ったものの、数口で崩れ去り机と床に散らばったワッツアップバーガーの匂いが部屋中にプンプンしている。イメージしていた南欧の優雅の朝とは程遠い。

パフォスでは各都市からの長距離バスは高台の上にあるオールドタウン近郊のMunicipal Market bus stationに到着する。ここからメイン観光地である海岸部とは少し距離があるが、路線バス(610番と618番)が直通でパフォス考古学公園まで結んでくれているので安心されたい。また王の墓についても港湾部から615番に乗れば辿り着ける。

パフォスはギリシャ神話における美の女神アフロディーテが誕生した場所らしい。それを裏付けるかのように、この街の人々は皆スタイリッシュである。そんな中でやっすいバーガーで満足するアジアのモンキーが一匹いるのはもはや視覚的公害だろう。

バスターミナル近くにあった少女の像
映えるストリート。正直あまり面白くない

ただしパフォスの街中自体は特に見るとこはなく、丘の上にある旧市街も高いレストランが軒を連ねるだけ。早急に退散してまずはパフォス観光の目玉とされる王家の墓なるスポットへ。
実際には王家じゃなく貴族の墓らしいうえに、勝手にそこらへんの浮浪者に住まわれるわ、盗掘にあうわと散々な目にあった地下墓地である。
地下墓地、つまりネクロポリスといえば格好良いが大半は洞穴を少し改造したようなものが多く、ちゃんとした石窟になってるのは1割ほどだろう。メインとなる第3墓や第4墓は地下神殿のような見た目を未だに保っているが、やはり大きさが微妙。エローラやアジャンターといったゴジラ級を見た後だと、どうしても物置レベルにしか思えない悲しさ。なんといっても敷地が広すぎるうえに直射日光なので肝心のメインに辿り着くまでにやる気根気元気が全て喪われていくのだ。

パフォスの「王の墓」
地下神殿っぽい(ミニ)
海とのコラボがイイね
エローラの超々ミニバージョン


続いてマリーナ一帯に出て海沿いのスムージーショップに避暑がてら入店。
トロピカルエクスプロージョンとかいうやたら強そうな激重スムージーを飲み干した後に海に面したパフォス城と考古学公園へ。

パフォス城はこれでよくお金取れますなぁレベルの酷い物件である。マジで最近のアメリカ人の一般ご家庭くらいの大きさなのに強気の4.5€の入場料。展示品は周りの海の生態系のパネルとあまりにも適当。ここも一応世界遺産だが、これまでの中で最もコスパご悪いだろう。世界遺産ブランドももうおしまいやね。

パフォス城。コスパは劣悪
パフォス城の展示物。しょっぼ!
パフォスのマリーナエリア
トロピカルエクスプロージョンなるドリンク。カロリーのおばけである。

一方のパフォス考古学公園だが、こちらも特に規模のでかい建造物跡があるわけではない。ここが著名なのは状態の良いモザイク画が発見されたことによる。
特にデュオニュソスの家と呼ばれる邸宅跡には3-4世紀のモザイク画が非常に良い状態で大量に残されており、それらが20世紀に作製されたと言われても全然信じることができる。ポンペイのモザイク画には色彩という意味では劣るが、それでも一級品であることに疑いの余地はないだろう。

パフォス考古学公園の入口
パフォス考古学公園。屋外はそこまで目を引くものはない。
モザイク画。素晴らしいの一言
モザイク画
モザイク画
モザイク画


なおこの公園の入口にはキプロスの観光地には珍しく自販機が設置されている。この広大な敷地内では水分がありすぎて困ることはないので水を買おうとするも、先に並んでいる欧米人グループがあーだのこーだの悪態を付きながらが悪戦苦闘している。

よく見ると自販機はまさかの日本の中古であり、彼らは赤ランプで売切と表示されたボタンを一心不乱に押しているではないか。
彼等は水ペットボトル分の0.5€しか投入していないため、値段の高い他飲料には購入可能を示す青ランプも点灯せず、よって赤ランプを意味を知らずに押しまくっているようだ。

そしてなんで出てこないんだ!と怒り心頭のご様子。

そりゃ売切ですから、、、。

だが安心めされい。ここに勝手知ったるテクノロジー立国ジャパンの御子がいますよ??

苛立つ彼等に近付き、まるでイヤイヤ期の赤子を宥めるように話す。

「売切」
ディス、ミーンズ、ソールドアウト!

what!? ahh~~~~!!!!

ディスレバー、ガチャガチャ、カムバックマネー。アンド、トライゲアン、2€、ブルーランプ、ライト、プッシュ、オッケー???

ohhhhh~~~~~~!!!!!

そんな天才的言語センスで異文化コミュニケーションを乗り切る僕の目の前の海上では、ハリウッド映画でしか見ないようなパリピクルーズ船の上で、DJが爆音でヤングマンを垂れ流し、デッキが客で湧き上がってるのが見えた。陽キャ恐るべし。

キプロスで見つけたジャパニーズ自販機

キプロス島の北東西の三端を訪れたということで残りは南のみ。パフォスを16時に発ち、キプロスの南端にあたるリマソールへ向かう。パフォスに輪をかけて現代的な港湾都市となってるリマソールは、それこそオールドポート近辺の一部こそ洒落てはいるが、それ目当てで行くか?と言われるとまぁNOであろう。ディズニーが直ぐ側にあるのに、わざわざイクスピアリにだけに行きますか?という話だ。

リマソールのマリーナエリア

もちろん食費も当然かかるが、流石に南側で食うのがバーガーとかパンとかだけでは味気ないので、ひとまず地元の人が集まってる食堂に入る。

残念ながらメニューは全てギリシャ語でさっぱりだが、こういう時は大体左上を指しときゃ問題ない。結局名前も分からないチキンサラダもどきみたいな料理が出てくる。味は基本的に悪くはないのだが、入っているキノコみたいなやつだけが食感が最悪だった。

謎料理

海岸沿いの幹線道路に面した今日の宿は、正直あまり治安の良ろしくないエリアにある上に、肝心の内装もやたらピンクや紫の照明が目立つ。ぶっちゃけいかがわしい店にしか見えない。

ドミトリータイプの部屋がメインなのであわよくばそんな破廉恥行為をおっ始める輩が出てこないか不安だが、そういうイケイケ系ではなくでは老夫婦が同室人として採用される。

当初はホッとするも、実はこの老夫婦のオスの方こそ真の天敵であった。

ギュギュゴッグゴーンゴゴゴギュッギーグ!

これまで人のイビキを散々ティラノサウルスだのキングコングだのと罵ってきたが、今回は次元が異なっており、もはや体内にデスメタルバンドを飼い慣らしているとしか思えない。あまりの煩さに用意していた耳栓も役に立たない。もう終わったわ、と思ったその時、隣で同じように耐えていた老婦人がカンカンになって悪態をつきながら鎮圧しにいった。やはり夫婦でもキツイものはキツイらしい。

照明の色があまりにもいかがわしい

0900に起床。リマソール市内には前述の通り特になにもないので、郊外にあるクリオン遺跡へ。基本的には現地ツアーに参加して訪れる場所だが、案の定金がないので公共交通機関で向かうことに。ルートとしてはオールドポート付近のバス停から30番のバスでまずマイモールなるショッピングセンターに赴き、そこで18番に乗り換えて終点のクリオンビーチの少し手前で降ろしてもらう必要がある。特に後半の18番は本数が少ないので注意が必要だ。

クリオンビーチ
クリオン遺跡に向かう道。個人客なんて皆無

1時間半ほどかけて到着したクリオン遺跡だが、残念ながら全キプロスの中で最も微妙と言わざるを得ないだろう。古代の浴場跡はそれなりに面白いが、モザイク画は考古学公園に劣り、そもそもの遺跡の規模ではサラミスに劣り、アクセスでは王家の墓に(遥かに)劣る。高台に位置するために地中海の景色は抜群だが、そもそも暑すぎるのでずっと見てる余裕もない。これなら大人しく現地ツアーでしか行けないようなトロードス山脈とかレフカラ村に金をかけた方が良いだろう。

クリオン遺跡
クリオン遺跡。浴場跡
クリオン遺跡。これも浴場跡
クリオン遺跡
ハイライトたるモザイク画。アーケードが避暑にピッタリ


なおグーグルマップ上を見ると、このクリオン遺跡は正確には南キプロス領ではなく、キプロス島に領土を持つ更にもう一つの国、イギリス領アクロティリに位置しているっぽいのだが特にパスポートチェックや検問とかはなかった。そもそも個人観光客なんて皆無に近いので力を入れなくても良いのかも知れない。
※同じ島に3つの国の領土が存在するのは、ここキプロス島(南北キプロスとイギリス)とボルネオ島(インドネシアとマレーシアとブルネイ)だけである。

また長い時間かけてリマソールへ帰還し、15時の便でニコシアへ。リマソールは特にバスターミナルというものがないが、都市間のバスはAyia Napa Cathedralの前から乗ることができた。

カラフルな傘が吊られているレストラン
土産物ストリート
ここだけ見れば綺麗


外国あるあるでドライバーは運転中だろうと通話しまくるのだが、今回はその声がやたらとデカく、近くに座っていた白人男性もオォーノイジー……と頭を抱えている。
運転も荒いので南側の舗装道路では想定していなかった揺れに襲われる。これで目的地に早く着くならまだしも普通に遅延しているあたり、このドライバーには東武バスの社員研修を受け、根性を叩き直してもらわなければならない。

煩いドライバーに命を預け、リマソールからニコシアへと幹線道路をひたすら北上するバスの中からは、途中から30キロは奥にあるはずの北キプロス側のあるものが見える。

山腹に描かれたあの超巨大な北キプロス&トルコ国旗である。北側にいたときはなんでここまでデカくするんだと思っていたがこれで謎は解けた。わざわざ南側に見せ付けているのである。

この幹線道路は途中南側主要都市のパフォスやラルナカからの道も合流するので、大半の南側の人間は首都に行く際は必ずあの超巨大な国旗を見る羽目になるという、スケールがデカすぎる煽り行為。

でも悲しいことにこの嫌がらせを行っている北側の方が経済的に圧倒的に負けているんだなぁ。

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