データビジュアライゼーションの4つのパターン
データビジュアライゼーション( Data Visualization/データ視覚化)とは、チャートや図を用い、文字と数字で表されるデータをわかりやすく理解しやすくすることである。
プレゼンを行う場面、データの分析結果を分析者以外に見せる場面など、データビジュアライゼーションへの意識がメリットをもたらす場面は数知れずある。
筆者がBIツールTableauの学習で学んだデータビジュアライゼーションのポイントを数回に渡って整理していく。
まず、データビジュアライゼーションは以下の2つの類型に分けられる。
インフォメーションデザイン…課題解決のためのデータ視覚化
データアート…自己表現のためのデータ視覚化
今回はインフォメーションデザインについて深堀を行う。
「どのようにデータビジュアライゼーションを行うか」は大きく分けて4パターンに分けられる。場面や目的に応じて適切なパターンを選択することが大切だ。
①まず仮説を提示し、データを用いて検証することで仮説が事実であるかを裏付ける。(仮説検証型)
②漠然とした目的や疑問を解消するための手段としてデータを用い、データから仮説を立案する。(仮説探索型)
③定点観測したい指標に対してデータを用いて分析を行い、データから傾向を把握し、着目する点について特定する。(事実報告型)
④作り手側の意図やメッセージを盛り込んでデータを整理し、作り手による説明ストーリーによってデータを視覚化する。(事実説明型)
以上の4つのパターンについて、自分がこのパターンでデータを視覚していることが多いな、自分はこれが得意だな、などと自分の「癖」に気づいた方もいるのではないだろうか。
4つのパターンをそれぞれ知ることで自分の固定化された癖から脱し、場面や目的に応じて適切なパターンを選択することが望ましい。
①まず仮説を提示し、データを用いて検証することで仮説が事実であるかを裏付ける。(仮説検証型)
事前にデータによって裏づけたい仮説がビジュアライゼーションの根幹にあるのが仮説検証型の特徴である。ビジネスのプレゼンよりは論文や研究、施策の発表などアカデミックな場面で使われることが多いのではないだろうか。
②漠然とした目的や疑問を解消するための手段としてデータを用い、データから仮説を立案する。(仮説探索型)
仮説探索型では仮説検証型と反対に、ビジュアライゼーションを通して仮説を立案していくのが特徴的である。例えば「Web広告のクリック率を伸ばしたい」といった漠然とした目的に対して、データを用いて分析、視覚化を行うことで「閲覧者の興味に応じたWeb広告を掲載すればクリック率が向上するのではないか?」という仮説を立案していく。こちらはビジネス、特に対外のコミュニケーションにおいてよく使われる手法だ。顧客の目的を達成するためにデータを用いて解決策の可能性を提示したい場合によく用いられる。
③定点観測したい指標に対してデータを用いて分析を行い、データから傾向を把握し、着目する点について特定する。(事実報告型)
事実報告型は社内報告や経営層向けの報告などで多く用いられる。事業運営上、定点的に確認すべき指標値を定型フォーマットで報告するためのビジュアライゼーションである。例えば売上、利益、顧客数など指標値を定期的な頻度で最新化して確認を行うために使われる。事実報告型のビジュアライゼーションでは、定型フォーマットによる報告のため、データ更新作業の自動化や情報配信の効率化が重要となる。
④作り手側の意図やメッセージを盛り込んでデータを整理し、作り手による説明ストーリーによってデータを視覚化する。(事実説明型)
事実説明型は①仮説検証型や②仮説探索型のビジュアライゼーションの結果として確認された事実や発見をさらにわかりやすいように説明する、いわゆるプレゼンテーション向けの視覚化のことである。
事実を元に作り手として伝えたいグラフ表現、ストーリー、配置レイアウトを設計し、相手に正しく、わかりやすく伝えることを意識する。プレゼンテーションのストーリーに基づいてデータを絞り込む条件や強調表現、指標値などが選択されるため、一度限りのものとなることが多い。
以上がデータビジュアライゼーションを用いて課題解決を行う際に用いる4つのパターンである。自分が普段用いているパターンや逆に用いたことがないパターンについて意識し、場面に応じて適切なビジュアライゼーションの手法を取っていきたい。
参考文献:データビジュアライゼーションの教科書(2019) 藤俊久仁/渡部良一 発行:秀和システム
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