懐かしさ漂うサードプレイス「コメダ珈琲店」
今回は、コメダ珈琲店について「#マーケテイングトレース」してみました。「マーケテイングトレース思考力トレーニング」を読んで、「note」を好きになったので、今回はブログではなくnoteで記事を書いてみました。
また、コメダ珈琲店は「マーケテイングトレース思考力トレーニング」で紹介されており、自分でももっと調べてみたいと思ったので、題材として選択しました。
それでは、簡単な概要から始めていきます。
コメダ珈琲店の概要
コメダ珈琲は1968年に珈琲店をオープンし、2018年の7月には全国で800店舗をこえるほどまで大きくなりました。
現在の売上は300億円超で、毎年売上を伸ばしています。カフェ業界でトップはスタバの2000億程度で、2位がドトールの800億円程度であり、それにつぐ3番点です。
コンセプトは、「くつろぐ、いちばんいいところ」「いつも同じ味のコーヒーを楽しめる安心感」であり、コーヒーの提供よりも空間の提供が本質的な価値であると考えています。
よって、コメダ珈琲店は「ゆっくりとした時間を外で過ごしたいと思ている人」の「最近の珈琲店がオシャレでくつろぐことができない」という課題を、「周りを気にせず、おうちにいるような感覚でくつろげるサードプレイス」を提供することで解決しています。
ー業績の推移
近年、出店数増加とともに、売上は伸び続けています。飲食店であるのに営業利益率が高いのが特徴であります。これはフランチャイズ店舗が多いことが大きな要因であると考えられます。
ーコスト増加の要因
近年、円安や輸送コストの高騰、人件費の高騰などの影響によって、売上原価率が高くなっており、これにより営業利益率が低下していると考えられます。
今後、今の値段を保ったまま珈琲店を継続できるのか、というのはかなり重要なポイントとなってくると思います。
それでは、PEST分析を通して、周りの環境を整理していきましょう。
PEST分析から見る環境分析
政治面
・消費税増税
・健康増進法や東京都受動喫煙防止法により2020年4月から原則室内禁煙
⇒客層や客単価に変化が起きる可能性があります。
また、喫煙対策として空間を分けようとすると、コストがかさんでしまいます。
コメダ珈琲店は、4月よりも前の2020年1月22日から全席禁煙化を実施していて、今のところ大きな問題は出ていないようです。喫煙者がお客さんの大半を占めるような、他の珈琲店の方が影響は大きそうです。
経済面
・原材料の高騰
・人件費の上昇
・輸送コストの上昇
⇒以下のようなコスト増加要因が増えています。
・海外から輸入している材料は、円安の影響によって価格が上昇。
・日本国内では深刻な人手不足に陥っており、人件費を上昇させる原因に。
・円安の影響によって、海外工場で働く従業員の人件費が上昇。
・石油や天然ガスの供給不足により燃料価格が上昇。
・運送業者が人材不足によりサービス料金が値上がり。
社会面
・消費者のコーヒーに対する高級志向
⇒健康的なものやちょっといいもの消費への傾向が高まっている。
・コンビニがドリップ珈琲の提供
・コンビニの喫茶店化
⇒イートインコーナーを設置し喫茶店化が進行
・コーヒーの「サードウェーブ」
「ファーストウェーブ」は、19世紀後半から、1960年代まで続く、大量生産・大量消費のコーヒーの時代。
↓↓
「セカンドウェーブ」は、1960年代、シアトル系コーヒーチェーンなどの台頭により広がった、深煎り高品質の豆を使ったコーヒーの時代。
↓↓
「サードウェーブ」では、コーヒーの生産地への配慮や価値などが注目されるようになり、コーヒーがカップに運ばれるまでのトレーサビリティ、豆の素材や淹れ方など、各々の工程にこだわるスペシャルティコーヒーが注目される時代に。
ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に入れるスタイルがトレンド。
技術面
・自社アプリやモバイルオーダー、QR決済
・家庭用焙煎機の浸透
⇒技術の発展により消費スタイルが変化しました。また、そもそもお家でも手軽に本格コーヒが飲めるようになっています。
以上のことを踏まえて、5Fについて考えていきましょう。
5Fから見る環境分析
5Fからの考察
・PEST分析でもありましたが、売り手の交渉力が高く、コスト増加の傾向にある一方で、コストとWTP(Winning to Pay)のバランスが崩れると、買い手の交渉力が高いので繁盛しなくなってしまいます。いかに競合と比較して、コストとWTPのバランスを保つかが、重要であることが分かります。
・喫茶店の業界に新規参入しているコンビニとは、提供いている価値が異なるため、コメダ珈琲店にとっては脅威は高くないと思われます。コンビニを脅威と感じるのは、ドトールなどの「サードプレイス」よりも安価なコーヒーを提供するスタイルの珈琲店です。
・また代替品としては、おうちで手軽に飲める焙煎機などが考えられますが、おうち以外の場所で飲むことや、外でおいしいコーヒーを飲むことに対する欲求はあると思われますので、代替される可能性は低いと考えられます。
競合に関しては、詳しくは3C分析で考察します。
3C分析によるまとめ
・顧客
ゆっくりとした時間を外で過ごしたいと思っている人(特に30代~40代以上の主婦や、サラリーマン、高齢者など)がターゲットとなっています。
・自社
【サードプレイスの提供】
①セルフサービスではなくフルサービス
②くつろげる設計の店舗
⇒くつろぎたい顧客に対して、考え抜かれた設計です。(詳しくは4Pにて。)
【コスパ最強でおいしい】
③値段の割にボリューミーかつおいしい
⇒喫茶店として必要な要素です。くつろぐにしても、割高だったりおいしくなかったら意味がないですよね。
・競合
ドトール、スタバ、星野珈琲店など
⇒割と業界内に競合がいるように思えますが、実際はポジショニングが異なります。(詳しくはSTPにて。)
STP分析を使ったポジショニングマップ
STP分析のポイント
セルフサービスで安いドトールコーヒーが旧来の街の喫茶店を駆逐していきました。そして、さらにお洒落なスターバックスが上陸すると、喫茶店は多様化していきました。スターバックスは主に「サードプレイス」の提供をしており、ドトールとは異なる価値を提供しています。
それらとは、また異なるポジションに「コメダ珈琲」はあると考えられます。
まず、コメダ珈琲店は「サードプレイス」の提供という点でドトールとは異なり、スタバとは同じポジションを取りますが、スタバとは異なり「懐かしさが漂う昭和スタイル」の店舗作りをしており、より「自宅に近いくつろげる雰囲気」を作っています。
スタイルが異なることから、出店戦略も異なっており、オシャレな現代スタイルのスタバが駅近や繁華街にあるのに対して、古風な昭和スタイルのコメダ珈琲店は郊外に多く店舗を構えます。
また、同様な昭和スタイルかつ郊外型の喫茶店としては、星野珈琲店がありますが、こちらとは提供している価値がことなっています。
星野珈琲店は「サードプレイス」ではなく、あくまでも食事や珈琲を楽しむ喫茶店であり、長居をする場所ではないと考えられます。消費者が使用できる電源や専用無線LAN(Wi-Fi)を備えた店舗がないため、パソコンを使って作業をしながら長居をすることはできません。読書したり、おしゃべりしたりするのはできますが。
以上の通り、コメダ珈琲店は懐かしさが漂う昭和スタイルのサードプレイスとしての、ポジションを獲得しています。
それでは最後の分析です。4P分析でいかにして、このポジションを確立していったのかを考えていきたいと思います。
4P分析
Product
本質は「貸し席屋」、つまりサードプレイスの提供です。
つまり、企業の応接間や自宅の居間代わりに利用されるということです。
コメダ珈琲のくつろぎポイント
・どこか懐かしく親しみやすい店づくり
⇒木とレンガ、本物にこだわったやさしくぬくもりある空間とゆったりとしたソファー
⇒重心が低く、階段で上がるような店にせず、天井も高くして木のぬくもりあふれる空間
⇒店内の座席は、どこも間に高い仕切りがあり、落ち着ける空間
・雑誌や新聞も提供
⇒店内に新聞や雑誌がズラリと揃っています。さらに近くに幼稚園や保育園がある場合には、子供向けの絵本まで提供しています。
・世界各国から厳選された豆を国内で焙煎し独自の製法でお届けするコメダブレンド
・手作り感を大切にしたお値打ちな各種メニュー
・昔の喫茶店を彷彿させるフルサービス
⇒店員が注文や飲食を運ぶので、お客がくつろげます。
Promotion
幅広い世代に利用されてて、かつ拡散されやすいツールであるから、Twitter(フォロワー16.2万人)を中心に活動していると考えられます。Facebook、Instagram、Twitterを活用して、期間限定メニューやコラボの紹介してます。
⇒特にTwitterで、RTキャンペーンを行い、認知&興味の拡大を図っている。
Price
・高めの値段設定
(ドトールのコーヒー200円台~に対して、430円~)
・ボリューム感やオトク感を重視
フードメニューにボリュームがあり、しかもおいしいという評判です。
お客様に喜んでいただきたい!という思いから、ボリュームたっぷりでお得感のあるフードメニューを提供しているということです。
Place
・郊外型が多い
⇒主婦や高齢者、サラリーマン、学生など幅広い層がいる場所に出店しています。午前中の高齢者、昼時の子連れ主婦、午後は商談のビジネスパーソン、夕方には学生で、夜となると食事の家族客となっていて、つまり朝から夜まで、全時間帯でまんべんなく客席が回転することで、平均滞在時間の長さという不利を補っているのです。
・コメダの建物は、山小屋風
・居心地のいい空間の提供のため、駐車場は広めの設計
⇒出店する際に駐車場を優先して設計しています。これは、郊外型の店は、店が見えた段階からお客さんの体験が始まると考えているからであり、駐車からゆったりと過ごすことができるようになっています。
もし自分がCMOになったら
まず、喫茶店の売上を簡単に分析してみましょう。
大雑把に考えると上のようになります。
コメダ珈琲店はドリンクの単価が高く、またすでにフードが充実しており、平均客単価は喫茶店において高い方と考えられます。よって、今回は客単価ではなく、来店客数を増やす策を考えていきます。
まず、①はリピート客を増やす、あるいはリピート回数を増やす策となっています。
コメダ珈琲店は自社アプリがなく、調べた限りでは回数券やポイントカードはいまだにカードを使っているようです。そこで、自社アプリを開発し、アプリ内で回数券やポイントカードを発行できるようにすると、紙からアプリ内へ移動したことによりなくす心配がなくなり、さらにはコストもかからなくなります。
また、これまではプリペイドカード「コメカ」を使って支払う際にポイントを貯めれていたようなのですが、「コメカ」を発行しないとポイントがたまらないのはポイント付与の障壁が大きいと考えられます。そこで、アプリでポイントを簡単に貯められるようにすれば、そのポイントを使うため、あるいは貯めるために来店する人が増えるのではないかと考えられます。(カフェ行く際に、選択肢としての魅力が増す効果があると考えます)
次に②は新規顧客を開拓する策となります。
コメダ珈琲店では、「シロノワール」が大人気みたいです。私自身食べたことがないのですが、Twitterやインスタの写真を見たところ、見た目もかなりおいしそうでした。食べたことがない人が、訪れやすくするために、新規顧客限定で割引をするといいのではないかと思います。このとき、自社アプリを用いて、電話番号などでアカウントを作成しておけば、何度も割引を利用できなくなると思いますので、簡単にキャンペーンができると思います。
以上、私がCMOになったらでした。
最後に
最後まで読んでくれてありがとうございます。
今回の記事に関して、何か意見や感想がありましたら、コメントしていただけると大変うれしく思います。
みなさんといっしょに、マーケテイング思考力を鍛えていければ幸いです。