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楢葉の風④
神保です。楢葉町の旅から、もう1ヶ月以上たつんですね! というか、今年ももうあとわずかですね。あったかいご飯がうれしい季節。楢葉町はもう、めっきり真冬なんだろうなあ。
さて、旅の記録その4は、2日目の朝からスタートです。2023年11月19日。旅するたたき場メンバーの神保治暉・山本史織・山田朋佳の3人は、福島県・楢葉町で現地の堺亮裕さんのお宅にお邪魔しています。バックナンバーはこちら。
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早起き
早起きが苦手。外泊時はめちゃくちゃ気合い入れて起きる。布団類を、失礼のないように畳んだりすることに、毎回ちょっと緊張する。
堺さんが、昨日スーパーで買った鮭を焼いてくれた。お味噌汁も優しくて、静かな朝にやわらかい湯気が立つ。
スロースターターすぎたのか、ここでの会話をほとんど覚えていない。すごく穏やかだった。夜の賑やかだった居間が嘘みたいに。
食後に、障子の外を眺めると、夜にはわからなかったけど、ここが山に囲まれた町だったことがわかった。太陽に照らされて、山と空の境界がよく見えた。コーヒーまでいただいて、ゆっくりしてから家の周りを散歩しに出かけた。
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立石神社へ
1日目の昼、海鮮定食をいただいたとき、堺さんと、川に沿って神社が建てられているというような話をした。それって、この立石神社のことを言っていたのかなあ、と思った。
堺さんのお宅から15分ほど、しんとした朝の山里を、立石神社に向かって歩いた。堺さんは、途中で会うご近所さんに朗らかに挨拶をして、よく僕たちを紹介してくれた。井出川の流れる音が、かなり遠くまで聞こえてきた。僕はあいかわらず、カリンバを鳴らしながら町のリズムを探っていた。双葉町役場ちかくで感じたのとは、当然まったく違う感触だった。ここは音のはねかえるものがなくて、鳴った音がそのまま潤んだ空気に包まれるような感じだった。
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途中で、史織さんが木の枝を拾って楽しそうだった。
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史織さんはしばらく持ったまま歩いて、川べりの良さげなところに立てていた。
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坂を見上げると、鳥居の向こうに立石神社が現れた。太い木が多くて草も深く、歴史を感じた。いかにも、井出川の流れを見守っているかのような位置で、こちらを見おろしていた。
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神社に挨拶をしてからその横をさらに行こうとすると、すぐ裏に大きな岩があった。堺さんいわく、これを「立石」と表現して、祀るようになったんじゃないかとのこと。
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すぐ下は切り立った崖で、その岩肌と似た岩石が大きく地表に突き出している。苔や木と一体化していて写真だと感じにくいかもしれないが、確かになんだか特殊な雰囲気を放っていた。人格がある感じというか、そこにどっしりと構えている感じがあった。結構大きかった。
そして、さらに奥へ登っていく。
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橋には「御即位」と記してあったので、天皇の即位を記念したタイミングで建設した橋なのかな。踏みしめると苔でふかふかだった。眼下には、井出川が細い谷間をさらさら流れていた。その先にあったのは、立石不動尊の本殿だった。
土地の力
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お堂の前は開けた空間になっていて、周囲の山を見渡せるようになっていた。堺さんはここからの景色にいつも力をもらうと言っていた。確かに、悠然とした山々に囲まれたそこは、清い風の通る気持ちのいい場所だった。いい場所だから社が建つのか、社が建ったからいい場所になったのか、それがなんだか気になった。
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ここからの景色を見たあと、僕はしばらく、大昔の暮らしのことをイメージしていた。なぜかくっきりとそれが想像できた。山村での人々の生活。ここに神を祀り、きっと日々訪れていただろう人々の足跡。山と水、風と生き物、そして八百万の神々が、もっともっと人間の暮らしと切り離せない存在だった、それがすごく想像できた。それになぜか、日本はまだまだ「原初の時代」にいるんじゃないかという、そんな感覚も芽生えた。
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人はどういうところを選んで、その地に住み着くんだろう。日本は定住するメリットの大きい気候や環境なんだろうけど、元はどこからかやってきているはずなので、かつての人々がどのようにしてそこに住んでいったのか、気になった。河口に住む人、平地に住む人、山頂に住む人。もちろん、住む場所を選べなかった人もいるだろう。僕はなぜか、楢葉町にお邪魔したこのわずかな時間で、土地への愛着のようなものを感じていたのかもしれない。でもこの「土地への愛」って何だろう? なぜ風景や町の空気にそんな力があるんだろう。
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楢葉町は、なんだか土地の力がむき出しになっているような感じがした。僕たちは多分、気付かないうちにそういう力を浴びていた。
ちなみに先日、ホームページ作りの作業で朋佳と史織さんに会った。僕は東京に帰ってからしばらく、すごくスッキリしていたと話したら、二人は逆にぐったりしていたらしい。もしかして土地の力かな?
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次回、ゆず農家さんとの出会い!!ゆず太郎の洗礼!!!!!