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【さかばなし25】立ち喰いコロッケ
「さかばなし」は、酒場(さかば)であった、ちょっとしたエピソード(はなし)について綴っています。「さかば」の「はなし」で、「さかばなし」です。
肴町アーケード内にある「太田屋精肉店」が目に入ったので、久しぶりに惣菜を買い求めて帰ることにした。
揚げたてのトンカツかメンチカツか、それともコロッケか、いや、カレーコロッケにソースどばどばでハイボールがいいな、と考えながら店内に進んだ。
「揚げたて、こちらですよ〜」と店の方が教えてくれたのは、トンカツとメンチカツ。アツアツ加減がわかる、衣の立ち具合。
「カレーコロッケはあります?」
「あー、残り一個ですねー」
「、、、んーー、じゃメンチ3個」
残念、カレーコロッケは1個だけで、妻とムスメとわたしの3人分はなかった。
「メンチ3個でxx円です」
「paypayで」
「はい、少々お待ちください」
店の方が手際良く経木にメンチカツを乗せ、くるりと包んで輪ゴムで止め、ビニール袋に入れようとした。
「あ、ちょっと待ってください」
「はい?」
「カレーコロッケも1個ください」
「はい、ありがとうございます」
「すぐに食べたいんで、紙の包装でお願いできます?」
「あ、いいですよ」
店を出て、行儀が悪いのだけど、紙袋からカレーコロッケを取り出し、アーケード内を歩きながら、ぱくりと一口。
揚げたてではなかっため冷えてはいたが、しっとりとしたジャガイモの口当たりとほのかな塩気、そこにカレーの風味が交わり、なんとも美味。
「こりゃ冷えた白ワインだな」
そんなことを考えながら、アーケードの出口に向かって歩いた。
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