こんな映画、世に放っちゃっていいのかな…?
映画『君が君で君だ』を見てきました。
ネタバレなしで、感想を書いてみます。
上映前、映画館の化粧室にまでポスターが貼ってあった。
「この愛は純情か、異常か。」
純情も異常もきらいじゃない。
学生時代は映画研究部に所属していて、ミニシアター系、特にフランスの映画をせっせと見ていた。
ヘンテコな愛のかたちは、いろいろ見てきたつもり。
さぁて、今日は、どんな愛すべきヘンタイに出会えるかな、と、ちょっと上から目線で客席に座ったのだが。
うーん、今回はキビシイかもという気もちにどんどんなっていく。
ほんとにヤバイですよ、なんなのあんたたち!!
受け入れがたい。
めずらしく、途中で映画館をぬけ出したくなった。
だけど、終盤、龍馬が叫んだあたりから、じわり…と気もちが動いていく。
「好きな人」って、いつになっても、いくつになっても、「お姫さま」で、「王子さま」なんだなあ…。
特別なひととして、いろんなことがゆるされること。
でもそれは、なにをどうすれば獲得できるってものでもなくて、
私の王子さまは、私をお姫さまだと思ってなくて、
私をお姫さまと思ってる人は、私にとっては王子さまじゃなくて、
ああ、なんともうまくいかない!
そんな時代のよるべなさを思い出してしまった。
それだけじゃない。
なんだか周辺の細かいことばっかり集めまくって、本筋はぜんぜん進まない(進ませない)とか、
自分で自分につないだ、謎のオキテに首ねっこつかまれて身動きできないとか、
恋をしたときのあるあるにあふれていて、痛いっつーの。
実験映画で、問題作だと思う。
こんな映画、世に放っちゃっていいのかなって、思う。
なんか地味に…、世界を崩壊させちゃいそうな気がするのだ。
気になったかたは、ぜひご自分の目でたしかめてみてください。
映画研究部時代の私だったら、…やっぱり見る、かな。