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(5/9)初の九州横断に狂喜乱舞し、広島まで足を伸ばす。 2015年11月28日(土)-12月2日(水)
九州の旅、3日目に入りました。宮崎市を発ち、日向灘に面する「鵜戸神宮」に寄ったのち、日南市へ移動して焼酎蔵を訪ね歩くことになっていました。
ずいぶん呑んで喰っての旅になっていましたが、誰一人体調を崩すことなく絶好調で動き回っています。
注)2015年11月の記事になります。
◾️ホテルで「冷や汁」を食べた朝
ホテル「JALシティ」で目覚める宮崎の朝。カーテンを開けると、少し雨でした。雨に濡れるワシントンヤシが南国感を醸し出し「ああ、思えば遠くへ来たもんだ」とどこかで聴いた一節が思い浮かびます。
シャワーを浴びホテルのレストランでビュッフェの朝食をとります。ネットで「卵は1日3個食べるべし」という記事を前の日に見ていたわたしは、きちっと3個食べました。
するとなんと、宮崎の郷土料理「冷や汁」があります。「おっ、よしよし」とそれを器に入れ、テーブルに戻ってずずっとすすりながら、前の晩の「みょうが屋」のことを思い出してみます。
「イグチさん、この店の肉は日本一の宮崎牛ですよね」
「ええ、まあ、そうですね」
「て、ことは、この店も日本一の焼肉店ということで良いでしょうか」
「いや、日本一の焼肉店かどうかはちょっとわからんです」
「じゃ、宮崎市では一番でしょうか」
「コストパフォーマンスを考えれば、わたしはそう思っとります」
そんなやり取りを思い出しながらにやにやしているとイクヤさんが「おはよう!」といつものように元気に現れました。ツッチさんは、まだ寝ているようでした。そういえば、基本朝ごはんは食べない人だったような気もします。
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そうこうしているうちに、宮崎市内のご自宅からイグチさんが迎えに来てくださり、九州旅行3日目がスタートしました。
この日は日南市~宮崎市~都城市と宮崎県内を移動し、蔵を4つまわる予定でした。
ある意味、旅のハイライトとなる1日といっても過言ではありませんでした。
◾️日南市「鵜戸神宮」へ
まず、日南市大堂津「古澤醸造合名会社」「株式会社宮田本店」にお邪魔する前、日向灘に面した断崖にある「鵜戸神宮」に寄ります。
イグチさん曰く、この辺りを観光するに外せないスポットだとのことでしたが、恥ずかしながらわたしはこの神宮のことを知りませんでした。
いろいろ調べてみると、主祭神は「日子波瀲武鸕鷀草葺不合尊(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと)」とされ、縁結び・夫婦和合・子授け・安産などのご利益があるようです。
奇岩怪礁がそこかしこに見られ、特にも「鬼の洗濯板」ともいわれる千畳敷は見事の一言。それが波に洗われる光景は、岩手三陸では見られない独特の光景です。
断崖脇の参道を下へ下へと進むと断崖中腹の岩窟内に本殿があり、ここはもう強烈なパワーを感じます。
湿った薄暗い岩窟に鎮座する本殿のそばには、豊玉姫が海神宮(わたつみのみや)から来訪する際に乗った亀が石と化したものと伝えられる「亀石」があり、ここに開いた穴に、男性は左手で女性は右手で運玉と呼ばれる土玉を投げ入れることができると願いが叶うとされています。一人5個で100円。早速われわれも試してみます。
「うりゃ!」「てりゃ!」「それ!」
などといいつつ投げ入れ、ようやっと1個入れることができました。で、肝心の願いごとはというと「(運玉が穴に)入れ~~!」という間抜けなものであったというのは非常に残念な事実です。
鵜戸神宮、「西の高野」ともいわれる霊地。たしかに日南市を訪れたら、ぜひとも足を運びたいパワースポットでありますね。
◾️癒しの港町・大堂津「古澤醸造合名会社」を訪問
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宮崎県日南市大堂津(おおどうつ)にある「古澤醸造合名会社」に到着するころには雨がすっかり上がり、そして真夏を思わせるかのような日差しが照り始めていました。
五代目当主であり杜氏でもある古澤昌子さんに蔵を案内していただきます。蔵のすぐ裏手が川(南郷川)という立地となっています。
我が盛岡の「菊の司酒造」も中津川沿いにある蔵であり、なんだか親近感が湧いてきます。
ちなみに大堂津は日南海岸すぐそばの漁村であり、焼酎蔵を含め、今でも人口2,000人弱の当地には4つの醸造蔵があるそうです。
なぜこれほどまでに醸造蔵が多いのか(かつては10蔵にも上ったといいいます)、という歴史的経緯についてはいつか調べてみたいものです。
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ひととおり蔵見学をさせていただいたのち、指定保存建造物だというお屋敷に通していただきます。ここで昌子さんから、焼酎や大堂津の文化などについてレクチャーしていただきながら飫肥・大堂津の郷土料理を初体験しました。
鰹醤油漬け、飫肥天、厚焼き卵と目にも美しいです。驚いたのは厚焼き卵。プリンのような食感ですが、味わいは厚焼き卵のそれでした。
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飫肥せんべい、鰹醤油漬け、飫肥天も昌子さんが醸した焼酎とよく合い、夢のようなひと時を過ごします。
大堂津の郷土の食文化。どれも深くてしみじみ味わい豊かで、ついつい箸が進みました。
飫肥せんべい、米の素朴な甘さに水飴のつるりとした甘さが合わさり、なんとも後引く美味しさ。離乳食にも良いといわれるようですが、たしかに自然な味わいと軽い食感で、小さな子も喜んで食べそうです。
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大堂津、海のそばの素敵な街です。日南海岸に出て、南九州の海に触れてみました。暖かな海水で、きいんと冷たくシャープな岩手三陸のそれとは全く異なり、ふうわりと指先を優しく包んでくれました。
(6/9へつづきます。)