見出し画像

盛岡の「ネオ酒場」から大衆酒場を考えてみた。

盛岡にも「ネオ酒場」とか、「ネオ大衆酒場」「ネオ大衆居酒屋」と言われる業態の居酒屋が増えてきました(ここでは統一的に「ネオ酒場」としていきます)。

「ネオ酒場」に明確な定義はないと思われますが、昭和レトロ感とエモーショナルな演出と敷居の低さが特徴のようでして、特にも若い方々に人気があって、盛岡の「ネオ酒場」の中には、予約なしでは入店できない店もあると聞いています。

わたし自身はというと、何度か程度はありますが、「ネオ酒場」に足を運んだことがあり、串焼きとか串揚げとか酢モツとか梅水晶とかをつまみつつ、レモンハイをぐいぐい、という感じでしたかね。

ということで、わたし自身は「ネオ酒場」について語ることができることはあまりないのですが(笑)、どんな店があるか、軽く見ていきたいと思います。



⚪️菜園「大衆酒場 ニューオドロカ」

明るく清潔もネオ酒場の特徴でしょうか

菜園のカワトク近くの「大衆酒場 ニューオドロカ」は、盛岡ベース株式会社運営の人気店。

休みの日は15時から開いているようで、明るい時間から若い方々が酒を呑んでいるのが通りからも見て取れます。

中の様子がわかるのが、「ネオ酒場」の特徴のような気がします。

⚪︎大通「もつ焼きホームラン」

ビニールカーテンも特徴でしょうか

開運橋通からほど近くにある超人気店が「もつ焼きホームラン」です。予約も取りづらいとも聞きます。

「安くて旨い」がウリとも聞きますが、いずれ前を通るとほぼほぼ満席のように思えます。

ビニールカーテンが、まさに「ネオ酒場」感ありますよね。こちらの居酒屋は、近くの「Aeron Standard」を経営するS.A.S合同会社が展開する「ネオ酒場」ですね。

⚪︎大通「大衆酒場 ざざ」

元「座座」なのかな

こちらも大衆酒場ということで一際目を引く外見になっていますが、真珠苑グループの「横丁居酒屋 座座」の後継店かもしれません。

明るく清潔感があり、「ネオ酒場」感満載です。

⚪︎大通「大衆酒場 チョウチン」

活気が感じられます

株式会社seriousグループも「ネオ酒場」感満載の飲食店をドミナント戦略的に展開しています。

盛岡市内で最も勢いのあるグループと言えるのではないでしょうか。その展開は、公式HPをどうぞ。

こちらは前に一度お邪魔したことがあります。職場の宴会の二次会か三次会だったと記憶しています。

なるほど、そういうことか
なるほど、わかりやすい

⚪︎大通「串焼酒場 萬」

ビニールカーテンが前面に

「大衆酒場 チョウチン」と同じ株式会社seriousが展開する「ネオ酒場」です。こちらも一度入店したことがあります。

あれ? でも公式HPを拝見すると「ネオ」を名乗っているのは「チョウチン」だけのようですね。こちら「萬」は、焼鳥のジャンルとなっているようです。

このへんの考え方は、人それぞれありそうです。まあ、必ずしもカテゴライズするものでもないでしょうけど、わたしの見立てについては、大目に見てやってください(笑)

⚪︎大通「原始炭焼 燗と」

いい佇まい

こちらも株式会社seriousグループの酒場。入ったことはありませんが、若い人たちでこちらもにぎわっているようです。

藁焼きと原始焼きと日本酒がウリの酒場らしく、コンセプトに惹かれますね。原始焼きというのは、どうも炉端焼きのような焼き方のようですね。

ぱりぱりに皮目を焼いたイワシと燗酒とか、いいですね。

⚪︎大通「串揚酒場 栖-SUMIKA-」

間口が広いです

こちらも株式会社seriousグループ。「串揚酒場 栖」です。たぶんですが、未体験です。記憶あやふやですみません。

こちらも開店当時から若い人たちでにぎわっていたと思います。

いやはや、株式会社seriousグループの世のニーズを読むセンスはすごいですね。

⚪︎大通「八兵衛」

レトロ感強いですね

こちらも飲食店グループが展開する「ネオ酒場」系の店。8Aグループの「八兵衛」です。このグループは数字の「8」を由来とした店名で何店舗も経営しているようです。

炉端焼きの店「十八番」、イタリアンレストラン「otto」、餃子の店「88パチパチ」などが系列店になりますでしょうか。

こちらの「八兵衛」には、一度訪れています。何を食べたかはよく覚えていませんが、レモンハイをたくさん呑んだ記憶が。

⚪︎「大衆」とはなにか(とりあえずの「ネオ酒場」まとめ)

ということで、おそらく「ネオ酒場」というジャンルにはあてはまらない店もあったかもしれませんが、わたしなりに昭和レトロ・エモーショナル・清潔感・開放感・わかりやすさ・活気などを切り口に、盛岡の夜のシーンの新しい波「ネオ酒場」に目を向けてみました。

ま、正直、わたし自身がこういう店に詳しくないのでアレなのですが、一定の共通項があるということには、共感いただけると思います。

それと気づいた点がありまして、それは、「ネオ酒場」感のある店は、「大衆」を謳っているようだ、ということです。

この点は、消費者の共感を得やすいワードとして使っていると思います。高級店に入るお金も勇気も機会もない人たちにとって、「大衆」はたしかに刺さりやすい表現だと思います。

なお、マイク・モラスキーさんの著書「日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る」では、昨今の「大衆酒場」ブームに対し、次のように記述しているのが興味深いです。

最近、<立ち呑み屋>も<大衆酒場>も増えているのは周知のとおりだが、本当に「大衆酒場」と呼べるかどうか疑問に思う。皮肉なことながら、これも近年見られる立ち呑み屋と大衆酒場の共通点だーすなわち、どちらも営業形態として商品価値が上がったため、自然発生したというよりも、いわゆる「昭和レトロ酒場」と同様にしたたかな営業作戦の一環として演出されている側面が際立つ。

出典:マイク・モラスキー「日本の居酒屋文化 赤提灯に魅力を探る」より

まあ、たしかに「立ち呑み屋」や「大衆酒場」は、所得水準が決して高くないブルーカラーの方々に安く旨い酒と肴を提供するために生まれた業態であり、ホワイトカラーがそこに入り込むのは、旧来はあまりなかったはずなのです。

それが、マイク・モラスキーさんがおっしゃるとおり、ホワイトカラーにもニーズがあると判断し、商品価値として捉え、ターゲットを変更させながら、昭和レトロ感なども演出し、消費者にサービスを提供している事業者が出てきたということなのでしょう。

わたし自身は、最近の若い方々と違って正真正銘の昭和の人間なので、どうしても酒場に対してもオーセンティックなものを求めてしまいがちですが、とはいえ、今回注目した「ネオ酒場」のような新しい価値観を否定するつもりは毛頭なく、そこににぎわいや人と人との出会いが生まれて、新しい歴史や文化が紡がれていくのであれば、それはそれでよろしいことなのではないかと考えます。

いや面白い。いろいろ考察を巡らせる、とてもいい機会になりました。引き続き盛岡の「ネオ酒場」に注目してみます。

あ、そうそう「串カツ田中」なども、「ネオ酒場」の走りなんでしょうね。あそこは家族連れでも真昼間からも入りやすい、という明るい開かれた側面があって、そりゃ人気でますよね、って素直に感じます。

東洋経済オンラインにこんな記事があったので、参考までに貼っておきます。この記事、2016年のものですから、ずいぶん前から「ネオ酒場」って、市場を作ってきたのですね。

いいなと思ったら応援しよう!