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山形の姥神をめぐる冒険 #12

【大橋】 山形市岩波 2023年9月

 無言で辻に佇むその姿が何とも不気味なような、何も後ろ暗いところはないつもりなのに居心地がよくないような、そんな気持ちになってしまう場所である。山の水が勢いよく流れる川の冷気とサワグルミの薄暗い木立ち。辻の向こうは山で、こちら側は人家が並ぶ。山と人里を隔てる境界だ。
どうも長居したくない場所なのだ。

 誰も利用しなさそうな電話ボックスやバス停の看板や曇ったカーブミラーなど、この辻にはいろいろな何かが行き来し続けているような…。過去も未来もぐにゃりと歪んで曲がり込んでいくような…。
 混沌とした辻の姥神様。ただただ無言なのだった。


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