1セット目3-9から最終的に勝つ方法を、島津義弘の「敵中突破」から考えてみた【卓球のための日本史】

卓球の試合では皆、「絶対に勝ちたい」と思って挑みます。

戦もまた、「絶対に勝ちたい」と思って挑みます。

そこには、共通した人間の心理があるはずです。

ならば、戦から人の心理を学び、それを卓球に生かすことができるはずです。

ということで、「卓球のための日本史」をやっていきます。


卓球に生かすことがメインなので、史実の追究はしません。

ざっくりとしか説明しない部分もあります。

諸説ある場合は、基本的に「卓球に生かすのに都合の良い説」を採用します。

ここに書いてある歴史が全てだと思わず、軽い気持ちで読んでください。

今回取り上げるのは、島津義弘の「敵中突破」です。


島津義弘の「敵中突破」

1600年の関ヶ原の戦いは、徳川家康率いる東軍が勝利。

西軍は次々と撤退する中、最後に取り残されたのが島津義弘の軍でした。

正面には敵軍がいる。
背後には山があり、越えるのは厳しい。

この状況でどうやって退却するのか。

義弘が選んだのは、敵陣を正面から突っ切る「敵中突破」でした。

この衝撃的な強行作戦は見事に成功し、義弘は薩摩に帰還。

これにより島津家は存続し、薩摩はのちに、明治維新で活躍することになるのです。


この出来事から、

1セット目3-9から、最終的に大逆転で勝つ方法

を考えていきます。

状況:絶望的な大ピンチ

【歴史】

島津軍約300人が、戦地に最後まで取り残されてしまいました。

対する東軍は数万人です。

これはもう完全に絶望的です。

「死」を覚悟せざるを得ません。

しかし、「死を覚悟した人間」は、もう何のためらいも無い。

もはや無敵状態と言えます。

覚悟が固まったからこそ、思い切って敵陣に突っ込むという作戦がとれたのです。

【卓球】

状況は1セット目3-9。

いきなり絶望的です。
「負け」を覚悟せざるを得ません。

しかし、だからこそ思い切った作戦がとれるのです。

・フルスイングのドライブ
・ブチ切りのサーブ
・チキータ

などのリスクの高い作戦が、何のためらいも無くできるのです。

実行:死を恐れずに突進

【歴史】

さて、島津軍は遂に東軍に向かっていきます。

対する東軍はどうしたでしょう。

なんと、「道を空けてしまった」のです。

なんでそんなことをしてしまったのかと思ってしまいますが、東軍の状況をよく考えると、この行動も少し納得できます。


東軍はこの時点で「勝利が確定している」という状況にあります。

この状況で最優先で考えることは「もう余計な犠牲者を出さないこと」です。

非常に保守的な思考になっています。

この状況で、死を恐れていない集団がこちら猛烈な勢いで向かって来るわけです。

酒井「なんか変なヤツらがこっちに来てますよ!」

筒井「なんか目がイッちゃってるし、あいつらヤバいっすよ!」

福島「あんなのと関わってもろくなこと無いっすよ!」

きっとこんなことを言っていたと思います。

この保守的な思考のおかげで、島津軍の敵中突破が成功する可能性が出てきたのです。

【卓球】

こちらは3-9で負けているので、ミスを恐れない思いきった作戦をとることができます。

一方、相手は9-3で大きくリードしているので、保守的な卓球になりやすくなります。

「余計なミスをしないように」
「作戦を温存するように」

ということを最優先に考えがちです。

なので、こちらがコントロール無視のブチ切りのサーブを出すと、相手はミスをしたくないので、とりあえず入れに来ます。

入れるだけのレシーブが来れば、3球目攻撃でフルスイングしやすくなります。

相手がサーブの場合は、得意のサーブを温存し、無難なサーブを入れに来がちです。

質の落ちたサーブが来れば、攻撃的なレシーブがしやすくなります。

このように、相手の保守的な思考のおかげで、こちらのミスを恐れない作戦が成功しやすくなるのです。

作戦成功:家康に恐怖心を与える

【歴史】

島津軍は、東軍の包囲を突破。

しかし東軍としても、残党をみすみす逃すわけにはいきません。

さすがに我に返り、逃げ行く島津軍を猛追、激戦となります。

ここで島津軍は、「捨て奸(すてがまり)」という作戦を取ります。

これは、10人ほどが立ち塞がって死ぬまで暴れまくり、その間に本隊が逃げるという作戦です。

(これを部下が志願するくらい、義弘は慕われていたわけです。)

これを繰り返し、遂に島津軍は逃げ切りに成功。

約80名で薩摩に帰還しました。

多くの犠牲者が出ましたが、東軍に恐怖心を与えた上で帰還。

これが戦後処理に繋がってきます。

【卓球】

こちらは「1セット目捨て奸作戦」で行きます。

1セット目を取ること自体は考えず、ミスをするまで暴れまくるという作戦です。

とにかく「本気」でフルスイングしまくってください。

この「本気」というものが、実に恐ろしいのです。

相手に恐怖心を与えて1セット目を終える。

これが2セット目以降に繋がってきます。

そして大逆転へ

【歴史】

関ヶ原の戦いは終わり、家康による戦後処理が行われます。

「家康さん、西軍のアイツどうします?」

「うーん、流罪。」

「じゃあ、アイツはどうします?」

「うーん、お家取潰し。」

次々と厳しい処分が下されました。

「じゃあ家康さん、東軍に寝返ってくれたアイツはどうします?」

「うーん、また裏切るかもしれないからなぁ…」

東軍に寝返った武将にも厳しかったようです。

(「裏切り」でおなじみの小早川秀秋は、領地を増やしてもらっています。
「小早川は最初から東軍だった説」が今は有力なんだそうです。)

「じゃあ家康さん、島津はどうします?」

「うわ、島津かぁ~。あいつら目がヤバいんだよなぁ~。
じゃあ…とりあえず放っときますか。」

なんと、島津家は領地そのままの存続となりました。

義弘を恐れた家康は、島津家に対して「何も出来なかった」のです。

そして200年以上の時が経ち、島津家率いる薩摩藩が、徳川幕府を倒すことになるのです。

【卓球】

相手は1セット目を取ったものの、強い恐怖心が植え付けられています。

こちらの猛攻にビビってしまい、何も出来なくなってしまいます。

「サーブを短く出さなきゃ」
「レシーブは低くしなきゃ」

と、余計に保守的になっていきます。

こうして、

相手は短く低く狙いすぎてミス。

相手がミスを恐れて入れに来たところを、こちらが強打。

この流れにまで持ち込めば、作戦は大成功。

2セット目からの大逆転は成されていきます。

さぁ、敵中突破しよう!

今回の作戦はおそらく、明らかな格上相手には通用しません。

相手のサーブレシーブが上手くて、捨て身攻撃が成功しづらい。

そして、仮に成功しても「たまたまだ」と割りきられる可能性があるからです。

(それでも実行してみる価値はあると思います。)

お互いのレベルが近いほど、この作戦は効きやすいと思います。

もし、少し格下の「負けてはいけない相手」に対して、いきなり大きなリードを許してしまっても焦ることはありません。

そんなときは、島津義弘のことを思い出してください。

義弘のように、死を恐れずに本気で戦ってみてください。

それを実行できたとき、きっと目の前に道が開けてきます。

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