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肉感がすごい大日如来、最古のハンドスピナー【空海展レポ】

行ってきました「空海展」。

正式には、『空海 KŪKAI―密教のルーツとマンダラ世界』です。

時間がとれなくて、中々行けてなかったんですけど、やっぱ会期末なんで人多かったですね。

年齢層は、美術展とかに比べると高めで、若者が少ないというよりかは、お年寄りの方が多かった、って感じです。あとは、ちょこちょこ修学旅行で来てる人もいました。

感想としては、めっちゃ良かった!あと、想像の3倍ぐらい展示があった!

最初に、仏像やら仏教絵画やらが展示されてる大きめの四角い部屋があるんですけど、それで終わりだと思ってました。

その奥に、3つか4つぐらい同じスケールの部屋があったんです。しかも、展示物でびっちり埋め尽くされていました。

ただ、奥の展示は文書とか仏具が中心だったので、個人的にはやっぱり最初の展示が一番良かったですね。サンスクリット語とか漢語なんて読めるわけないですし。


即席音声ガイド

というわけで、主に最初の展示を中心に話していきたいと思います。

まず部屋に入って感じたことは、思ったより騒がしい、ってこと。

仏教の展示なので、みんな静かに見てるのかなーと思いきや、みんな展示を見ながらあーだこーだと話していました。

よく見られたのは、お年寄りの男性が連れの人に「これは仏様を呼び出すための道具なんだよ」みたいな、ちょっとした知識を話している場面です。他にも、女性同士で素朴な感想を言い合っている方なんかもいました。

僕は盗み聞きが趣味なので、そうした話をこっそり聞いていたわけですけど、けっこう詳しい人がいたんです。その人の後ろで展示を見ていると、まるで音声ガイドをつけているみたいでした。

その人が曼荼羅の絵を見たとき、けっこう印象的なことを言っていたんです。

「この絵ってのは、宇宙を表しているんだよ。まあ、太陽系みたいなもんだね。」

詳しい人からすると、正しくない説明なのかもしれません。ですが、個人的にはすごく面白い説明だと思いました。

その説明を聞いたあと、曼荼羅の絵を見てみたんです(僕は、後ろについて展示物を見ていましたから)。

簡単に解説すると、曼荼羅っていうのは仏様の世界を図示した絵画のことで、真ん中には「大日如来」っていう、一番偉い仏様がいます。

で、その周りを「中台八葉院」っていう、側近みたいな人たちがいるんです。人ではないけど。

ここで、ハッと気がつきました。

大日如来は、名前に”日”があるので、おそらくお天道様、つまり太陽に関係があるのだと思います。

そして、その周りを8体の仏様が囲んでいる。

太陽系の惑星は、水・金・地・火・木・土・天・海の8つがあります。

そう、これってまんま太陽系と同じなんです。

曼荼羅は、西洋の宗教画とは違って、かなり規則的な形で描かれています。気になった人は検索してみてください。

その厳密な感じも、数式で構成されている天文学と似ている気がします。書いててちょっと無理があるように思ってきましたが、「曼荼羅とは太陽系である」という説明は、けっこう的を得ているんじゃないかと感じました。

ドラクエ、そしてLebron

曼荼羅の前に、帝釈天や毘沙門天などの「八方天」の姿を描いた絵が展示されていました。

イメージとしては、中央に八方天うちの一体がいて、その両サイドに小さい仏さまがいます。

第一印象としては、「これドラクエのボス戦やん!」でした。ほら、よくあるでしょ。ボスの周りに雑魚がいるやつ。

こういうやつ

ていうか、ドラクエがこうした仏教画から着想を得たのではないでしょうか。詳しい人いたら教えてください。

基本的に、どの絵も怖い感じで描かれてるんですけど、中でも毘沙門天が一番怖かったです。七福神みたいに優しい顔をしている絵とかもあったんですけど、毘沙門天はそうした感じがまったくなかったです。

そして、これが伝わる人が何人いるかわかりませんが、ネットミームの「Lebron」にそっくりな八方天がいました。あ、「evil Lebron」の方です。

伊舎那天っていう神様で、顔がマジで真っ黒でした。そこから狂気を含んだ笑顔を見せているところが、ほんとにそっくりでした。

↓この動画のやつ↓

この絵を見たとき、頭の中で「you are my sunshine」が流れ始めました。

「まさかこの曲は、大日如来のことを歌った曲なのか?」という意味不明な思考も頭をよぎりました(sunshineなので)。

素朴な絵に隠された遊び心

無駄話はこれぐらいにして、その反対側には空海と共に仏教を日本に広めた、「真言八祖像」の絵が展示されていました。

この絵は、その人が座っている姿が描かれています。八方天と同じで、1人ずつ計8枚の絵がありました。

並べて見ることで気づいたんですが、みんなちょっと斜め向いてるんですよ。どういうルールがあるのかわかりませんが、まっすぐ正面を向いている絵はありませんでした。

そして、左を向いている人は両手を合わせて座っていて、右を向いている人は両手を膝のあたりに置いているという、謎の規則性もありました。

服装などの違いはあれど、言ってしまえば坊主の人が座っているだけの絵なので、退屈・・・と思っていたら、驚きの発見をしました。

実際には、周りの人が言っていることを盗み聞きしただけなんですけど、絵の下の方をよく見ると、その人が脱いだ靴が描かれているんです。

多分、ござかなんかに座っているので、履物を脱いでいるのでしょう。それが、絵によってけっこう差があって面白かったです。

割と先が尖った靴や、スリッパみたいな靴など、けっこうバリエーションがあったんですね。ちなみに空海は、茶色いスリッパみたいな靴でした。

こうした細かい遊び心があることに気づいた瞬間、「いい絵だ!」と思いました。そういう遊び心、大好きです。

やっぱ仏像でしょ!

でもやっぱり、個人的に一番楽しみにしていたのは仏像です。

私がいつも見ているYouTuberの名越康文さんが、空海展のアンバサダーをやっているのですが、その紹介をする動画で、「この展示は立体曼荼羅だ」と言っていました。

まさしくその通りで、部屋の中央に大日如来像があり、その四方に4体の仏像、さらに外側に他の仏像があるという、曼荼羅を立体化した展示となっていました。

一応補足しておくと、立体曼荼羅というのは実際にあるもので、空海展はそれをできる限り再現した、ということです。

何と言っても、仏像を色んな角度から見られる、というのが良かったです。

タモリ倶楽部のどこかの回で、仏像フィギュアの後ろ姿を見て名前を当てるクイズをやっていたとき、みうらじゅんさんが「フィギュアだから、色々な角度から見れるのがいいね」と言っていました。

今回の展示は、それを実際の仏像で味わえる、というわけです。

空海の有名な仏像も展示されていたのですが、正面だけでなく、横や後ろから見れるようになっていました。まあ、後ろ姿はけっこうシンプルに作られているんですけど、色々なアングルから見れるのは楽しかったです。

途中から、仏像のベストアングルを探す遊びを勝手にやっていました。空海は、右から回り込んで見るのが、凛々しい横顔や左手につけている仏具を見ることのできるベストアングルでした。

不動明王の仏像も展示されていました。

「不動明王は、何事にも心を動かされることが無いから不動と呼ばれている」という記述を読んでから、一番好きになった神様です。

僕は、色々なことに心を乱されっぱなしなので、思わず目をつむって、「僕はこれからどうしたらいいですか!」と聞いてしまいました。情けない話です。

僕の主観かもしれませんけど、不動明王の仏像って目がちっちゃい気がするんですよね。その可愛らしい感じも、けっこう好きだったりします。

ただ、最も衝撃を受けたのはやはり大日如来の仏像です。

これは部屋の中央にあったやつとは別なんですけど、金色の立派な仏像でした。

何がすごかったかと言うと、肉感ですね。

金属で作られているはずなのに、ものすごい柔らかさがあるんです。特に二の腕の部分は、ぷにぷにしており、触ってみたくなりました。もちろん、触ってはいけないので我慢しました。

そういう風にして見ると、袈裟が上半身の片側にだけかかっていることや(多くの仏像は上半身が隠れている)、片側の脚がけっこう露出しているところに、エロス的なものを感じました。

いやこれ、絶対狙って作られてるでしょ。「そんなわけないだろ」と思った人は、ぜひ自分の目で確認してみてください。

真っ黒な曼荼羅とか、マスコットとか

長くなったので、他に良かったところを簡単に言って終わろうと思います。

まず、「高雄曼荼羅」ですね。これは、空海が描いた曼荼羅です。

真っ黒の背景に、金色の泥で描いているという、中々に変わったやり方で作られています。

時間が経って褪せているのか、パッと見た感じは、完全に真っ黒な板にしか見えません。ですが、近くで見るとうっすらと仏像の姿が浮かび上がってきます。

狙っているのかは不明ですが、少しずつ仏像の姿が見えてくるというのは、神秘的な体験でした。

次は、「十字羯磨」です(名前は調べました)。

タイトルにも書いてある、ハンドスピナーのやつです。

四又にわかれてるんですけど、見た目が完全にハンドスピナーなんですよね。装飾が豪華な感じも、一通り流行ったあとに出てきたキワモノみたいでした。

なんやねんこの話ってね。でも、一応タイトルに書いたので触れておきました。

最後に、展覧会のマスコット(?)みたいなキャラの話をさせてください。

なんか、仏教の話を分かりやすく紹介するキャラクターがいて、孔雀とか牛とか、まあまあの数がいました。「ざんまいず」という名前でした。多分、仏教に関係のあるモチーフが使われているのでしょう。

「ざんまいず」は、みんなデフォルメされてて可愛いのですが、中でも「あおじし」が良かったです。

青色の犬っぽい見た目で、手足が短くちんちくりんな感じがなんとも可愛い。オレンジのほっぺや、口から出ている2本の牙もめちゃくちゃチャーミングです。

今調べたら、奈良国立博物館の公式キャラクターみたいです。


サイトより 真ん中があおじし

まさかのマスコットの話で終わったけど、以上です!


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