孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ⑥「虚実」篇 ~弱点を突け~【前編】
虚実篇では、
「敵を操れ!」
「敵を分散させろ!」
といったことが語られています。
相手の弱点を突けば、攻撃の決定率は決定的に上がります。
相手の弱点はどう見つけるのか、どう作り出すのか、知っておきましょう!
操れ!操られるな!
「善く戦う者は、人を致して人に致されず。」
戦上手は、敵を思うがままに動かして、決して自分が敵の思うままに動かされたりはしない。
卓球は、コースを読んで先回りをすることで強いボールが打てます。
読みが外れる、あるいは読むことができないと、何もできません。
なので強い人は、相手を思うがままに動かします。
そして、相手の思惑を察知して、その逆を行きます。
敵を操った方が勝つのです。
敵軍をこちらの思うように動かすことができるのは、敵の利になることを見せて誘うからである。
例えば、相手がフリックをやりたがっているとします。
それを分かった上で、フォア前に巻き込みの横上回転のサーブを出せば、相手を誘導できます。
クロスのフリックを狙い打ちすればいいのです。
逆に、自分がフリックをやりたがっているとします。
しかし、そのフリックを相手に狙われている可能性もあります。
もし、自分のフリックを相手がドライブで返してきたら、それはもう間違いなく狙われています。
そんなときに、
「ヤバい!フリックが決まらない!もっと強く打たなきゃ!」
と言いながらフリックを打ち続けると、あなたは必ず破滅します。
必要なのは、別の技術に切り替えることです。
フリックがやりたくても、敢えてツッツキをすることが必要です。
敢えて難しいコースに打つことが必要です。
大嫌いなピーマンも、ときには食べないといけないのです。
敵軍が思うように動けなくなってしまうのは、動けば敵の害となるように仕向けて動けなくさせているからである。
例えば、相手がフリックをやりたがっているとします。
そんなときは、バックロングにサーブを出しまくりましょう。
相手をバック側にくぎ付けにして、フォア前を遠ざけるのです。
こうすることによって、いざフォア前にサーブを出したときに、相手は対応が遅れてフリックができなくなります。
あるいは、フリックを打ちた過ぎて、無理に打ってミスをしてくれます。
逆に、相手がサーブを同じコースにばかり出してくるときは、何かしらの意図があるはずです。
こちらのレシーブが悪くないのに、バックロングにばかりサーブを出してくるのは、バック側を意識させたいからです。
どこかで必ずフォア前を使ってきます。
9-9などの重要な場面は特に注意が必要です。
バックロングしか頭にないと、それは相手の思うツボです。
9-9でフォア前を待ち伏せできたら、相手はあなたを超能力者だと思い、絶望するでしょう。
敵を迷わせろ!
「善く攻むる者には、敵、其の守る所を知らず。
善く守る者には、敵、其の攻むる所を知らず。」
攻撃が巧みな者に対すると、敵はどこを守ってよいかが分からない。
防御が巧みな者に対すると、敵はどこを攻めてよいのかが分からないのである。
攻撃が巧みな人は、相手が待っていないコースに打ちます。
ドライブを打つときに、強く打つことを考えがちです。
「よし!ゼッタイに打ち抜いてやるんだ!」
と。
しかし、どんなに強く打っても、相手がそのコースで待っていれば、簡単に返されてしまいます。
強く打つことばかり考えていると、コースが単調になってしまうのです。
相手が待っていないコースなら、強く打たなくてもドライブは決まってくれます。
攻撃は、コース取りが重要なのです。
しっかりコースを使い分ければ、相手はどこを守ればいいか分からなくなります。
相手が待っていないコースを的確に突き続ければ、相手はこちらの視線を感じ、恐怖を覚えることでしょう。
ブロックも一緒です。
相手が打ってくるときに、全面を待ちがちです。
「どこに打ってくるんだ!?」
と。
しかし、これだと結局どこに打たれても対応が間に合いません。
全面を待つと、ブロックはできないのです。
相手のドライブのコースが読めたときに、初めてブロックはできます。
ブロックは、読みと誘導が重要なのです。
しっかりブロックができれば、相手はどこを攻めればいいか分からなくなります。
的確にブロックをし続ければ、相手はこちらを壁だと思い込み、絶望することでしょう。
絶妙な戦いは無形であり、神業のように音もなく過ぎ去っていくのです。
敵を操ればなんでもできる。行くぞ!
「進みて迎う可からざる者は、其の虚を衝けばなり。」
こちらが進撃しても、敵が迎え撃つことができないのは、こちらがその敵の弱点を衝いているからである。
相手が、ループドライブをブロックするのが苦手なら、下回転のサーブを出してひたすらループドライブをします。
相手が、ブロックをクロスで待つ癖があるなら、ひたすらストレートにドライブを打ちます。
強い選手は、相手の弱点を見つけ、そこを突き続けます。
だから相手は、来ると分かっていても対応ができないのです。
自軍が戦いたいと思えば、敵が籠城戦に持ち込もうとしたとしても、出撃して来ざるを得なくなる。
それはこちらが、敵がどうしても救おうとする地点を攻撃するからである。
相手に先に打たせたいなら、相手がどうしてもドライブを打とうとするボールを送ります。
フォアにツッツキをして、相手がクロスに持ち上げてきたところをブロックで押していきます。
フォアハーフロングに巻き込みサーブを出して、クロスにドライブが来るのを狙い打ちします。
強い選手は、何をすれば相手がドライブを打つのかを把握します。
さらに、相手のドライブがどのコースに来るのかも把握します。
コースが分からない場合、それは「打たれている」だけです。
コースが分かっているから、「打たせる」という戦術が成り立つのです。
自軍が戦いたくないと思えば、地面に線を引いて仕切っただけの陣地であっても、敵はこちらと戦うことができない。
それは敵の進路を欺き判断を誤らせるからである。
相手に打たれたくないときは、相手の判断を誤らせます。
相手がツッツキを待っているなら、ストップをします。
そしてストップに意識が傾いてきたところで、ツッツキを突き刺します。
相手が回り込もうとしているなら、フォア側に打ちます。
そしてフォア側に意識が傾いてきたところで、バック側に打ちます。
チキータなどの高難度技術が無くても、敵の進路を欺くことは可能なのです。
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