【リトル・フィート】Little feat”Time loves a hero”歌詞・和訳
リトル・フィートの6枚目のスタジオ・アルバムの表題曲。南部の雰囲気だけでなくリゾート感も漂わせる、リトル・フィートには珍しいサウンドと、陽気な歌い口が魅力です。
Well they say that time loves a hero 皆言ってるぜ、時代が英雄を求めている
But only time will tell
時代だけがものを言う If he's real he's a legend from heaven
彼が本物なら、きっと天国から来た伝説の存在 If he ain't he was sent here from hell そうじゃなければ、きっと地獄から流されてきたんだ
Hear me well
まあ聞いてけよ Seeing ain't always believing
見たものを信じてばかりではいけない Just make sure it's the truth that you're seeing
真実は自分で見極めろ、肝に命じておけ Eyes sometimes lie, eyes sometimes lie
目が嘘をつくことだってあるんだ They can be real deceiving 奴らはマジのペテン師かもしれない
I got an uncle in Puerto Rico
プエルトリコに叔父さんがいるんだ Spends his days in the sun
1日中日を浴びて過ごしてる And his nights in the casinos
そして夜はカジノ He left the States many years ago
あの人は何年も前にこの国を去った Took a fishing boat to Puerto Rico
釣り船でプエルトリコに向かったんだ Now my aunt she is sad and lonely
叔母さんは今、悲しみと孤独に苛まれている She'll never know that she drove him away
自分が叔父さんを追い詰めたんだって、気づくことはないだろう As a coward I admire his courageous ways 俺は腰抜けだから、その勇敢さにはただ憧れた
Well they say that time loves a hero
皆言ってるんだ、「英雄の時代だ」って But only time will tell
でも真実は時代ののみぞ知る If he's real he's a legend from heaven
本物なら、彼は天国から来た伝説の存在 If he ain't he's a mouthpiece from hell 嘘だとしたら、地獄の代弁者だろうか
Some say my uncle that he's a zero
誰かが言うんだ、叔父さんは全てを失ったって His life as a shell, he left it back at Stateside 彼は貝のように生きてきて、この国でそれを失った I'd say he's doing well without his shell
叔父さんはよくやってると思うよ、殻を取り去って Bumming 'round the beaches of Puerto Rico
プエルトリコのビーチで 大声出して飲んだくれて The beauty of the sunrise and sunset
美しい日の出と日の入り To his friends he wish he could tell
友達に伝えられたらと、彼は願っている They're at home still running for bells
彼らは家にいたって 鐘の音のためにてんやわんやBetter San Juan than that blue collar hell サン・フアンの方が そんな労働地獄より良いよって
(補足・解釈)
以上が歌詞とその和訳(拙い意訳ですが)です。 アメリカでの窮屈だけど恵まれた暮らしと、南米での奔放な暮らし。周りの人々が100%は信じられず、常に怯える日々の中で、主人公は年老いて家出をした「叔父さん」を想うわけです。
彼は妻との折り合いが悪くなり、アメリカを後にして南米へ向かってしまいます。そしてプエルトリコで太陽の下過ごし、夜はカジノ三昧と自由な暮らしをしているそうです。そんな彼は労働社会から「逃げた」わけで、それを笑う周りの声も当然あります。彼の妻、つまり叔母さんも悲しみに暮れている。本当の「幸せ」とはなにかと、しんみりとした問いが沁みます。
「ブルーカラー」は「労働者階級」のことで、「鐘」、つまりは時鐘のために毎日忙しく働いているのでしょう。それでも、彼らを一方的に「不幸だ」と断じることもできません。サビにある通り、その「叔父さんの話」が本当なのかは少し疑問です。実は向こうでも貧乏暮らしかもしれない。帰りたいと思っているかもしれない。それでも、街から出る勇気のない主人公にとって叔父さんは「英雄」であり、時代も「英雄」のような漠然とした「理想の存在」を求めているということでしょう。
でも、それが本当に幸せなのか、正しい選択なのか、叔父さんは英雄なのか、落ちぶれた貧民なのかは誰にもわからないのです。それを知っているのは時代だけーこんな問いに、答えがあるのかどうかさえも。