eyes(6)
僕の病である統合失調症は、今自分が何をすれば良いか分からなくなる病気である。Mさんにお願いして、一年間取り組んだ心理面接は自分の心の引っかかりを伝える事で自分を肯定する事が可能である。
Mさんは「あなたの事、理解してますよ」と言ってくれた。とても嬉しかった。
僕は面接の時に話す内容をメモにしていた。それが僕の創作の始まりでした。僕がどうしても伝えたい内容を特別な気持ちで伝える事が僕の表現でした。しかし、一年間心理面接で話した内容を創作大賞に応募した事は行き過ぎた行動ではなかったかと反省している。
僕は「社会で相手にされなくて、仕事を努力してもついて行けなかったんですよね」とMさんに話す。
Mさんは「大変でしたね、もう大丈夫ですよ」と僕に言う。
「もしデイケアで幻聴がおさまったなら、当分ここでお世話になろうと思っている」と僕は答えた。
僕は心理面接で自分と向き合う事で、過去の記憶を振り返り、思い出す事ができた。僕の感情を言葉としてMさんに伝えられて、創作活動をする基礎を作れたと思う。同時に僕の病気は、自分の心が社会のレベルについていけなくて、幻聴が騒ぎ出すのだと理解できた。それでは、僕の小説と同じテーマを必要としている人に届ける事は可能だろうか。今書いているのは創作についての対話を伝えている。
僕は「人の記憶や心持ちを対話する居場所ってどこなんですかね」とMさんに尋ねた。
Mさんは「他人は自分の気持ちにしか興味がないのかもしれません」、
「だからあなたの心はあなたの心の中に留めて置けばいいのだと思います」と答えた。
僕ははっとした、人が異性に興味を抱くのは、無意識に自分を愛して欲しいと望むからかもしれない。他人と対話する事は愛を伝える事なんだと気づいた。
僕は「愛している事に気づきました?」と話した。
Mさんは「私は職員です、友人にはなれません」と答える。
僕は「好きになって欲しいわけではありません」、
「僕達の対話の中に愛は確認できるのでしょうか?」と質問した。
Mさんは「私の仕事はあなたに気づいてもらう事です」、
「それが愛であるなら、それで良いのだと思います」、
「これで明日を生きていけるはずです」と話した。
僕は心理面接で話した事が、創作の原点になっている。難しい社会の中で生きる為に悩みを抱いている人に対して、僕もMさんの様に気づきを与えられる人になれればいいと思う。他人が自分の記憶や感情を素直に認める事は、日常生活を送る中で違和感を抱かせることかも知れないけど、自分を大切にするきっかけになればいいと思います。今日の僕の対話を聞いて、人生の物語を創作する機会になれば嬉しいです。