孫子の兵法を卓球にフル活用しよう! ②「作戦」篇 ~長引かせるな~
作戦篇では、
「速やかに勝て!」
「相手の作戦を利用しろ!」
といったことが語られています。
孫子はラリー戦を低く評価します。
「作戦を使う」とはどういうことか、知っておきましょう!
さっさと仕留めるのが一番!
「兵は拙速を聞くも、未だ巧久なるを賭ざるなり」
戦争には、多少拙い点があっても速やかに事を進めたという成功事例はあるが、完璧を期して長引かせてしまったという成功事例はない。
作戦を立てるときは、目と頭をしっかり使って、綿密に練り上げる必要があります。
しかし、いざ実行するときは、多少まずくても思い切ってやるべきです。
「バックロングに順横サーブを出すと、ほとんどクロスに返してくるから、回り込んで打とう。」
という作戦を立てたときに、
「でも、もしかしたらストレートに来るかもなぁ。」
というような「まずい要素」は必ずつきまといます。
それでも、実行してください。
80%の自信があるなら、20%には目をつぶって、思い切り行ってしまいましょう。
それで20%の方に来てしまったら、それはもう相手を褒めて、切り替えましょう。
プロだって、逆を突かれることは珍しくありません。
リスクを覚悟の上で勝負をしているのです。
完璧を期して自信を100%まで高めてから作戦を実行しようとすると、いつまで経っても作戦を実行できません。
人対人の戦いに、100%はありませんからね。
「ここにサーブを出せば、絶対ここにレシーブが返ってきます!」
そんなわけないですよね。
他のコースに来る可能性が0になることはありません。
なのに100%を目指してしまうと、作戦が発動することは無く、試合は膠着します。
泥沼の長期戦に陥ってしまうのです。
小心の完全主義者は、実戦に向きません。
80%の自信を胸に、一思いにやってしまいましょう。
相手の作戦を利用しよう!
「智将は務めて敵に食む」
優れた将軍は、敵地で食料を調達するよう務める。
敵地に攻めるときに、食糧を持っていくのって物凄く大変なんです。
それだけで莫大な労力とお金がかかってしまいます。
なので、
「敵地で食糧を調達する」
ことは、めちゃくちゃ価値が大きいんです。
卓球も同じです。
自分の作戦はなるべく消費したくありません。
第1ゲーム0-0で、
「よっしゃ!俺が一番得意な、バックロングサーブから回り込み3球目攻撃を食らわせてやるぜ!」
とかやっている場合ではありません。
作戦なんてそんなにたくさん持てないのに、第1ゲーム0-0で早速1つ使ってしまったらヤバいわけです。
その作戦は相手も警戒するので、次からは使いにくくなってしまいます。
どうしても1点が欲しいときのために、作戦はとっておきたいんです。
なのでできるだけ、相手の作戦を利用して点を取ることを考えましょう。
例えば、相手がチキータをやりたがっているなら、それを利用します。
ロングサーブや縦回転サーブを使うなどしてチキータを封じ、繋いできたところを仕留めます。
あるいは、チキータのコースが分かっているなら、敢えてチキータをさせてそれを狙います。
相手の作戦を「させない」「させて狙う」の2通りが、作戦の利用法です。
これができると、自分の作戦は消費せず、相手の作戦を消費させた上に点も取るという最高の形が出来上がります。
「させて狙う」のは特に難しいですが、だからこそ、決まったときは相手に大きなショックを与えられます。
フリックをドライブする練習
ブロックでコースを突く練習
など、「させて狙う」ことを想定した練習はしっかりやっておきましょう。
利益を考えろ!
「敵を殺す者は怒なり。敵の貨を取る者は利なり。」
敵を殺すのは、憤怒の感情からであり、敵の物資を奪い取って利用するのは、利益を冷静に判断するものである。
感情で作戦を決めてはいけません。
得点という利益を冷静に追求してください。
例えば、相手に3球目攻撃を決められたとします。
このときに、
「くそぅ。次は先に攻めてやるぞ!」
と考えているようではいけません。
「攻められて悔しいから、次は自分がやり返してやるぞ!」
感情が出まくっています。
感情で次の作戦を決めてしまっています。
しかし現実は、3球目攻撃を食らっています。
相手のサーブ
↓
レシーブが浮く
↓
3球目攻撃
という流れです。
先に攻めるチャンスが、どこにあるでしょうか。
考えるべきは、3球目攻撃を「させない」こと。
あるいは、3球目攻撃を「させて狙う」ことです。
どちらにしても、レシーブの工夫が必要です。
このレシーブの工夫が、冷静な利益の追求になります。
そこを考える前に、
「次は俺が攻める番だ!」
なんて考えていても、上手くいくはずがないのです。
長期戦は認めないよ!
「兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず」
戦争では速やかな勝利を最高とし、長期戦を評価しない。
孫子は、ラリー戦を評価してくれません。
というのも、ラリー戦は作戦が立てられないんです。
例えば、バック前に横上回転のサーブを出すとして、3球目のイメージはしやすいですよね。
「ツッツキが浮いてくるから回り込んで打とう」
「フリックが来るから両ハンドで合わせよう」
などと思い描けます。
では、11球目はイメージできるでしょうか?
「バック前に横上回転のサーブを出すと、なんやかんやあって10球目はフォアクロスにドライブが来るから、ストレートにブロックしよう!」
こんなのはもうオカルトです。
こんなことを言う人についていってはいけません。
11球目のイメージなんてできないのです。
イメージができないので、ラリー戦では細かい作戦が決められません。
従って、実力がそのまま点数になりやすいんです。
なのでまず言えるのは、
「格下がラリー戦に持ち込むのは有り得ない」
ということです。
実力で負けているわけですから。
そして格上側としても、ラリー戦は最善手にはなり得ません。
格下に勝つのに、長期戦に持ち込んで疲れていたら、割に合いません。
作戦を使って素早く勝つのがベストなのです。
ただ、作戦が上手くいかないときもあります。
そういうときには、ラリー戦が使えます。
ラリー戦という最後の手段を持っているのが、格上側の大きなメリットです。
作戦が上手くいかないときに勝負を焦ってしまうのが一番危険です。
そんな危険なときのためのセーフティネットが「ラリー戦」なのです。
作戦で素早く仕留めるのがベスト。
格上の最後の手段がラリー戦。
これを心得ておきましょう。
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