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サフランのような黄色い苔のような
サフランのような黄色い苔のような
夕方までいたカフェを出て、夕暮れになろうかという時間、アトサヌプリに行った。
こないだ登ったのはカムイヌプリ。神の山。
今日のアトサヌプリは裸の山。
黄色いお花が噴き出している。サフランのような黄色い苔のような。
その正体は硫黄の温泉だった。もくもくと煙をあげる噴出口が山の谷間を埋め尽くしている。
さらりとして白くて細かい砂があたり一面に広がっていて、その内側からごくごくと音を立てながら黄色い蕾が顔を出す。
ふと、向かいに目をやると延々とエゾマツの森が広がっていた。
遠くには斜里岳だろうか、鈍角と直角の間ほどの斜面の山が霞んで見えた。
雨がポツリと帽子のツバにあたった。車に逃げ込んだら、屋根をたたくパチリという音とともに、窓ガラス越しに雨粒が落ちていった。
さて、車をだして、美味しいご飯やさんに行こう。
ちょっと気になっているお姉さんがいるお店へ。なんだかちょっと緊張する。
そして、いままさにそのお店でこの原稿を書きながら、その緊張を抑えるために僕は今日の夕暮れを思い返ながら文章を書いていたりするのだ。