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山形の姥神をめぐる冒険 #10

【大岡山 山頂手前】 山形市風間 2023年9月

 急勾配を息切らせながら登り続け、ほっと顔を上げた瞬間、ギョッとする。うわ、そこにいらっしゃいましたか、心の準備が…。登った時は驚きのあまりしげしげとその顔を見て「そんなに怒らないで…」と思ったものだ。しかし改めて写真で見ると急坂ご苦労様、とねぎらってくれているように感じるから姥神に会うのは面白い。
 こちらの姥様は随分とお顔が大きくて八の字に寄せられた眉根の美しさは随一だ。
そして、背中の平べったいこと。板のような岩を彫ったのだろうか、その岩を生かしたデフォルメが効いているといおうか。

 この大岡山は、麓から見ると山頂が長い直線になっていて大きな台形をしている。普段から多くの人が訪れる山だ。この姥様はそれだけ人びとに親しまれているようで、たくさんのお供え物が置いてある。他の多くのうち捨てられた姥神像もいる中で、〝今生きている姥神〟と言えるかもしれない。
 そこに込められる祈りと念も、スポーツチームの優勝だったり、孫の健やかな成長だったり、孤独の慰めだったり…。ダイバーシティ化しているのかもしれない。

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