孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ⑧「九変」篇 ~柔軟に対処しろ~【中編】
⑧「九変」篇 ~柔軟に対処しろ~【前編】では、
「対処法を知れ!」
「闇雲に攻めるな!」
という話をしました。
今回は九変篇の中編です。
あらゆる事態に対してどう対処するのか、知っておきましょう!
まずは「9種の対処法」の続きから。
⑦「軍に撃たざる所有り。」
攻撃してはいけない敵がある。
攻撃してはいけない相手とは、
「攻撃しなくても勝てる相手」
のことです。
「サーブでチャンスを作って3球目攻撃ができそう。」
「バックにツッツキをしたら回り込んで打ちミスをしてくれそう。」
どっちの作戦もアリなのだとしたら、迷わず後者を選びます。
そりゃ、ドライブよりツッツキの方が簡単ですからね。
わざわざリスクの大きい作戦を採るなんて、世紀の愚行です。
強打は、どうしてもミスがつきまといます。
「打たせる」という作戦が、リスクを回避し、安定した勝利をもたらすのです。
相手のドライブを怖れて、自分から攻めることしか考えられない人は、たまたま上手くハマったときにしか勝つことができません。
「自分のプレーで決着をつけたいんだ!相手に委ねたくないんだ!」
と言う人は、陸上競技に転向してください。
「競争型」のスポーツは、自分のパフォーマンス次第で決着がつきます。
卓球は、向かいに相手がいる「対戦型」のスポーツです。
自分が攻めることしか考えられない「一人相撲プレーヤー」は、勝ち上がれないのです。
⑧「城に攻めざる所有り。」
攻めてはいけない城がある。
「ドライブを打とうとしたら、相手が完全にブロックの準備ができている。」
この城は攻めてはいけません。
何度もブロックをされてしまっている場合、
「打たされている」
可能性があります。
ブロックされているときに、
「クソ!なんで打ち抜けないんだ!!もっと強く打ってやる!!!」
となるのは最悪です。
ミスが増えるだけです。
ブロックされるのは、
「ブロックが上手いから」
という理由だけでは決してありません。
「コースがバレているから」
という理由が一番です。
なので、やたらブロックされるときは、コースを変えてください。
コースを変えるのも難しい場合は、いっそ攻めることを止めてください。
崩せない城に向かっていくのは、労力の無駄にしかならないのです。
⑨「地に争わざる所有り。」
奪ってはならない土地がある。
奪ってはならない土地とは、奪うほどメリットの無い土地のことです。
卓球で言うと、
「労力に対してメリットが薄い作戦」
です。
「疲れるし、点が取れるかも分からない」
という作戦を採ってはいけません。
「そんな作戦、やるわけ無いだろうが!」
と聞こえてきそうですが、本当でしょうか?
例えば、相手の方がツッツキが上手いのに、ツッツキ対ツッツキの勝負をし続けちゃっている人を、多く見かけます。
「ラリーが長くなる上、相手が得点する確率が高い。」
なのに、これをやり続けてしまうんです。
ロングサーブを出して、ツッツかせなければ良いのに。
例えば、相手のツッツキに対して、ドライブでミスをし続けちゃっている人も、よく見かけます。
「一生懸命振っているけど、失点する確率が高い。」
なのに、これをやり続けてしまうんです。
打たなければ良いのに。
勝てない作戦を一生懸命頑張っても、良いことはありません。
なのに、ついやってしまうんです。
「安全に行きたい!」
「自分から打ちたい!」
という目先の願望が、そうさせてしまうのです。
その作戦は本当に有効か、冷静に考える必要があります。
利も害も考えろ!
「智者の慮は、必ず利害を雑う。」
智将が物事を考える時は、必ず利と害の両面を合わせて熟考する。
卓球の試合も、利害の両面を冷静に見る必要があります。
でも、ついついどちらかだけを見てしまうんです。
利のみを追い求めて、害が見えなくなることはよくあります。
例えば、相手のツッツキに対して、見事なドライブで打ち抜けたとします。
「よっしゃあ!俺の実力を見たか!」
と、有頂天です。
しばらくして、相手のツッツキに対して、またしても見事なドライブで打ち抜きました。
「よっしゃあ!どうだ!ビビったか!」
と、ご満悦です。
しかし得点は、
「2-6」
大きくリードを許しています。
そう。
ドライブが2本決まるまでに、ドライブを6本ミスしているのです。
こんなに成功率の低い作戦は、絶対に変更すべきです。
しかし、ドライブが決まったときのことしか頭になく、
「ドライブが決まれば、俺は勝てるんだ」
と、確率の悪いドライブを打ち続けてしまっているのです。
「ドライブが入っていない」という現状が見えていません。
相手がわざとツッツキばかりしていることにも気付けません。
利益のみに目を奪われていると、自滅してしまうのです。
逆に、害ばかり気にして、利を逃してしまうこともあります。
例えば、相手はフォアツッツキのミスが多いとします。
しかしあるとき、低くてキレてるフォアツッツキが1球入ってきて、こちらはネットミスをしてしまいました。
「うわぁ、あんなに良いボールは返せないよぉ…」
と思って、相手のバック側に打つようにしました。
しかし、相手はそれまでに6回フォアツッツキのミスをしているのです。
それに対してこちらのミスは今の1回だけ。
もっとフォアツッツキをさせるべきです。
にも関わらず、
「またあんなにキレてるフォアツッツキが来たらイヤだなぁ…」
と、バック側に逃げてしまいました。
害悪ばかり気にしてしまうと、ゴールドラッシュを逃してしまうのです。
もったいない…
がむしゃらに利益を追い求める強欲な人や、損害に怯える小心者は、目先の利害しか見えずに、最終的には大きく損をします。
利と害の両面をしっかり見て、天秤にかけることで、最終的な利益を得られるのです。
そして、そのために必要なものが「準備」です。
「其の来たらざるを恃むこと無く、吾が以て待つこと有るを恃むなり。」
敵がやって来ないだろうという憶測をあてにするのではなく、自軍に敵がいつやって来てもよいだけの備えがあることを頼みとする。
「自分のドライブが決まる」
ということをあてにすると、相手が返せないだけの強いボールが必要になります。
そう考えると、つい力んで、ミスが増えてしまいます。
そうではなく、
「ブロックされても連打をする準備がある」
ということをあてにします。
そうすれば、一発で打ち抜く必要はなくなります。
ドライブのミスは減るのです。
相手に打たせるときも、
「相手が打ちミスをする」
ということをあてにすると、入ってきたときに対応できず、そこから逃げてしまいます。
たった1球のフォアツッツキにビビって、バック側に逃げてしまうのです。
そうではなく、
「入ってきても返す準備がある」
ということをあてにします。
そうすれば、一度キレてるフォアツッツキが入ってきても、フォア攻めを貫くことができるのです。
このように、次の準備さえしっかりできていれば、敵の出方に一喜一憂することなく、主体的に戦うことができます。
戦いに「空頼み」を持ち込んではいけないのです。
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