孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ①「計」篇 ~戦いとは~【前編】
計篇では、
「戦いとはどういうものか」
「勝算を多く持て」
といったことが語られています。
戦いの本質を分かっていないと、そりゃ試合で上手くいかないですよね。
戦いとは何か、知っておきましょう!
戦争は重大事だ!
「兵とは国の大事なり」
軍事とは、国家の命運を決する重大事である。
戦争は、多くの人の命や国家の存亡がかかっています。
なので、戦争について徹底的に研究することは、当然やらないといけません。
卓球だってそうです。
自分自身の日頃の努力が報われるのか、この1試合にかかっています。
なので、自分の努力に報いるためにも、「卓球の試合」というものをよく理解しておくことは、当然やっておく必要があるのです。
これを知らずに試合をするのは、
テーブルマナーを知らずに高級フレンチ店に行くようなものです。
納税が必要と知らずに会社を立ち上げるようなものです。
負け戦が想像つきますね。
なので、卓球の試合とは何か、つまり「戦い」とは何かを、よく知っておかないといけません。
5つの基本事項があるよ!
「之を経るに五事を以てし」
戦うにあたり、5つの基本事項を用いる。
まず孫子は、戦う上で押さえておくべき5つの基本事項を紹介しています。
1つ目は「道」です。
民衆の意思を統治者の意思と合致させることで、民衆が生死を共にし、統治者の命令に疑問を抱かなくなります。
さぁ、これを卓球に生かしましょう。
「統治者」を自分自身に、「民衆」を各技術に置き換えると、分かりやすいかなと思います。
自分が思う技術レベルと、実際の技術レベルが合致していないといけません。
つまり、自分の技術レベルを正確に把握する必要があるのです。
ドライブの技術レベルがそこまで高くないのに、「ドライブが打ちたいから」と言って打ちまくるのは、統治者の暴走です。
これは間違いなく滅びるパターンですね。
ギロチンで処刑される前に、改めないといけません。
どんなボールに対してなら、その技術を使えるのか、私情を挟まず客観的に把握しておきましょう。
2つ目は「天」です。
気候などの環境要因に適切に対応する必要があります。
例えば、床が滑ることってありますよね。
床にイライラして、負けたら床のせいにしているうちはダメなわけです。
条件は相手だって同じです。
相手はそれを分かった上で、自分は動かず、相手が動くように仕向けているのです。
それにまんまと引っかかって、イライラしている姿を晒すのは、恥ずかしいことです。
羞恥心を持ち合わせているのなら、これは改めるべきです。
床が滑るなら、相手を動かせばいい。
湿気があるなら、相手に異質を使わせればいい。
台が弾むなら、レシーブでドライブを打つ準備をすればいいのです。
3つ目は「地」です。
地形の高い低い、広い狭い、遠い近い、などといった地理的条件を知る必要があります。
フォア、ミドル、バック、それぞれの地形に特徴があるわけです。
そして、相手の立ち位置によって、それぞれの地形の広さが変わります。
相手がフォア側に寄れば、バック半面は広くなり、ミドルはその分フォア側にずれるんです。
相手が回り込めば、卓球台全体がフォア半面になるんです。
強打はミドルに打つのが定石ですが、
「今、ミドルはどこなのか。」
ちゃんと見定めないといけません。
相手がバック側に寄っているのに、
「よっしゃ!ミドルに強打だ!」
と叫びながら台のど真ん中に打ち込んでも、そこは残念ながらミドルではないので、はりパンチを食らいます。
相手はフォアに寄っているのか、バックに寄っているのか。
相手は前にいるのか、下がっているのか。
これらを見て、そのときの地形を正確に把握することは、常に必要なのです。
4つ目は「将」です。
統治者には「智・信・仁・勇・厳」の5つの資質が必要です。
物事の本質を見抜く智。
部下からの信。
部下を慈しみ育てる仁。
信念を貫く勇。
軍律を徹底させる厳。
この5つです。
「統治者」を自分自身に、「民衆」を各技術に置き換えます。
物事の本質を見抜く「智」
相手のドライブは実力で入ったのか、たまたま入っただけなのか、本質を見抜きましょう。
たまたまなら、打たせ続けた方が良いですからね。
ドライブを一本決められただけで、
「もうドライブ打たれたくない!」
と怖がっている場合ではありません。
部下からの「信」
自分が、自分の各技術に信頼されれば、ミスをしなくなります。
そのためには、各技術に適材適所の働きをさせる必要があります。
あなた自身は
「よっしゃ、チキータで決めてやるぜ!」
と思っていても、チキータが
「いやいや、低い下回転なんだから俺じゃないでしょ!」
と思えば、あなたは自分のチキータに裏切られます。
部下を慈しみ育てる「仁」
自分の技術を、愛情を持って育てましょう。
ミスをしたときに、
「この野郎!なんでミスするんだ!もう一度ミスしてみろ!タダじゃ済まないからな!」
と怒鳴り散らしても、その技術が成長することはありません。
「ラケット面をかぶせ過ぎたからミスしたんじゃないかなぁ。」
と、ミスを今後の糧にすれば、その技術は成長します。
信念を貫く「勇」
一度決めたら、その信念を貫きましょう。
「バックロングに順横回転のサーブを出したら、クロスに返ってくるはずだから、回り込んで待っていよう。」
と決めたら、絶対に回り込むんです。
レシーブがフォア側に来たら、それはもうドンマイです。
「フォア側に来ないかなぁ。来るかもしれないよなぁ。イヤだなぁ。怖いなぁ。怖いなぁ。」
なんて言っていたら、作戦なんて立てられません。
軍律を徹底させる「厳」
自分のルールを絶対に守りましょう。
「これくらい高いボールは強打しよう。」
「これくらい低いボールは強打しないでおこう。」
などという自分のルールを明確にし、どんな状況でもそれを守るのです。
競っている状況で、
「もう緊張に耐えられないんで、打ちまーす!」
と、低いボールを強打しに行っても、良い結果には結びつきません。
5つ目は「法」です。
軍隊の編成や職権などのルールをしっかりと決めておきましょう。
「巻き込みサーブをフォア前に出したら9:1でフォアサイドを待つ。」
「バック側に返ってきたら、次からは6:4でフォア半面を待つ。」
「一旦バックロングを見せてから、改めてフォア前に出して9:1でフォアサイドを待つ。」
「フォアミドル前にも出してみて、フォア側に返ってくるか確認する。」
「それでもバック側に返ってきたら、次は回り込む。」
「どこに返ってくるかイマイチ予測がつかないなら、もう巻き込みサーブは止める。」
フォア前の巻き込みサーブだけでも、これだけの編成ができるわけです。
こういった準備が、相手のボールへの対応力に繋がるわけです。
巻き込みサーブをフォア前に出して、
「どうなるかなぁ。」
「サーブ入るかなぁ。」
「今日は唐揚げかなぁ。」
なんて考えていると、各技術の連携が取れず、バラバラな卓球になってしまいます。
試合で上手くいかないのは、唐揚げのせいだったんですね。
以上の5つが戦いの基本事項です。
卓球選手である以上、これは知っておく必要があります。
これを骨の髄まで熟知している人が勝利し、知ったつもりになっているだけの人は敗北するのです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?