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山形の姥神をめぐる冒険 #45

【切畑】 山形市    2024年4月

 トコトコと音が聞こえる線路は山形と仙台を結ぶ仙山線。山寺駅から高瀬駅に向かう電車の中にいると、重なり合ったトンガリ山の合間に見えてくるここの田園風景にいつも見とれてしまう。郷愁を掻き立てられる風景というか。いかにも日本昔話がたくさん出てきそうな里山の雰囲気なのだ。

 この高瀬地区にある切畑は、陶芸窯や多くの石塔がある古い集落だ。集落を通る一本道から住宅と住宅の間にある細い道を入るとお堂が見えた。東山高瀬三十三ヶ所観音霊場の19番所にあたる。お堂は全体が斜めに傾いて、かろうじて立っていた。扉もないお堂の正面にいたのは木彫りの姥神だ。丸い目に団子鼻の近所のおばちゃん的姥神様だ。ほっとするような気持ちがするのは、木彫りのぬくもりだけではないのだろう。

 畑仕事の帰りにちょっと挨拶しよう。
 学校の帰りにちょっと顔を見てこよう。
そんな気持ちにさせてくれそうな姥神様だった。

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