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山形の姥神をめぐる冒険 #58
【蔵王祓川登山道】 2024年8月
このスポットは6月に熊の人身事故があったばかりだった。だから、入念にストリートビューで予習して姥神の位置を確かめ、熊が出やすい時間帯を避けて臨んだ。それがうまくいってスムーズに車道から登山道に入り、川辺に座る姥神に辿り着いた。
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テンション高めのウバだった。こんな所によく来たねえ、と面白がっているような大きな口。その一方で着物の裾や手の形、全体的なフォルムは整っている。後ろ頭が大きくえぐれているけれど、かろうじて姿は保たれていた。
辺りは流れ下る川の飛沫で煙ったようになって冷涼感抜群。こんな所はそう、菌類が活発になる。あちこちに変形菌がいて、タマゴダケもニョッキリ出現していた。
ここは蔵王山頂までまで続く登山道のほんのスタート地点だ。だから、女人はここまでという結界ウバの役割があるのだと思う。だけどこんな奔放な大口を見ると、今は役目を変更して通る人をからかおうかといういたずらっ子みたいだ。
獣や菌類たちと一緒に、森の姥さんになって。
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