山形の姥神をめぐる冒険 #14
【若木神社 境内】 東根市神町 2023年10月
若木神社の鳥居をくぐり、参道を少し歩いた先を行くと姥神はお堂の中に座っていた。お堂は姥神専用で屋根つき物件ひとり占めだ。今まで人々から忘れ去られ、野ざらしになっている姥像をたくさん見てきたが、こちらの姥様はきれいな服を着せられ、キャンディーまで供えられていた。この待遇の違いは如何なるものか。人に見られてこその信仰ということか。
姥神の写真を撮っていると、鳥居の向こうから元気に走り出してくる男の子と大人たちが現れた。すぐ隣りにはブランコなどの遊具があり、他の家族の姿もある。みな、子ども一人に何人かの大人が見守っている。
ここ東根市は、少子化が進む地方都市の中では珍しく人口が増えている。子供が遊べる施設や文化施設の充実化、新しいカリキュラムの学校の新設など目覚ましい。美味しいお菓子屋や食べ物屋もたくさんできた。この若木神社の境内も子どもの遊び場となっているようだ。そんな中でこの姥神像は自然と人びとに親しまれてきたのかもしれない。かつての村にはあった姥神の〝乳母〟的役割がここには残っている。
そう思って再び見れば、近所のおばちゃん的な素朴でふっくらしたお顔である。ちょっと怖い顔してみようとしたけど、全然怖くない人みたいである。こんな奪衣婆もいるのである。
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