田渕徹

脱サラ、主夫、音楽家、3人娘の父、薔薇色の生活感。 https://tabuchitoru-contact.tumblr.com/

田渕徹

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最近の記事

美容室imamura開業7周年記念インタビュー

◾️インタビューの経緯 「髪を切ってもらうかわりに文章をかく」 美容室imamuraの店主今村氏と不定期におこなう"価値のぶつぶつ交換"。この夏も放置していた髪を整えてもらい、今回はそのリターンとして今村氏へのインタビューを行うことにした。 周年イベント『いまむらのちかく』を二ヶ月後に控えた今村氏。インタビューを通して、美容師を志したきっかけ、独立するまでのストーリーを探る。また、普段あまり語ろうとしない彼自身のことについても、この機会に触れてみたいと思う。 ◾️インタビ

    • 国立が関西に染まる日

      9月中旬。 もうすぐ秋だと言うのに、夏の暑さが未練がましく肌にまとわりつく。バッテリーが熱を帯びて、スマホをチェックするのにも手に汗をかく。暑さのせいで思考が遅延する。それでもスケジュール帳をスワイプする指先だけは軽やかだ。きっと9月に楽しみな予定がつまっているからだろう。電車を待つ駅のホームで、やる気とSNSを更新する。まもなく9月の関東ツアーがはじまる。おそらく2024年最後の関東ツアーとなるだろう。そう思うと、この暑さに未練がわいてきたりする。 ここでは、ツアー2日目

      • インタビュー企画『聞いてるようでしゃべってるvol.2〜奇妙礼太郎オフィシャルファンクラブイベント編〜』

        はじめに本記事は、田渕の個人的興味を発端とした勝手わがままなインタビュー企画「聞いてるようでしゃべってる」の第二回目である。 15年来の友人であり音楽仲間である奇妙礼太郎のインタビューは、奇妙のオフィシャルファンクラブ初イベントの場を借りて行われることになった。 会場は東京・外苑前のスタジオ”Casa ZIZO"。当日の模様をここにお届けできればと思う。 なお、インタビューの会話内容は、交わした会話から受けた印象をもとに書いている箇所もあり、一言一句を文字起こししたもので

        • 継続に秘訣はない。光はある。

          長堀橋の美容室imamura店主がInstagramフィードに貼り付けるハッシュタグ「#あれ何屋やったっけ」。 そのハッシュタグが示すように、興味を軸に色んなことに手をつける店主。 割れた皿の金継ぎ(僕のもやってもらったことがある)、株式投資、土鍋ご飯とみそ汁の研究、建物観測(施工や解体の記録)、あらゆるDIY。 日常で多様な扉を見つけ、その中での楽しみを開拓していくさまは、一見すると器用貧乏とも評されかねない。 しかし、本業以外に視界を広げる彼の目先には、「なんだっていい」

          あふりらんぽボーカルギター”ONI”の新作「IKIMONO」リリースインタビュー

          誰に頼まれてもいないのに勝手にインタビューをさせてもらうという個人的興味を発端とした企画。 第一回目は、ONIという「IKIMONO」の今に迫ってみる。 ONIの話を聞かせてよあふりらんぽのボーカルギターであり、ソロ歌手であり、三児の母でもある佐伯真有美、通称”ONI(オニ)”。 ルーパー(という短時間録音で音を重ねる機材)を使用した即興ボイスパフォーマンス、近所の子どもやママ友を巻き込んだ即興演奏、ライブ中にチャーハンを作ったり、茹で卵を配ったり、椅子やテーブルのうえを

          あふりらんぽボーカルギター”ONI”の新作「IKIMONO」リリースインタビュー

          誰にでも手に入れられる豊かさ「言葉を知ること」について

          育ってきた環境や各家庭の経済状況によって、巡り会える人や手にできるチャンスには差が生まれる。 僕が育ってきた環境は、どちらといえば裕福ではなく、教育や芸術が行き届きにくい地域だった。 そのせいとまでは思わないけど、自分や自分のまわりにはコミュニケーションが得意でないがゆえに、内側にこもる人たちが多く、街全体にそんなムードが強かったように思う。 以前、suumoの「街と音楽」にエッセイを執筆したように「生きづらさ」を抱えた子ども時代の僕は、思えば言葉を知ることで、なんとか陽の

          誰にでも手に入れられる豊かさ「言葉を知ること」について

          2023/10/12雑記「音源はラブレター」

          大阪市中央区のはずれに、幽霊が出そうな(でたかも?)古めかしい雑居ビルがあって、友人がその三階にプライベートスタジオを構えている。今日はそこでレコーディングをさせてもらった。 エンジニアが知り合いということもあり、幽霊への恐怖感より、アットホームな雰囲気でリラックスして演奏できる安心感がスタジオにはあった。 現場につくとすでにセッティングは済ませられていたので、さっそく録音といきたいところだが、レコーディングのイメージが全く浮かんでいない。音楽歴が長い癖にレコーディング経験

          2023/10/12雑記「音源はラブレター」

          2023/10/11雑記「書く筋力」

          葉や文節。美しさのなかにある残酷さといったらニュアンスは違うかもしれないが、とにかく心地よく刺さる言葉が散りばめられていた。 一度読んだら終わり。でもいいのだけど、読んだあとに浮かぶ風景や印象が生活そのものに浸透していくようなエッセイで、ずっと手元に置いておきたくなる。そんなエッセイと出会えたことも嬉しい発見だった。 いつか自分でもエッセイ本のようなものを出してみたいなぁと思った。ただ、長文が苦手で、以前書いたsuumoの記事はかなり苦戦した。編集のヤマグチナナコちゃんの助

          2023/10/11雑記「書く筋力」

          2023/10/10雑記「朝バタ」

          妻の出勤が早いと聞いていたから、夕べから朝のバタバタに備えていた。 一日を心おだやかに過ごすためには静かな朝が必要だ。 朝がくると夫婦で協力しながら、子どもを起こしそのスローモーションな動きにできるだけ寛容をよそおいながら、優しく学校の準備を促す。 時計を見ない子どもと時計を気にする大人の差だろうか。長女は、六年生になって少し余裕をもって準備ができるようになっていた。次女と三女は、家をでる直前のトラブルが多い。 この日も家をでる直前に、三女が「靴下がない」というから確認する

          2023/10/10雑記「朝バタ」

          グラサンズ思い出日記〜東京編〜「楽しすぎて怖い」

          〜思い出その壱〜早朝居酒屋『ぐらさんず』開店 グラサンズ東名阪ツアー「漂流」の東京編。代官山晴れ豆でのライブイベントは8月13日の昼間のスタート。リハーサルのタイムスケジュールの都合で、我々グラサンズは前日に東京入りすることとなった。 出発当日、マンドリンこうちゃんは、群馬から直通バスに乗って昼過ぎに東京到着とのこと。こうちゃんの到着時間にあわせ、新幹線組は新大阪駅に早朝集合。まずはクラリネットけいごと遭遇。ピックサイズのリュックパンパンに詰められた物販がツアーへの意気込

          グラサンズ思い出日記〜東京編〜「楽しすぎて怖い」

          愉快な沈没船「グラサンズ号」に乗って

          「元気なき乾杯」 2023年7月28日、金曜の夜。 グラサンズの久しぶりのスタジオに向かうべく、僕はエレキギターと一週間分の疲労を連れて週末のアメリカ村を歩いていた。 大阪の若者たちの最新のファッションやカルチャーが集う街。この街に紛れて歩くだけで、くたびれた中年の自分さえ現在の音楽シーンやカルチャーの一旦を担えているような気分になり、スタジオに向かう自分の背筋が伸び、肩で少しだけ風を切っているのがわかる。 コンビニで酎ハイを買い、スタジオに向かう。この日は、群馬に移住したこ

          愉快な沈没船「グラサンズ号」に乗って

          『オルタナティブ福祉』は他人事ではない

          リー・アンダーツによる人間活動第一弾『オルタナティブ福祉』が開催されます。きたる2022年11月25日(金)、東京仙川にある小さな喫茶店「TINY CAFE」で少し特殊な座談会が開催されます。 主催はリー・アンダーツ。音楽家クニキマチコがnoteで名乗っているペンネームです。座談会には僕もゲスト参加し、少し話したり時々歌ったりする予定です。 まずは、特殊な座談会と言われても、皆さんの頭上にはクエスチョンマークが浮かんで、一瞬で消えていくことが容易に想像できるから、少しだけ足

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          プチ官能小説 『 愛 の 磨 耗 』

          夕刻の駅、自動改札機を定期券が通過すると、私はようやく一日の労働から解放された気分になる。 待ち望んだ給料日、ATMが突きつける現実。 「家族のためだ」と、ボロ雑巾のように働いて、絞って出てきたのは溜め息だけ。 コンビニ前、グラビア雑誌の表紙をガラス越しに見つめながら缶ビールを飲み干すと、私はトボトボと歩き出した。 ありきたりの幸せが軒をつらねる新興住宅地の一角に私のアパートがあり、そこで帰りを待つのは、献身的な妻と、生後間もない天使。 待つ人がいる幸せと、待つ人を幸せ

          プチ官能小説 『 愛 の 磨 耗 』

          10分日記2020/8/20

          エンドレスなYouTubeをみながら夏休みをダラダラと過ごす背徳感に浸る子供たちを見過ごすことに罪悪感を感じ、夏休みという空箱を充実で埋めてあげたいという願いは、スキル不足を振り切って、娘3人を父ひとりでプールに連れていくという無茶に走り、オーバーしたキャパシティは、苛立ちに姿を変え、叱責として娘たちに着地する夏の日の午後に機嫌なおしのアイスクリーム。

          10分日記2020/8/20