【盛岡呑み歩き】(1/2)大阪からちょいワルオヤジを迎えて、「ちょい悪おやじセット」で始めた夜 2024年11月2日(土)
遠方からちょいワルオヤジの知人イセサキさん(仮名)が盛岡にやってきて、久々に酒を呑もうという話になりました。前に会ったのが、福岡だったはず。懐かしい方にお会いできて、嬉しい夜でした。
⚪️ちょいワルオヤジが大阪からやってきた
この日、大阪在住の知人イセサキさんからメッセージが届いたのは15時過ぎのことでした。雨が降っていて肌寒く、外出したくはならない土曜日だったので、わたしは自宅で古い古い小説を読んで過ごしていました。
「いま盛岡に着いてさ、ホテルにチェックインしたから、呑みに連れてってよ」という内容のメッセージでした。前の晩に大阪から東京に入り、この日は東京から新幹線で盛岡まで移動し、夕方過ぎには着くと聞いていましたから、思っていたより少し早めに到着したようです。
「あ、わかりました、すぐに向かいます」と返事してから出かける準備をし、5分で家を飛び出します。イセサキさんが泊まるホテルは盛岡駅から徒歩で10分もかからないところ、いわゆる「柳新道」といわれるエリアに立地していて、呑みに出るには絶好のシチュエーションが揃っています。
イセサキさんと初めて会ったのは平成26年ごろだったでしょうか。わたしより10歳ぐらい年上で、いつもびしっとスーツを着て、黒々とした髪を綺麗にセットし、精悍な顔つきだけど笑顔を絶やさず精力的に動き回り、女性にも優しく接し、遊ぶのも大得意な、いわゆる「ちょいワルオヤジ」です。
イセサキさんは当然の如く酒の席も大好きな人でしたが、出会った当時は仙台のとある高層ビルにあるとある企業の仙台支店の副支店長かなにかでして、けっこうなポジションに就いている方でしたが、仕事で盛岡にくるたびにわたしは誘われ、ちょくちょく呑むようになったのでした。
その後、イセサキさんは福岡市へ転勤になり、わたしが何年か前に福岡出張となった際に、博多の料亭「稚加榮」でランチをご一緒して以来となります。
今は大阪にあるとある会社に出向しておられ、その会社が舞台となった特集番組が先日テレビ放送され、イセサキさんのことを思い出しながら、その番組を観たところでした。
⚪️中央通で20年超の酒場「うつき」の暖簾をくぐる
さて、イセサキさんが宿泊するホテルへ向かって歩いていると、「ホテルの近くの居酒屋で待ってるね」とイセサキさんからメッセージが入ります。どうやらひと足先に一杯呑りながら、わたしの到着を待っているということのようです。
そしてたどり着いたのは、大通を中心とする盛岡の歓楽街の端っこ、オフィスビルが立ち並ぶ中央通からほんの少し大通側に入ったところにある、「うつき」という酒場です。
こちらの「ちょい悪おやじセット」は、15時から18時までの入店で、ドリンク類2杯、つまみ2品で1,000円という超お値打ち価格となっています。ちょいワルオヤジを具現化した存在であるイセサキさんと呑み始めるにはちょうど良いセットでした(笑)
すでに生ビールを一杯呑み干し、二杯目を注文したイセサキさん。再会の握手を交わし、わたしも生ビールをもらって乾杯です。
そしてそのイセサキさん、相変わらずのイケメンオヤジっぷりで、座っているだけでオーラが漂っています。そうそう、彼が行きつけのスナックに連れて行ってもらうと、女性陣が「きゃーー、イセサキさーーーん!!」と声をあげて集まってきていたのを思い出します。ほんと、明るくて優しくて憎めないところもあるイケメンだから、女性にもモテるおじさんなのです。
しかしまあ、なんでまた盛岡に来ると、わたしに声をかけてくれるのかが不思議です。彼ほどの地位と人望があれば、もっと立派な人たちと呑めるんだろうけど、と思ってしまいます。わたしのような平凡な人間と、こうして対等な付き合いを続けてくれるちょい悪オヤジのイセサキさんには感謝なのです。
さて、この「うつき」ですが、おそらく20年ぐらい営業している、この界隈では老舗の部類になりつつある酒場です。わたしは開店当初に何度か訪れて以来だと思うので、店の歴史そっくりそのまま20年ぶりぐらいの来店です。
セットは1,000円というありがたい設定ですから、つまみは本当に一口二口で食べれる量ではありますが、炒めたか茹でたかした茄子はマヨネーズで和えてあり、いい酸味と塩気。ハムサラダはフレンチドレッシングかけられ、箸休めにいいものでした。
時間はまだ16時過ぎでしたが、次々と客が入店してきて、揃って「ちょい悪おやじセットを」と注文しています。
「生ビールでお願いします」「こっちはお代わりでーー」「わたしは日本酒ください」などと声が飛び交い、「はいはい、少々お待ちを〜。一人でやってますんでね〜」と返しながら、カウンターに一人立つ女将さんは、いそいそと働いています。
さすが20年の歴史のある店を切り盛りするだけあって、カウンターに人が張り付くと料理の提供のスピードこそ少し遅くなるものの、ドリンクの提供は切れ目なく行われているので、まったく間延びする感じはありません。
東京生まれの女将さんは、「うつき」を経営する前は、どこかで喫茶店をやられていたとかで、飲食店経営歴は56年とかになるそうでした。生粋の飲食畑の方なのでしょう。客捌きが実に見事でした。
⚪️生サンマ塩焼きにイセサキさん感涙する
さて、日替わりメニューに「本日のサービス品 生サンマ塩焼き490円」を見つけたイセサキさん、興奮気味に「ちょいちょい、サンマ塩焼き490円って安すぎじゃない。コレ行こ! コレ!! すみません、サンマ塩焼き二つお願いします!!」と女将さんに注文です。
「いやー、今シーズンはまだサンマ食べてなくてさ。今回の旅行で食べたいとは思ってたけど、まさかこんなに早く、しかも格安でありつけるとはラッキーだね〜」とちょいワルオヤジのイセサキさんはにんまり微笑んで見せます。
九州出身のイセサキさんは、仙台に赴任してから東北大好き人間となり、休みの日には東北中を行ったり来たりし、特にも東日本大震災後の配属だったため、プライベートでも三陸復興の応援に力を入れ、その活動を通じて海の幸とその恵みに感激され、以来、三陸の魚介には目がないお方なのでした。
生ビールを二杯ずつ呑んだわれわれは、八幡平市の地酒「わしの尾 金印」をもっきりでもらい、これを呑みつつサンマをつついていきます。近年のサンマにありがちな、小ぶりであまり脂乗りしていない個体でしたが、太ったサンマの強い脂が得意ではないわたしには、このぐらいがさっぱりしていてちょうど良く感じます。
でもまあ、太ったサンマの脂が滴り、その脂で上がった煙に燻されながら焼くサンマが好きな方には物足りないかもしれません。
「ウン、いいね。久しぶりにサンマの塩焼き食べたけど、たまらないね。で、わしの尾の金印がことの外旨いね」と、またまたイセサキさんはにんまり。「わしの尾」は、95%以上が地元で消費されるといわれていますので、東北を離れていたイセサキさんにとっては、だいぶ久々の味だったでしょう。
そうやって、昔話をしたり、近況報告をしたり、冗談を言い合ったり、ほろっと酔ってきたりするわれわれ。店内が近くのホテルに泊まっている観光客で一杯になってきたので(イセサキさんもその一人だけど)、会計をして店を後にします。小一時間滞在し、二人で4,000円でしたので、かなりの良心価格設定です。
で、ちょいワルオヤジとの「ちょい悪おやじセット」は最高でした。そのちょいワルオヤジ本人はというと、すっかり暗くなった盛岡の夜の街を眺め、「いいねぇ〜、懐かしいねぇ〜、やっぱり盛岡は好きだな〜」と心から嬉しそうに呟いています。
時計の針は、まだ17時を回ったところでしたので、まだまだお楽しみの時間が続きそうでした。
(つづきます。)