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東欧旅行記 day8 ドラキュラの城に行く

ルーマニアといえば?の問いに、多くの日本人はオウム返しでこう答えるだろう。

ドラキュラ!!!

そう、このブラショフの近郊にはそのドラキュラ伝説の舞台となったブラン城があるというではないか。昨夜の睡眠時間は3時間もないがここで休憩するなんてあり得ない。頭痛に若干の吐き気を押し殺しての行動開始。

ブラショフはソフィアみたくバスターミナルが2つの…どころの騒ぎではなく、都市規模は遥かに小さくなるくせに4つに分散しているという謎仕様。とりあえずブランにはアウトガラ2とかいうターミナルから出るらしい。

ブラショフからバスで45分程(運賃は13レウ)で丘の上に佇むそのブラン城が見えてくる。周りの美しい自然と組み合わさってパッと見は良さそう。バス停を降りると入口までの短い通路の両脇に所狭しと土産物屋が並んでいるが、どれもこれもドラキュラ一色すぎて変わり映えが全くしない。

ブランのストリート

おまけに入口横には明らかにちゃっちいお化け屋敷が併設されており、おどろおどろしいBGMを垂れ流している。入場料は日本円換算で優に1000円を超えるという強気設定。これで微妙だったら焼き討ちものである。

謎お化け屋敷

城内に入ると何故か調度品がファンシー。何やら20世紀前半に当時のルーマニア王妃に与えられたとかで、その際にこの奥方の趣味に併せてリノベされまくったらしい。そのせいで期待していたような歴史的な見所はほぼゼロ。

ファンシーな内装

まぁこれでもまだマシな方なのがこの城の悲しいところで、フロアによっては完全にドラキュラに特化したエリアもあり、わざわざ暗室を作ってその中ホーンテッドマンションの5割程のクオリティーのホラーっぽい映像が流れている。もうディズニーランドのパチモンと言われたほうが納得できる。

そもそもこのブラン城、ドラキュラ伝説の舞台とか言うてるくせに、肝心のドラキュラことヴラド・ツェペシュはここに全く住んでいなかったというではないか。

そんなことが許されてええんか?これはほんまに焼き討ちか?

なんですの、これ

あまりにも残念なブラン城から引き上げ、ランゴスとかいうピザとクレープの合の子みたいなファストフードを食べて時間を潰しつつ、ブラショフに戻るバスに乗りこむ。

ランゴス

なおモンスターハンターに出てくる虫型のキモいモンスターの名前はランゴスタである。たぶん関係はない。

ドラキュラと言えばブラショフから2時間程にあるシギショアラという小さな街では、ガチのドラキュラの子孫、つまりヴラド・ツェペシュの子孫がやっているレストランがあるらしい。ただし味のクオリティは微妙とのこと。

ブラン城。こうみると良さげ

ブラショフ到着後は漸く散策を開始。朝10時の段階では皆様夢の中だったが、流石に15時とかになると起きてきたらしく、スファトゥルイ広場を中心に活気に満ちている。ここの旧市街はかつてザクセン人の入植地だったため、街並みはどこかドイツっぽいのがウリ。一応街自体にもドイツ名があり、クローンシュタットと言う。

旧市街の中心スファトゥルイ広場
旧市街への入口。もちろん普通の車道もある

中心部であるスファトゥルイ広場の西側にはひときわ目立つ外壁が黒い教会があるが、これはそのまま黒教会と呼ばれている。黒いのはオスマン帝国との戦争で街が大火に見舞われた際の名残!英雄的犠牲!と主張しているが、実際は19世紀以降の大気汚染の結果らしい。つまり単なる汚れなので、モップをかけたらたぶん白くなるだろう。

黒教会
近くで見るとそんなに黒くない
黒教会の内部

また街の南側には標高1000m弱のトゥンパ山が聳えており、そこの展望台からの眺めもまた良い。ロープウェーは往復25レウとブラン城基準だと非常に良心的だが、運賃以前の問題で最終便は16時半という早さ。
にも関わらずロープウェー本体はかなり小規模なためかなり効率が悪く、乗車するのに1時間待つこともザラ。ぶっちゃけ登山道使ったら1時間弱で下山はできるので、登りはまだしも下りは登山道使ったほうが早い説まである。
なおトゥンパ山から見下ろしたときは一応街を取り囲む城壁も確認できるが、地中海沿いの城塞都市と比べるとかなり貧弱そうに見てる。棒高跳び選手ならたぶん越えられるだろう。

トゥンパ山からのブラショフの眺め
Coca-Cola!

晩飯はルーマニア風ロールキャベツであるサルマーレ。宿のオーナーにオススメされたとこで流石の美味さだが、価格もそれ相応で度肝を抜かれる。脱サラした=金持っていた、ということで金銭感覚が違うのだろうか。20代のポンコツJTC企業社員のお賃金では耐えられないよ…。

え、ドリンク何頼むか??あ、その……、やっすいレモネードでお願いします……。

サルマーレ

他の欧州観光地に見られるような夜通しドンチャンパリピ騒ぎもなく、23時には全体的にひっそりと静まりかえる。ライトアップもそこまで力を入れていないようだったので宿に戻り就寝。同室人は全員白人の可愛い女の子、漫画ならハーレム展開だが生憎僕は陰キャコミュ障キモオタブサイクボッチアジア猿(役満)、ちょこっと話しただけで終わってしまった。

トゥンパ山

8時に起床。爆睡する白人組を他所に街の散策に行こうとするも生憎の雨。この旅行たしかにあまり晴れた記憶もないし、もしかして5月のこの地域はあまり天候が良くないのだろうか。

とりあえず出歩けないレベルではギリギリなかったので、欧州で3番目に細いらしい路地を歩く。割とどこにでもある、それこそ渋谷のビル街の裏とかにあるレベルの路地なような気もしたが、白人組にはバカ受けするらしく、通路の壁には落書きがビッシリと刻み込まれていた。

欧州で三番目に細いらしい路地

11時のブラショフ発の電車に乗り込む。昨日のものよりグレードが落ちる車両らしくコンパートメントタイプじゃなく普通のボックスシートが主である。ただ所要時間はほぼ同じで3時間弱でブカレストノルド駅に帰還。昨日より天気が悪いので景色を心配していたが、カルパチア山脈を抜けると晴れ間が現れ、昨日同様の菜の花畑も見ることができた。

途中のシナイア駅。通過したがここも観光名所があるらしい
今度の車掌はどこかデブい

未明時よりも格段に活気あるノルド駅構内をよく見ると、遠くブタペストまで行く列車も運行されていた。ベオグラードからブタペストに向かう夜行列車に乗車した際は8.9時間くらいだったと思うけど、こちらは果たして何時間かかるんだろうか。欧州は長距離バスや列車の移動距離が桁違いなので気になるばかり。

※コソボではドイツ行きのバスもあった。遠すぎぃ!!!

それではブカレスト散策の時間です。

ブラショフにあった神をも恐れぬ悪魔の食事の店

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