山形の姥神をめぐる冒険 #30
(株)石駒 山形市十日町 2024年2月
これこそアーバン・ウバ(町中の姥神のこと)の典型的なロケーション、山形市中心部の十日町にある石屋さんの店先にいる姥神だ。近くには高校やコンビニもあるのだが、道行く人にガンつける迫力にたじたじとする。
この石屋さんは江戸時代末期の創業で、蔵王ワサ小屋跡にある姥神の頭部の修復なども手がけているそうで、店先には姥神の他に様々な石像が並んでいる。
ところでこの姥神、平清水大日堂の姥神にそっくりなのだ。高校の教員をしている方が山形各地の姥神を参考に彫った作だという。よく見れば顔つきも、背中の後ろで結んだ髪も平清水と同じだ。
能面の般若を思わせる顔だ。牙もはっきりわかる。桜が似合いそうだと思う。坂口安吾の『桜の森の満開の下』に出てくるあの鬼女は、こんな雰囲気かもしれない。
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