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【青森県八戸市】(1/3)海の幸が最強の北の街で我が心と体は癒されていったのだった。2024年12月13日(土)

雪がはらはらと時折空から舞い降りている、12月半ばの土曜日の午後。旅の荷物を詰め込んだリュックを背負い、JR盛岡駅を目指して歩いていました。

気温は2度とか3度とか。北国・盛岡の12月らしい冷え込みです。歩きながら、数時間ほど前に「ご旅行、楽しんできてください」と声をかけてくれた、この日、わたしの髪を切った若い女性スタイリストの言葉を思い出します。

ドライヤーで髪を乾かされているときに、「この後のご予定は?」と尋ねられ、「一時間後の新幹線で八戸行って、着いたら日本酒と新鮮な海の幸三昧ですよ」と答え、「えーー、うらやましいですーー」というやりとりがあったのでした。

彼女の言葉を反芻するように、「そうだな、楽しんでこよう」と自分自身に言い聞かせました。楽しい八戸への旅なのに、なぜかどこか実感が湧かず、自分自身へ違和感をおぼえていたからです。

その理由は、この一年の忙しさにあったのではないかと、わたし自身に思い当たるところがありました。特にも12月に入ってからは、緊張の糸を張り続けながら仕事をしていましたので、そのプレッシャーからくるストレスが蓄積し、気持ちにゆとりがなくなり、心の奥の方が硬く硬く凝り固まってしまい、上手く感情を働かせることができなくなっていると実感していました。

家を出て30分ほどして、JR盛岡駅に到着します。まだ少し時間がありましたので、駅ビル内をぶらぶら歩いてみますと、テナントが入れ替わっていたり、年内に閉店してしてしまう馴染みの店があったりと、世の中は相変わらずものすごいスピードで動き続けていることに改めて気付かされます。

時間になったので、新幹線に乗車します。指定席は片道4,000円弱で押さえることができました。年末年始を控えていることもあってか、新幹線内は50%くらいの乗車率でしょうか、比較的空いています。3列シートの通路側の席を予約していましたが、窓際の真ん中の他の2つの席に乗客はいなかったので、ゆったり座らせてもらい、リラックスモードです。

トランヴェールを手に取り、少しずつ旅気分を盛り上げつつ、この日の一軒目はどうしようかと思案します。なんとなくの目星はつけていたものの、まだ決め切っていませんでした。

ですが、目標は3〜4軒、郷土料理と地酒の店とバーは外せないと考えていました。

40分弱で八戸駅に到着しましたが、八戸線で本八戸駅までの移動には、タッチ式改札になっておらず、切符を買わなければならなくて、一瞬焦りました。切符を買って電車に乗るなんて、何年ぶりでしょう。

新幹線から在来線への乗り換えに10分弱の余裕はあったのですが、券売機に行列ができており、ちょっと冷や冷やしつつ、発車2分前ぐらいに電車に乗り込むことができました(八戸へ電車でご旅行を検討の方はご注意ください)。

夕方5時前の鷹匠小路

午後4時半少し前に本八戸駅に到着です。とりあえず、電車を降りてすぐに、この日のお目当ての店へ電話し、席を確保です。地元常連客で連日にぎわう店らしいので、念のためと思っての電話でしたが、これがファインプレーだとわかるのは、もう少しあとのことになります。

この日の宿は繁華街ど真ん中でした

この日の宿は「ホテル イルヴィアーレ八戸(本館)」という、鷹匠小路に立地するホテルでした。1階は飲食店街、2階から上はホテルになっているようでした。

こちらのホテルは税込6,000円ちょいで予約できたのですが、安いには理由があり、口コミの点数もやや低めなのもワケがありました。

まあ、昭和・平成感漂う設備でして、ただ泊まる分には何の問題がないですが、令和の時世のホテルに慣れた方からすると、不便な点が少しあるかもしれませんでした。

ですが、繰り返し言うように、ただ泊まる分にはぜんぜん申し分ないので、わたしにとっては鷹匠小路のど真ん中にこの日の宿がある時点で「勝ち」なのでした(なぜかテレビが点きませんでしたが、テレビ観なくてもぜんぜんいいので問題なし)。

よっしゃよっしゃのよっしゃなのです(笑)

さて、ホテルから目と鼻の先にある居酒屋「鬼門」を目指します。夕方5時から1名で先ほど予約済みですから、安心して暖簾をくぐることができます。

店は雑居ビルの一番奥の方にあり(一階)、店の場所がちょっとわかりづらいですが、店構えとその雰囲気は最高です。

八戸の夜の一軒目でしたので、手堅く行こうと思い選んだのがこちらでした。久しぶりに「ばんや」もいいかなあと思ったのですが、「ばんや」はたしか予約不可なので、冬空の下で凍えながら席が空くのを待つのもしんどいこともあり、「鬼門」をチョイスしたところです。

お通しでぐいっと

開店夕方5時前だというのに暖簾がかかっているので店内に進むと、「あ、さっき電話の方?」と訊かれ、「はい」と答えると、カウンター席に通されます。

運のいいことにホシザキの保冷ケースの真ん前で、「これでもか」というイキのいい魚介が目に飛び込んでくるではないですか。もう、これだけでテンション高めになってきて、「瓶ビールください!」と柄にもなく、元気に手を挙げて注文してしまいます。

カウンターは5席で、一番奥の席には地元常連客が生ビールを豪快に喉の奥に流し込んでいます。

テーブル席は3席ほどで、12,13人も入ればいっぱいになりそうな狭い店内に、女将さんが厨房内で忙しそうに料理をし、接客担当の女性店員が料理と酒を出してくれています。

どうですか、この光景

ホワイトボードのメニューも撮影したかったのですが、先客男性の向こうの壁にぶら下がっていたこともあり、男性が写り込んでしまうので、やむなく撮影は断念したのですが、40から50種類ぐらいの料理名が書かれていたでしょうか。

もちろん八戸の地のものの魚介を中心にですが、刺身など生で食べるものから、焼き物・煮物・揚げ物となんでもあります。

「どれにしようか」と迷っている間、次々の予約客が入店してきて、一気に席が埋まってきますし、「ありゃ、いっぱいかーー、ザンネン」と入店できない客も一人二人どころではなくいたので、「あー、予約しておいてホント良かった」と胸を撫で下ろしたところなのでした。

こういう場合、本当に本当に、電話一本するだけで天国と地獄の差が出るので、特に旅先での予約の電話は大事だと、改めて痛感しました。

さて、お通しの春菊胡麻和え、揚げたブリのあんかけ、レンコンの金平をつまみながら、瓶ビールを空け、次の酒と、それに合う酒肴を選んでいきます。

もう、この瞬間が最高です。胸躍って仕方ない酒場モードへ突入し、八戸での最高の夜を、最高のシチュエーションで、わたしは開幕したのでした。

(つづきます。)

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