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フィリピン旅行記① 初の海外一人旅


「言葉」と諸行無常

個人的な意見ではあるけども、「言葉」をあまり信頼していない。

よく「お前あの時こういうこと言ってたじゃん」という揚げ足を取るシーンを見かけるけども、それは意味がないと個人的に思っている。

「過去に発した言葉が、今も変わらずにそのまま適応される」ということは、傲慢だと思う。「あなたのことは一生好きだ。」と言い、それが本当にそうであるのは素敵なことだが、本当にそうとは限らないし、恐らく変わる可能性の方が高いと思っている。

だから、Noteを書くことに、プレッシャーを感じたこともないし、責任を感じたこともない。「お前あの時こう言ってたじゃん」と言われても、「そんな過去の言葉を信じるなよ。3秒前の自分と、今の自分が、一緒なわけないじゃん」と言えるからだ。

それでも、過去の言葉を否定するわけではない。
今は違くとも、とある過去の一点において「そう思っていた」ことは事実だから。その時は「この人を一生愛する」と思っているのだ。そして現在に至るまでに、その思考を通過していることも事実になる。

そう考えると、一つ興味が湧いてくる。「あの時の自分はどう思っていたのか。」ということ。自分の思考は今がすべてで、あの時どう思っていたか?とか忘れる。薄く「初恋の記憶」や「初めての彼女と手を握った」ときとか、「親友と公園で飲んで語り合ったこと」は覚えているかもしれないが、具体的な悩みや葛藤なんてものは、忘れてしまう。でも、それらをある時思い出したくなる。

そういう気概を持って、旅行記を書くことにする。もちろんこれを書き終えたとき、これらは過去になる。今の俺がこの旅行記のことを考えている保証はない。ただ、この旅行記に書かれた思考を通過したことは揺るがない。

フィリピン出国前夜

今、自分はフィリピンの国際空港である、ニノイ・アキノ国際空港近くのホテルに泊まっている。時間は0:34。3時にはフライトに間に合うために宿を出ないといけない。寝られないのだ。

今回の海外旅は1人だ。旅行というほど大層なものではないと思う。ただの安っぽい一人旅だ。目的地もなく、適当に場所を決めた。ホテルも安い。お湯が出なかった。

一人旅するぞ!と元々意気込んでたわけでもない。フィリピン行ってみれば?と言われ、行ってみるかー、で決めた。

フィリピンについての前情報も何もなかった。国民の9割くらいがバナナを作ってるのなーとか思ってた。小学生の時に、「フィリピン産ではないバナナ」を探して、見つけることができず、友達と爆笑していた。アホな小学生だ。ともかくにも、安全な南国だと思った。

ただ実はそこまで安全な国ではない。首都マニラであっても、約160カ国中、治安の悪さは90位くらいだ。普通にスリや強盗もいるし、毎週日本人が襲われる。行ってみて感じたが、タイやベトナムとはまた違う。もっと貧しいし、臭い。

疲労困憊の1日目

旅行の1日目は災難だった。無事フィリピンに到着したはいいものの、フィリピン政府によって入国する際にアプリ登録が義務付けられているらしい。そのアプリ登録に1時間半かかった。なぜそんなにかかったのかというと、パスポートの失効日をミスって打ち込んでた。あまりにも愚かである。

自分が悪いので誰かを責めるつもりはないが、空港スタッフに聞いても「あいつに聞け」と言われたり、「これエラー出てるけどいいの?」と問い合わせセンターに聞きに行ったら、スタッフから「平気平気!」と言われる。その言葉を信じて再度入国審査したら、エラー出てるからダメと言われる。

フィリピンとバナナを嫌いになりかけた。もうこのまま台湾に帰ってやろうかと思った。

空港で台湾元とペソの両替を試みるも、「この両替センターは今閉まったかは、あっちに行ってくれ」と言われた。「仕方ねーなー」と思い、そのセンターの列Aに並び自分の番が来たら、この列Aは終わりだから列Bに並び直せと言われ、その場で地団駄を踏んでやろうかと思った。

あの時怒ってきた人が思っていたこと

この時は「お前ふざけんな!」と思ったのだが、落ち着いて考えると、怒る方がおかしいとも感じた。「一度並んだ列に並べば購買ができる」というのは、ただの思い込みで、法律で決まっているわけでもない。それで怒られてもたまったものではないだろう。それに耐えられないなら自国に帰ればいい。

たまに、自分の悪い面についてのフィードバックを誰かに聞く。すると、「マイペースすぎる」というフィードバックをもらう。普通に生きてるだけだから、直すのが難しいんだけど。

現地のフィリピンの人も、こんな気持ちなんだろう。「普通に生きてるだけ」なのだ。そしてフィリピン人に怒る俺の気持ちは、普段俺の周りの人が俺に対して感じる怒りなんだろう。色々な人の感情の解像度が高まった瞬間だった。

この思考に対して心から腹落ちしてから、フィリピン旅行において、イライラの類は完全になくなった。自分の中にある思い込みが溶けていく。何も知らない赤ちゃんの時のようになっていく。自分の不手際で絶望することはあったけど、イライラすることは無くなった。解脱のようなものに、一段階くらい近づいたのかもしれない。

ちょっとした交渉

ホテル近くの両替場で両替すればいいかーと思い、Grab(東南アジアの配車アプリ)でタクシーを呼ぶ。しかし道が混みすぎててタクシーが見つからない。

何とか乗車し、ふとスマホを見ると、Grabには「このデビッドカードは使えない」と表示される。その時俺は他に有効なクレカを1つも持ってなかった。現金も持ってない。この時にGrabのUIUXに絶望した。俺が悪いんだけどね。

結果、運転手に事情を話し、目的地を両替場に変更してもらった。
両替するから待っててくれと言ったら全然待ってくれた。
興味が湧き、運転中に「なんで待ってくれるんだ?」と聞いたら、「君は韓国人だと思うから、多分払ってくれる。」と言われた。「日本人だよ」と返した。

フィリピンはSNSの使用率が世界1位らしい。運転中もTikTok的なやつをずっと見てたり、ずっと誰かとLINEしている。まあこれだけ渋滞していればそうなるだろう。

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