山形の姥神をめぐる冒険 #17
【蔵王坊平 お清水の森】 2023年11月
今は姥神めぐりがメインだが、それまでは湧水ハンターと称して山形各地の湧水を訪ねて来た。ここ坊平のお清水の森も登山道の登り口に水が湧き出ている。何度も来ている所なのに、この日は道を間違えた。蔵王温泉から大回りして森に着いた頃にはすっかり機嫌が悪くなっていた。
登山道を少し登ると斜面に石仏群が現れる。そこから少し外れた岩盤に姥神はいた。
両膝を立てているように見えるが左手にあるのは死者から剥ぎ取った衣だ。
ひと目見て、
「三途の川で会うなら、この姥神に会いたい」
と思った。好きな顔だ。
日の光が眩しそうなシャープな目元、やや不適な笑みを浮かべてどっかりと座っている。しゃくれたあごは相当立派なもので、言い訳や誤魔化しなんかあっという間に切り捨てられそうだ。クールで少しニヒルな感じさえする。
すみません、私が未熟者でした。
つまらない事でイライラなんかして…。
数段うわ手の姥神さま。
あなたになら裁かれましょう。
姥神がいる岩盤の足元にはタヌキノチャブクロがあった。ホコリのような胞子が飛んでゆく。
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