闇の就活体験記 全落ちから立ち直るまで
もーーーー思い出すのも嫌な話。といっても最近のことなんだけど。
タイトルにある通り、就活全落ちしました。
そのせいで一時期はかなり病んでたんですけど、最近ようやくまともな精神状態になりました。
ということで、闇の就活体験記というか、ことごとく失敗した自分の体験を振り返ろうと思います。良ければ、最後まで見てやってください。
就活を始める
まず、なんで就活を始めたのか。
その理由は簡単、4回生になったからですね。
今まで勉強が忙しいだのなんだの理由をつけてサボっていた、就職活動と向き合う時期かなーと思ったので、なんとなく始めました。
まあ、ほんとに何もしてこなかったから、まずエントリーシートの書き方がわかんねぇんだわ。
とりあえず、適当に調べたら大学の履歴書ってのがあることがわかったので、生協で買いました。
でまぁ、いろんな欄があるわけですよ。
研究テーマとか、自己PR、大学で打ち込んだこととかがね。
これが何も思いつかない!
いや、別に何も頑張ってなかったわけじゃないんです。
数えきれないほどの本を読んだり、講義を真面目に受けて色んな教授から好かれたり、趣味だと今書いてるnoteの更新、ギターの練習とかがあったりします。
ただ、これ書いてどうすんだ?ってなりました。
だって、企業側が求めてるのはサークルとか留学とかボランティアとか、そういうのでしょ?
いや、もうこれが本当にムカつくんですけど、ほとんど履歴書に書くためだけに留学とかボランティアやってるやついるんですよ。
いいんですよ。留学やボランティアはいいことなんだけど、「就職のため」って理由でやっちゃダメでしょ。
僕は哲学科で、かなりカント的な考えの持ち主なので、こういう面倒くさい考えを持っています。
一応説明しとくと、カントは行動の結果じゃなくてその行動に至る意志、いわゆる「善き意志」ってのを重視してるんですよね。つまり、いくらボランティアで人の役に立とうと、邪な気持ちを持っていたらダメってことです。
サークルも、最初は入ってたんですけど、「やっぱ家で本読みたいな、大学で勉強したいな」ってなって、結局行かなくなりました。
ということで、そういったことは一切書けないんです。
まず、これが辛かったですね。
自分では、一切後悔のない充実した学生生活を送っていたのに、それを勝手に「無価値なもの」と判断されるようなものですから。
そりゃ、そういう意見に反論はいくらでもできますけど、そんなことしても無意味です。そもそも、面接官とか企業の人間はそういった話が通じないので。
とはいえ、何かは書かなきゃいけないので、読書とか講義のこと、その辺をいい感じにまとめました。
そして、大学に就活支援センターみたいなとこがあったので、そこも予約して行くことにしました。
ちなみに、ここまで2日3日ぐらいの出来事です。決断したら、けっこう行動するのは早いタイプかもしれません。
ついでに、写真機みたいなやつで履歴書に貼る写真も撮りました。
で、やっぱり大事なのはどの業界を志望するってことじゃないですか。
僕は最初、文章を書く活動をしてるってこともあって、ライターを志望しました。
それで、とりあえず1社受けてみたんですけど、書類選考で落ちました。
まあ、それはいいとして、ライターの求人ってけっこう少ないんですよ。で、そういうのを見てるうちに、「別にライターじゃなくても良くないか?」って思うようになりました。
そんなことを考えながら、予約した日に支援センターに行きました。
大体、50分ぐらい時間があったんですけど、聞きたいことがほとんど聞けませんでした。
どうしてかって?向こうが死ぬほど喋りまくってたからです。
いや、確かに詳しい人の情報はありがたいけど、まず俺の聞きたいことに答えてくれよってずっと思ってました。
結局、質問できたのは最後の2~3分ぐらい。ひどくないですか?
ちなみに、落ちたことで不要になった履歴書を持ってきていたので、「この履歴書に点数つけるとしたら、何点ぐらいですか?」と聞きました。
すると、「うーん、60点かな」と言われ、アルファベット4文字の書き方のコツみたいなものを教えてくれました。
「いや、そういうのが聞きたかったのよ。だって、こっちはまず履歴書に何書いたらいいかわからないんだから!」
というわけで、思っていたような成果は得られなかったものの、ある程度の情報は得ることができました。
面接へ
で、その人は「とにかく何個も受けたらいいよ!私なんて100個ぐらい受けた!」と言っていたので、志望を求人の少ないライターから、事務職に変更して、20社ぐらい申し込みました。
履歴書も、「小さい頃からパソコンを使っていた」「WordやExcelができる」といった、事務職向けっぽいものに変更しました。手書きは大変だったので、デジタルで作って同じ履歴書を全部の企業に送りました。
すると、意外と書類選考に受かった会社が多かったんです。多分、3分の1ぐらい受かりました。
それはいいんですけど、「書類選考受かりましたよ」の電話がめっちゃかかってくるんです。しかも、割と朝早くに。
こっちは疲れてるからもう少し寝たいのに、あれは最悪でしたね。なんで朝から気を使った会話をしなきゃならないんだよ。
しかも、受かったところの1個が「indeed」関連の会社だったらしく、就職エージェントみたいな人から電話がかかってきました。
この人がほんとにクソで、「就活いつ始めたんですか?」「面接の予定は?」「自分の強み、弱みはどんなのがあります?」みたいな感じで就活のことをめっちゃ聞いてくるんです。
でも、ちゃんと答えないと落とされそうなので、真面目に答えました。しかも、何回も電話してくるんですよ。
切る前に、「今度電話できるのいつですか?」って、恋人かよお前。
まあ、とりあえずいっぱい受かったので、面接の予定を組まなきゃいけないわけです。
基本的に、どこの会社も近い日時を指定してくるので、同じ週の月・水・金に面接が2つずつ、土曜日も1つという、超絶過密スケジュールとなりました。
しかも、電話かかってきたのが前の週の土曜日なので、2日後に面接が始まったわけです。正直、このときは忙しすぎて嫌になってました。
対面の面接がほとんどだったので、最初の面接がある月曜日も、早起きして指定された場所に向かいました。
いくらメールで場所が送られてるとはいえ、知らない場所なんで電車とか道とか不安じゃないですか。
だから、1時間以上の余裕を持たせて行ったんです。
ところが、自分の方向感覚が優れているのか、一切迷わずにたどり着きました。そのときは2時間ぐらい前だったので、ビルの近くの適当な場所に座って、時間をつぶすことにしました。
音楽聴きながら本読んでたんですけど、これはけっこう癒しになりましたね。最後の方は、面接がオマケで本を読むために早めに行ってる感覚でした。
そんなこんなで時間になったわけですけど、面接ってやったことないので、正直どんなものかわからず緊張しました。
ただ、内容はどうってことない感じで、ほとんど雑談に近いものでした。
向こうが色々聞いてきて、こっちが答える。
ただ、聞いてくる内容も履歴書が中心なので、困ることはありませんでした。
唯一、「なぜ人事の業務を選んだんですか?」と聞かれたときは、まさか適当に上から選んだとは言えず、
「大勢の前で話すことは苦手なんですけど、1対1のコミュニケーションが得意なんですよ。だから、就活してる人とうまく話せるんじゃないかと思って選びました。」
という、完全にでっち上げの理由を言いました。
このとき驚いたんですけど、この手の出まかせがノータイムで口から出てきたんです。
一応、あんまり考えこんじゃダメなのかな、とは思っていたのですが、聞かれた瞬間に脳がカチャカチャとピースを繋げて、言葉を発しながら次に言うことを考えるという、全盛期の手塚プロダクションみたいな感じで、その場で言葉を作ってすぐに出力する器用さに、自分で驚きました。
ただ、面接が楽しかったというと、そんなことは一切ありません。
最初に受けた面接官は、納言の薄幸にそっくり(ていうかほとんど本人)だったのですが、顔を見た瞬間に、本能的な警戒感がマックスになりました。
「この人に絶対に心を開いてはいけない」
そんな心の声が聞こえてきました。面接中、笑顔になったり、明るい口調で答えることもありましたが、全部計算されているというか、スイッチを順番に押していくみたいな感じで、「適切な返答と態度」をこなすことだけに集中していました。
多分、それは向こうも同じだったので、お互い自分の前に透明な壁を貼りながら話してるみたいで、ものすごく疲れました。あの独特な空気感は、「ああ、社会に片足突っ込んだな」って感じがしましたね。
心を壊す、体も壊す
これが1回だったらいいんですけど、一日おきに2回ずつあったので、文字通り心も体もボロッボロになりました。
しかも、数日たったら面接の結果が返ってきたんですけど、ことごとく不採用だったんです。
このとき、普通の会話をしただけなのに「あなたはダメな人間だ」と言われたような感覚と、あんなに気を使ったあの時間は何だったんだ、という気持ちが同時に襲ってきました。
いや、自分なりに適切な会話をした結果、拒絶されるっていうのは思ったより心にきます。
もちろん、頭では倍率が高かったからとか、留学やボランティアをしていなかったから仕方ない、といった合理的な理由が浮かんでくるのですが、なんていうか心を直接殴られたような感じで、そういった理屈を貫通して精神をノックアウトされました。
で、なんとか土曜日に全部終わったんですけど、そこから「結果待ち」という最悪の時間が始まります。
その時点で、何社が不採用の通知をもらっていたので、「多分無理だろうな」と予感していました。
でも、この会社はもしかしたら通るかもしれない、という期待感はどこかで抱いていました。もうね、これが辛かったです。
例えるなら、死刑の宣告待ちみたいなものです。いや、実際には通る可能性があるわけですから、それよりはマシなのかもしれませんが、「絶対に落ちる」とわかっている結果を待つ時間はしんどかったです。
で、予想通り全部落ちてました。
自慢じゃないですけど、僕、今までほとんど風邪をひくってことがなかったんです。コロナが流行っていたときも、割とピンピンしていました。
ただ、就活のストレスなのか、どこかでもらったのか、思いっきり風邪をひきました。これがけっこう酷くて、頭は痛いわ喉は声が出ないほど潰れてるわで、久しぶりにがっつりダウンしました。
それに加えて精神もボロボロだったので、「死にたいな」ってずっと思ってましたね。謎の自罰感情で、2週間ぐらいオナ禁して、保存していたサイトの履歴も全部消去したりもしました。
心身ともに、かなりギリギリの状態だったと思います。
ここからが大事:どうやって立ち直ったのか
で、ここからどう立ち直ったかという話。個人的には、ここからが重要です。「いや、前置き長すぎやろ」とか言わないでください。
やっぱり、一番大きいのは「仏教」でした。
「あ、こいつスピリチュアルにハマったな?」と思いましたか?いや、そういうわけではありません。まあ、そうなのかもしれないですけど。
就活を始める少し前に、『禅とは何か?』という割とむずかしめな本をブックオフで見つけて、読んでいました。
まあ、タイトルそのまま禅の話が出てくるわけですが、その中で印象的な言葉がありました。
それは、
「人は生まれるときは1粒の米も持たずに生まれ、死んでから向かう場所には、たとえ100万石の領主だったとしても、一俵の米だって持っていけない」
こんな感じの言葉でした。
つまり、どれだけ現世で利益を得たとしても、それは虚しいことだという意味です。
この言葉だけだとよく分からないかもしれませんが、前後の文脈も同時に考えたとき、ふと
「自分は知らず知らずのうちに、多くのことを背負いすぎていたのではないか?」
と思いました。
私はそこそこの大学に入っているので、就職は比較的有利です。さらに新卒なので、最も就職に有利な時期であるとも言えるでしょう。
ただ、これは裏を返せば「そこそこの大学に入ったのだから、ちゃんとした仕事に就かなければいけない」「今の時期が一番良いから、就活をしないといけない」ということになります。
自分の意思とは関係なしに、外部から迫りくる理由によって、「就活をしなければいけない、そして内定を勝ち取らなければいけない」という状況に追いやられている。
考えてみれば当たり前のことですが、その事実に気がつきました。
そして、
「背負ってるものを一度下ろそう」
と思い立ち、「indeed」のタブを消去し、メールも見ない、受け取らないことにしました。
家族にこのことを言うと、
「え、就活やめるってこと?」「就職できなかったらどうするの?」
と言われましたが、はっきりと
「先のことは俺だって分からない」「就職できなかったらバイトでもなんでもして生活費を稼ぐ」
と言いました。
開き直ったわけではなく、素直な感情です。だって、未来のことなんて分かるわけないじゃないですか。
だから、しんどいならとりあえず一度立ち止まって、今一度自分のしたいことを見つめ直してもいいんじゃないかと思いました。
皮肉なことですが、「自分のしたいこと」を探すことが求められる就活が終わった後に、自分のやりたいことを探そうと決意したわけです。
まあ、就活でいうところの「やりたいこと」なんて、偽りのものでしかないですからね。
不採用のメールをもらったとき、「あなたからは事務職をやりたいという意志が見えてこなかった」と返ってきました。
いや、事務職ってExcelにデータ打ち込むとかですよ!
世の中には、「いやー、データ打ち込むのめっちゃ楽しいっすわ!電話対応も最高!」なんて言う人がいるんですか?少なくとも、自分はそんな嘘はつけません。
それで落とされるんだったら、どうしようもないな、と思いました。
おっと、話がそれましたね。
話を戻して、とにかく何かをしないと落ち着かない状態だったので、とりあえずnoteをめちゃくちゃ書きました。
何度も諦めていた動画制作にもチャレンジしたり、とにかく負のパワーを使って動きまくっていたことは覚えています。
それと同時に、音楽を聴き始めました。
実は、前に投稿した記事で紹介した曲が、そのとき聴いていた曲なんですけど、これが一番精神的な癒しになりましたね。
僕は音楽にうるさい人なので、このときに聴いていたのも自分にとって最高の選曲です。
あらためて、音楽や歌詞が心に刺さりましたね。
「自分は気分も人生も落ち込んでるけど、別に特別なことじゃない。自分が抱えられる程度の絶望は、どこまでいっても普通なんだ。」
うまく言葉にできませんが、こんな感じのことを思っていました。
あとは、時間が経つのをひたすらに待っていました。
このタイプの絶望は、気晴らしをしたところで解決はしません。ただ、精神ができるだけ安定するように行動して、毎日を過ごすしかないな、と思いました。
結果的には、1週間ぐらいで体調が元に戻り、2週間ぐらいで心も元気になってきました。
最後に これ以上ないほど素晴らしいまとめ
これは立ち直ったあとの話なんですけど、たまたま福本伸行先生の『天』が全巻セットで売られていたのを見たので、買って読んでみることにしました。
基本的には麻雀対決が中心です。
ただ、最後の16~18巻はアルツハイマーになってしまったアカギが、自死を選ぶ過程が描かれています。このシーンが、僕が長々語ってきたことをこれ以上ない形でまとめてくれていました。
正直、余計な言葉はいらないのでそのまま紹介しましょう。
まず、アカギの自殺を止めようとする、暴力団の組長の原田克美に対してアカギが放った言葉です。
次は、かつて一緒に戦ったものの、麻雀で生きていくことを諦めた若者、ひろに対してアカギがかけた言葉です。
最後に、アカギを止めようとする主人公、天に対してアカギが言った言葉です。