苔読書 その2
一度、苔観察会などに参加してプロの方の指導を直接仰ぎたいと思っているのだが、その機会もまだなく、とりあえず手当たり次第に苔本を読み漁っている今日このごろ。
『コケのふしぎ』
樋口正信著 SBクリエイティブ
植物学者の著者による新書版の入門書。カラー図版が多く、しかし紙は光沢がないので目にやさしく、重さもなくコンパクトなのもよい。
内容としては、特に第4章の「コケを科学する」がおもしろかった。特に苔の果たしている生態系での役割が興味深い。コケの間に砂が積もり、やがてはそこに草木も生えるようになる、つまりは森のはじまりの第一歩はコケの群落であるとか、林などにコケが生えることで一帯の水分が保たれる「ダム」としての機能を果たしているとか。苔は小さくて控えめな存在だけど、きちんと地球の役に立っているのだ。エラい!
『苔とあるく』
田中美穂著 WAVE出版
最初に手に取った『ときめくコケ図鑑』の著者による2007年の著書。この手の本としてはおそらく先駆的なものだったのでは?著者は専門家ではなく、倉敷の古本屋さんだが、学会にも所属し、かなり本格的に苔を研究している。初めて苔に興味を持った人にはとても親切な入門書。
この本で紹介されている苔文学、特に尾崎翠の本はぜひ読んでみなくてはと思っている。
ところでこの著者は、ミズゴケをてんぷらにして食べたという…前に読んだ本の著者盛口満氏によれば、コケはどうしようもなく不味くて食べられたものではないという話だったが、ミズゴケは例外なのか?なお、有毒な苔というのは見つかっていないらしい。(※現在、日本ではミズゴケは保護すべき対象であるため、野生のミズゴケを勝手に採って食べるのはいけません)
またこの著者は、海外に住む人に現地で採取した苔を送ってもらったりしている。海外の苔を日本に持ち込むのは検疫上は問題ないのだろうかとちょっと疑問に思った。
ところで、『ときめくコケ図鑑』にも、『苔とあるく』にも、ルーペの使い方が丁寧に説明されている。ルーペを目にくっつけて、そのまま頭ごと苔に近づくというもの。どうしても苔に近づけない場合には、苔を少し取って観察し、その後戻せばよいと。
苔の標本を作るにしても、採取するという手順があるわけだが、これ勇気がいりません?どれくらい、どうやってとったらいいものか…苔には根がないので、元の場所に戻せば元通りになると書いてあるが、標本の場合は取りっぱなしになるわけだし。この辺はやはり誰かに教えてもらいたいと思うのであった。
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